嶋津隆文オフィシャルブログ

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倉本聰のこだわり、ハヤシライス

2008年12月27日 | Weblog

いよいよ年末です。久しぶりに乗った朝の中央線が混んでいなかったことに驚きました。学生が休みに入ったからなのでしょうか。しかしその電車にゆられながら、年末の誰もがそうであるように、ぼんやりとこの一年を振り返りました。そして今年もまた完成感の少ない一年であったと、降車した駅で風の冷たさをひとしお感じた次第でした。

そういえば、いつの頃からケジメや信念というものに鈍感になり、中途半端さを気にしなくなってきてしまったのかと、思い始めないわけには行きません。

倉本聰のドラマ「風のガーデン」が終わりました。名作「北の国から」と同じ富良野を舞台にし、ガンに犯された主人公中井貴一を軸に、親子と男女、友人という幾人もの心のひだを丁寧に描いたドラマです。この脚本家の名人芸には、つねに舌を巻くというものです。

20年前(1990年)に東京都の駐在代表をしていたニューヨーク市で、その彼に会いました。そこで、こんな話しを聞かされたことがありました。
「現代人は物ごとへの“こだわり”ということを忘れています。これはいけません。自分は常に“こだわり”ということを大事にしたいと思っています。」

そしてこう話しをつなげたのです。
「例えば、ハヤシライスです。僕はハヤシライスにおおいに“こだわり”を持っています。」「第1にハヤシライスには、緑の色鮮やかなグリーンピースが載っていなくてはいけません。」「・・しかも第2にそのグリーンピースは、必ず3粒でなくてはいけません。」

思わず大声で笑ってしまいました。いやあ、楽しいしゃべり方をする人だなぁと感心もしたものです。しかし、最近になってひどくその言葉を反芻するようになりました。そうなのです。いつの間にか、すっかり“こだわり”を持たなくなってきている自分に気がついたからです。人へのこだわり、言葉へのこだわり、政治へのこだわり、そしてゴルフへのこだわり。

人は加齢とともに、執着という作業を忘れてしまうのでしょうか。それが生きるチエというものかも知れません。しかし、ニューヨークで“こだわり”を強調していた倉本聰は、今の自分とほぼ同じ年であることに気づきます。同じ状況に置かれながら、この危機感の持ち方の違いはいかがなものなのでしょう。そう考えると、またまた木枯らしが身に沁みる年の瀬なのです。
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