国分寺駅北口に広大な森として広がる日立中央研究所。コロナ禍で中断されていた市民開放日がやっと昨日設けられ、楽しみに足を運びました。大正期に今村銀行(後の第一銀行)頭取の今村繁三が6万坪余の別荘地としていたところです。
目的はその一角の大池(おおいけ)です。野川の源流のひとつで、面積3千坪。カモたちのほか白鳥が悠然と泳いでおりました(写真)。聞くとこの白鳥は皇室から下賜された2羽とのこと。しかしよく見ると羽が切られているのに気づきました。大事な白鳥なので逃げられてはならないための措置のようです。
この敷地は昭和17年に日立の研究所となります。その折、創業社長の小平浪平はこう厳命したと記録に残ります。「良い木は切らずに、よけて建てよ」。そうして保たれてきた国分寺崖線の壮大な自然林の中で、しかし羽を切られた2羽の白鳥が泳ぐのです。帰路の思いは複雑でした。