読書って楽しいね♪

好きな作家は東野圭吾さん☆他の作家さんのもいろいろ読んで感想を書いていきたいと思います♪

奥田英朗「罪の轍」~自分で公言し「莫迦」と呼ばれた男。しかし!そこには悲しい真実が?!

2021-10-08 04:10:04 | 
奥田英朗「罪の轍」読み終わりました。


長編で読み応えのあるお話でした。



戦後18年後の礼文島

そこで猟師の手伝いをしていた宇野寛治 20歳


仕事の覚えが悪く


自分のことを「莫迦」と公言する寛治


みんなからも「莫迦」と呼ばれていた。


母親にも祖母にも見放され

誰にも愛されたことが無い寛治


生きていくために盗みを繰り返していた少年時代


鑑別所にも入れられたことがあった。



礼文島に来て落ち着いていたが・・


また盗み癖が出てしまう。。


そして


その盗みを猟師の赤井に気づかれてしまう。


そして


寛治は赤井にそそのかされ・・


網元で世話になっている酒井寅吉の家に火をつけしまう。。


礼文島から逃げるために準備をしてくれた赤井


その言葉を鵜呑みにして


寅吉の船を拝借


船の燃料の追加のガソリンを持たされ


礼文島を後にする。



しかし!


燃料のガソリンは


実は海水だった!!




そして

時化の海の真ん中で寛治はもがき苦しむ。。



しかし・・


何とか陸にたどり着く。


そこにあった林野庁詰め所の中に侵入


服と長靴と腕章を手に入れる。



そこから寛治の新たな旅が始まる!



寛治が出会う「町田明男」


明男はチンピラだった


だけど寛治に優しくしてくれた。


寛治は心に初めて温かいものを感じる


しかし・・


明男に恩返しがしたいと思い


また寛治は罪を重ねる。。



そして


空き巣から・・


殺人事件の容疑者に



そして・・


とうとう


誘拐まで



真っすぐに寛治を信じる明男



そして


初めて体を重ねる「里子」



愛されなかった寛治が


初めて人に抱く情



自分はいつ死んでもいいと思っていた


自分は生きていちゃいけない人間だと思っていた



追い詰められると


自分を奥深くに隠し


見えないようにしてしまう?


寛治は


そうして罪を重ねてしまう。。



警察を欺き・・


自分を霧の向こうに隠す


でもそれは・・


寛治が幼いころに受けた


体と心の傷が原因だった



「お前は莫迦じゃない」


真剣に向き合って叱ってくれる大場刑事


大場刑事との約束を果たそうとする寛治



寛治の罪を見抜いていく若き落合刑事



誘拐された吉夫ちゃんのゆくへは



最後の最後まで気の抜けない展開に


手に汗握り読みこんでいきました。



寛治の罪は絶対に許されない。



だけど


ずっと自分は生きていちゃいけない人間なんじゃ?


「莫迦」だと言い続けなきゃならない寛治


そんな風にしてしまった家族・・


寛治を変えてしまった環境が辛い。。



自分に都合の悪いことは


ないものにしてしまえばいい!


そう思わなければ・・

記憶を隠さなければ・・

生きていけなかった寛治


それが悲しい。。



小さい頃の人間形成って言うのは

やっぱり大事なんだなって思った。


罪の轍を作ってしまった寛治の人生・・


それは誰のせいなんだろう?




舞台になっている東京オリンピックを間近に控えた


昭和38年の東京


自分の生まれる前の世界は甲だったんだぁ~。


と興味深く読ませてもらいました。



たばこの煙がもうもうとする中での


捜査会議


取り調べ中に容疑者が煙草を吸うなんて・・



今じゃありえない!



刑事たちの捜査もこんなに大変だったんだ!


正に靴底を減らす捜査



いろんな背景が事件とは別に気になりました。



宇野寛治・・


一人の青年が歩いてきた茨の道を


見届けてみませんか














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