嶋津隆文オフィシャルブログ

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寄贈の渡邉崋山「千山万水図」は時価1億円以上

2015年01月26日 | Weblog

【千山万水図】

さて今日は前回に続いて田原の文化に関わるブログです。

郷土の先人、渡邉崋山の晩年の作である「千山万水図」。まぎれもなく国の重要文化財に指定されています。この貴重な作が、何と所有する秋田の篤志家からわが田原市博物館に寄贈されたのです。

「本格的な遠近法を用いた作で、晩年の崋山の代表作。市場では時価1億円とも1億5千万円とも言われます」とは当館の学芸員の談。

「慎機論」での幕府批判などで捕まった、いわゆる蛮社の獄での崋山が、蟄居先の田原の池之原で描いた天保12(1981)年の作です。この絵を書き上げたわずか4ヵ月後に「不忠不孝渡邉登」としたため割腹自殺をしています。

自身がかつて周遊した三浦半島を描いたものではないか、浮かぶ船は黒船でなく中国船であるもののやがて到来する開国の予兆を示したものではないかなどとも指摘されます。そう聞かされると、この穏やかな山水風景が、崋山の晩年の口惜しさを伝える心象風景とも思えてくるというものです。

今年の4月には特別企画展として一般に公開されます。多く郷土の方たちの目に触れることを期待したいものです。


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