ブログ 「ごまめの歯軋り」

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「文語訳 旧訳聖書 Ⅲ 諸書」

2020年06月26日 | 書評
花しょうぶ

西欧哲学、文学、詩歌の原点となった智慧文学 五つの書

3) 「文語訳 旧訳聖書 Ⅲ 諸書」(岩波文庫2015年)   (その39)

3)  箴言 (その1)

ダビデの子イスラエルの王ソロモンの箴言、これは智慧と訓悔とを知らしめ哲言を悟らせ、聡き訓と公義と公平と正直を得しめ、拙者にさとりを与え、若き者に知識と謹慎とを得さしめるためである。知恵ある者はこれ聞きて学に進み哲者は知略をうべし。人これにより箴言と譬喩と知恵ある者の言とその隠語とを悟らん。エホバを畏れる者は知識の本なり。(モンテーニュやパスカルのモラリスト人間学に近い範疇の文学)
第1章: 愚かなる者は智慧を訓悔を軽んじる。我が子よ汝の父母の教えをきけ、これは汝の冠、首飾りになろう。我が子よ悪しき者汝を誘惑するも従う勿れ、そうでないと彼らは汝を殺し、生きたまま飲み込み、墓に持って行かれることになるからだ。我が子よ彼らとともに道を歩むこと勿れ、彼らは待ち伏せ命を狙う。我が戒めに従いて心を改めよ、彼らは汝の声に答えず颯のごとき患難と悲しみが汝を襲う。拙者の叛きは己を殺し、愚かなる者の幸いは己を滅ぼさん。
第2章: 我が子よ汝の耳を智恵に傾け心を悟りに向け、知識を呼び求め悟りを得んと努力するならば、汝はエホバを畏れることを悟り神を知ることを得る。エホバは知識と悟りをその口より出るものであるから。こうして汝は公義と公平と正直と一切の善を知らん。悪しき道より偽りを語る者より救われる。聡明は妓女より汝を救う。若き時の契約を忘れるな。悪人について行く者は帰らず。
第3章: 我が子よわが法を忘れる勿れ、汝の心に戒めを守れ。仁愛と真実を汝より離すこと勿れ、汝に平安と恩恵と誉れを得るによるなり。汝エホバにより頼め、汝の聡明に頼る勿れ。自らみて聡明とする勿れエホバを畏れて悪を離れよ。我が子よエホバの懲らしめを軽んじる勿れ、知恵は真珠よりも貴し、汝の財産もこれに比べるに足らず。智恵は銀よりも勝り、金よりも善きものなり。我が子よ聡明と謹慎を守れ、汝の魂の命になえい、汝を飾るものである。人もし汝に悪を為さずは汝之と争うこと勿れ。義者はその親しきものなり、義者の家はエホバに恵まれる。
第4章: 子等よ父の教えをよく聞け、聡明を知らんために耳を傾けよ、我善き教えを汝らに授く我が律を棄てるなかれ、知恵を得聡明を得よ。われ智慧の道を汝に教え、正しき道筋に汝に導けり。堅く訓悔をとりて離すこと勿れ、これを守れ。邪曲なる者の道に入る勿れ。汝の心を守れそれは生命の流れの源であるによりてなり。偽りの唇を棄て去り汝より遠く離せ。右にも左にも偏ること勿れ汝の足を悪より離れしめよ。
第5章: 我が子よ我が知恵を聞け、汝の耳我が聡明に傾けよ。汝謹慎を守り汝の唇に知識を保つべし。娼妓の口は蜜を滴らせ、その口は脂よりも滑らかなり。しかしその終わりは苦くもろ刃の刃のごとく利し。その足は死に下りその歩みは陰府に赴く。子どもらよ今我に聞け、娼妓の家に近づくな。汝は汝の家の水を飲め、汝の泉に幸いを受けしめ、汝の若き妻を楽しめ、かは美しき女鹿のごとく、その乳房もて常に足れりとしてその愛を持て喜べ。人の道はエホバの目の前にあり、彼はその行為を量りたまう。

(つづく)