ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

「文語訳 旧訳聖書 Ⅲ 諸書」

2020年06月28日 | 書評
コリウス(金襴シソ)

西欧哲学、文学、詩歌の原点となった智慧文学 五つの書

3) 「文語訳 旧訳聖書 Ⅲ 諸書」(岩波文庫2015年)   (その41)

3)  箴言 (その3)

第11章: 偽りの秤はエホバに憎まれ義しい分銅はかれに喜ばれる。驕ぶれば恥もきたる、謙譲に人は知恵あり。財宝は怒りの日には益がない。しかし正義は救いて死を免れしむ。直きものはその正義によって救われ、反逆者は自己の悪によって捉えらる。他人の保証をなす者は苦難をうけ、保証を嫌う者は平安なり。慈悲のある者は己の霊魂に益を加え、残忍者は身を亡ぼす。義人の願うところはすべて幸いにいたり、悪人の望むところは怒りにいたる。善を求むる者は恩恵を得、悪を求むる者は悪しきこと来たらん。
第12篇: 教えを愛する者は知識を愛す、懲戒を憎む者は獣のごとし。善人はエホバの恩恵を受け、悪しき謀略をなす者はエホバに罰せられる。人は悪をもって堅く立つことはできず、正しき人は揺るがない。直き者の口は人救い。悪しき者の家は倒される。義人は生命を顧みる、悪人は残忍をもって憐憫に代える。悪人は唇の咎によりて罠に陥る、義者は患難より免れる。知恵ある人は他者の勧めをいれるが、愚かなる者は怒りを表す。勉め働くことは人の貴き宝なり、義しき道には生命あり。
第13章: 知恵ある子は父の教えを聞き、戯に嘲る者は懲らしめを聞かず。その口を守る者は生命を守る。勉め働く者の心は豊饒である。義者は偽りの言葉を憎み、偽りをもって得たる財貨は減る。知恵ある人の教えはいのちの泉なり、よく死の罠を遁れる。貧乏と恥は教えを棄てる者にきたる。戒めを守る者は尊ばれる。善人はその産業を子孫に残す。義しき者は食を得て飽きる、しかし悪人の腹は空し。
第14章: 知恵ある婦はその家を建て、愚かなる婦はこれを毀す。直きものはエホバを畏れ、邪曲な者はこれを侮る。哲者は知識を得ること容易くし。賢者の知恵は己の道を知る。笑うときにも心に悲しみあり、歓楽の終わりに憂いあり。拙き者はすべての言葉を信じるが、賢者はその行いを慎む。その隣を卑しむ者は罪あり、困苦者を憐れむ者は幸いあり。エホバを畏れるは堅き頼みなり、怒りを遅くするものは大なる知識あり、気の短い者は愚かなことをする。貧しき者を虐げる者はその創造主たる神を侮ることになる。義は国を高くし、罪は民を恥かしむ。
第15章: 柔和なる答えは憤りを鎮め、激しき言は怒りを起こす。心に楽しき事あれば顔色よろこばし。憤りやすい者は争いをおこし、怠るものの道は紆余曲折、直き者の道は平坦なり。無智なる者は愚かなる事を喜び、哲者はその道を直くする。相議する者なければ謀は成功しない、議者が多ければ謀必ず成る。一人では謀はできない。
(つづく)