ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

漢詩 「春 還」

2007年05月13日 | 漢詩・自由詩
春 還

江村日暮乱飛     江村日暮 乱飛の鴉

山遠煙霞寂不     山遠く煙霞 寂として譁ならず

高閣無知人去盡     高閣知る無し 人去り盡す 

春来還発旧時     春来りて還り発す 旧時の花


(赤い字は韻:六麻  七言絶句平起式)

姜尚中著 「姜尚中の政治学入門」 集英社新書 第3回/全4回

2007年05月13日 | 書評
憲法

そもそも憲法とは権力者による力の行使をコントロール下におくことを目的としています。そのルールが憲法なのです。そこを理解していない政治家・評論家などが多すぎます。憲法学の世界では主権者の政治的意思こそが窮極の根拠であるという立場と、憲法の内在的な独自性の論理を重んじる立場があります(丸山真男の中性国家論)。戦後の日本国憲法は「押し付け憲法」だとして改憲を目論む勢力は前者の対場です。しかし私が世界の憲法を比較した本(本の名は著者は忘れた)を読んで感じたことは、どの国の憲法の書いてあることは大同小異で、社会主義国の憲法でも国有化なんてことは何処にも書いてないことが分りました。すなわち憲法には根本的な規範と、二次的な法律に近い規範があります。日本国憲法の根本的な規範は「平和主義」、「国民主権」、「基本的人権」です。ところが自民党内部の懐古主義者と旧帝国主義勢力が改憲で狙っているのが、「平和主義」、「基本的人権」を変容させることです。憲法の根本的概念は実用的な価値観で嘴を挟むことは許されません。強い日本への懐古主義から、天皇制祭礼一致国家を復興させることが果たして成功するでしょうか。地に落ちた天皇家の能力を考えれば時代錯誤のきわみです。

戦後民主主義

民主主義は残念ながらいつも総力戦体制での戦争と表裏一体になって形成されてきました。日露戦争後の国家国民の形成、第一次世界大戦後の大正自由主義(文化的には大正ロマン)、第二次大戦後の戦後民主主義であります。プロト戦後の「アメリカがくれた民主主義革命」は、朝鮮戦争で経済復興と一体となった戦前的な権力機構が再生されたことで挫折しました。片翼的サンフランシスコ講和会議以降は55体制と高度経済成長が結びついた形で体制側へ変換しました。民衆のエネルギーも1960年安保闘争で終焉し、民衆を政治から遠避けるため70年全学連闘争を歪な醜い形にしたのも権力側の演出でした。そして「一億層中流化」という花見酒景気に埋没して国民は政治から排除されました。その社会もバブル崩壊後には弱者切り捨て、雇用不安定、規制緩和による伝統的産業構造破壊、金融支配を強めました。