<560m付近から眺める雄鉾岳と「割れ岩」(右)>
夏の雄鉾岳と割れ岩の眺め(八雲温泉おぼこ荘手前から)
雄鉾岳を眺めるたびに気になっていた「割れ岩」・・・「この根元まで行ってみたい」という思いはずっとあった。登山道はないので、行くとすれば冬しかない。地図上で見る限りでは、雲石峠から道南の中央分水嶺を辿れば、根元まで行けるはず・・・。
しかし、これまでなかなかチャンスはなかった。たまたま、一昨日(自分が駒ケ岳に登っていいた時)、函館山の会の最強コンビのSHOさんとHaさんが、このルートから雄鉾岳西峰へトライしたことを知った。その後、雪は降らなかったので、トレースは残っているはず。しかも、この2日間の暖気で解けて、夜にはマイナスになるので固くしまっている・・・このチャンスを逃す手はない・・・昨日は休養して、今日に備えた。
果せるかな、目論見通り、トレースは固くなっていて、往路はずっとツボ足で歩くことができた。復路は気温が上がり埋まるようになったので、かんじきで歩いた。2人のトレースのお陰で、割れ岩下の急斜面も怖々ではあったが登り下りすることができ、稜線上の岩の根元のまで登ることができた。まさにお二人に感謝!感謝!である。
雲石峠から林道を辿り、その終点からはスタート地点より低い400mの最低コルまで下ってから登り返すことになるが、トラックログを見ると、見事に道南の中央分水嶺を繋いでいた。今日歩いたルートの西側に降った雨は日本海へ、東側に降った雨は太平洋へと流れて行くことになる。
7:00雲石峠~7:45最低コル(400m)~9:00割れ岩<往路2時間> 9:10割れ岩~10:20最低コル~11:10運石峠<復路2時間>。
行きも帰りもきれいに2時間ずつであった。ラッセルがない分、たいして疲れもなく、固くなったトレースのお陰で楽勝のゲットだった。ちなみに、超健脚の2人でも割れ岩まで3時間を要している。
7:00、昔の八雲と熊石の境界だった雲石峠をスタート。
その先の林道に固くしまったスノーシューのトレースが続いていた。
林道終点付近から雄鉾岳と重なって見える割れ岩との対面。ここから最低コルまで下って行く。
最低コルから登り返して平らな尾根に出ると、雄鉾岳と割れ岩と再びご対面。ここから見る割れ岩はビル解体の重機のハサミを連想させられる。
割れ岩の下の急斜面が気になる。時期が悪いと雪崩の危険性もありそうだ。しかし、2人はそこを登り下りしているはずである。
割れ岩に近づいていくと、雄鉾岳は見えなくなり、目指す割れ岩だけが目の前にど~んと聳える。
この先で、2人は急斜面の登りに備えて、スノーシューからかんじきに履き替えていた。しかし、こちらはツボ足でそのまま登った。
急斜面に取り付く手前の岩の下に氷柱ができていた。
頭上に覆い被さるような割れ岩の下の急斜面に続くトレースを辿り、左側の根元へと登っていく。
ここは、時期が悪いと雪崩が起きても不思議ではないところである。もし、このトレースがなかったら、この下で諦めていたかもしれない。
9:00、稜線上の割れ岩の根元に到着。
その地点から、2人が2日前に登った雄鉾岳西峰までの岩尾根を眺める。よくもまあ、こんなところを登る気になるものだ。それ相応の装備と技術があるからできることである。2人は西峰のすぐ下まで登ったが、新雪が柔らかくて深いために登頂は断念したようだ。
割れ岩の裏側から毛無山が見える。この山は、SHOさんと2人で登り、最初の大腸癌発見に繋がった忘れられない山である。
割れ岩の表側から遊楽部山塊の連なりを眺める。
ゆっくり休みたいところだが、高所恐怖症としては尻が落ち着かないのと、ここからの急斜面の下りが気になって、のんびりしていられない。
ここからの下りは転倒したら、ずっと下まで滑落を免れない急斜面である。かんじきを履いて、ストックを頼りに一歩一歩慎重に下った。
その途中から噴火湾の方を眺めたら、雲海(海洋性のガス)で覆われていた。
割れ岩下の急斜面を下り終わってホッとして、かんじきを外して一休み。しかし、ツボ足では気温が上がり雪が緩んできて埋まるようになったので、再びかんじきを履いた。結局最後までかんじきで通した。
11:10、マイカーと夏冬2回も登っている岩子岳(左)とペンケ山(右)に迎られて無事にゴール。この2山は今は亡き斎藤さんと2人で冬に登った山である。
まずは、SHOさんにお礼のメールを入れ、妻にラインで下山報告。その後、久しぶりの八雲温泉おぼこ荘の温泉に入って帰路に就いた。