ブログ 「ごまめの歯軋り」

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「文語訳 旧訳聖書 Ⅲ 諸書」

2020年06月27日 | 書評
フクシア(赤紫)

西欧哲学、文学、詩歌の原点となった智慧文学 五つの書

3) 「文語訳 旧訳聖書 Ⅲ 諸書」(岩波文庫2015年)   (その40)

3)  箴言 (その2)

第6章: 我が子よ汝もし朋友のために保証人となり、賛意を表するならば汝その口により罠にかかり、その口の言に捕らえられる。我が子よ汝の友の手に陥りなば自ら救え、相手をしっかり見つめその救済を求めよ。邪曲なる人悪しき人は偽りの言をもって事を行う。その禍は俄かに至る。エホバの心に嫌うもの7つあり、驕ぶる目、偽りをいう目、罪なき人の血を流す手、悪しき謀計をめぐらす心、速やかに悪に走る足、偽りを述べる証人、兄弟の内に争いを起こすものである。父母の戒めを棄てる勿れ、戒めを頸にかけておれ。それ戒めは燈火なり、法は光なり、教えの懲らしめは命の道なり。淫婦の諂いに騙されるな、隣の妻と姦淫するな。
第7章: 我が子よわが言をまもり我が戒めを汝の心に蓄えよ、我が戒めを守りて生命を得よ。智恵は我が姉妹、明理はわが友といえ。さらば淫婦に迷わず娼妓に遠ざからん。拙き者、若くて智慧の無い者の身を滅ぼしたる一つの例を示そう。彼が巷を過ぎ婦の門に近づくと、暗闇になかに娼妓の衣を着た狡そうな女が現れ、巷や広場の角に立って彼を引き寄せ接吻をし、我が床は美しい褥、エジプトの綾織で、没薬などの香水をふりかけてあり、明日の朝まで情を尽くして愛を通わさんと艶めきたる言葉で誘い掛けて来るのである。若い人がこの誘いに乗ったら最後、矢は肝を通し命を失わん。子等よ淫婦の道に傾くなかれ、さ迷う勿れ。
第8章: 拙き者よ汝ら聡明にあきらかなれ、愚かなる者汝明らかなる心を得よ。汝聴け我善ことを語らん、わが唇を開きて正しいことをいださん。われ智慧は聡明を住処とし、知識と謹慎にいたる。エホバを愛することは悪を憎むことなり。エホバを切に求むる者は我に至らん、エホバは義しき道に歩み公平な径の中を行く。これ我を愛する者に貨財を与えその庫を満たさん。エホバを得るものは生命を得、エホバより恩恵を得り、我を失う者は自己の生命を害い我を憎む者は死を愛するなり。
第9章: 拙劣をすてて生命を得、聡明の道を歩め。嘲笑者、悪人を攻めるな、反発を食らって自分がけがをするから。知恵あるものを攻めよ彼は汝を愛するだろう。汝知恵があるならそれは自分のために知恵があるからで、嘲るなら汝一人これを負わん。愚かなる婦は騒がしくかつ何事も知らない、また知恵なき者に向かいていう、盗みたる水は甘く、秘かに食う糧は美味なりという。
第10章: (ソロモンの箴言)
知恵ある子は父を喜ばす、愚かなる子は母の憂いなり。不義の財産は益なし、されど正義は救いて死を免れる。義者の首には福が来る。悪しき者の口は強暴を隠す。怨みは争いをおこし、愛はすべての咎を覆う。哲者の唇には知恵がある。知恵ある者は知識を蓄え愚かなる者は今にも滅亡を来たらす。義者の動作は生命にいたり、悪者の利得は罪に至る。義者は人を養い、愚かなる者は知恵なきに因りて死す。

(つづく)