上砂理佳のうぐいす日記

7月18日(木)~23日(火)まで、茶屋町の「ギャラリー四匹の猫」で「夏への扉」展に参加します★

死と再生

2007-09-10 | 大ちゃんたら大ちゃんたら

WFS最新号の野辺山レポで、大ちゃんの「見~た~な~^^;」の写真がありますね。「バチェラレット」のラストポーズ。好きやわ。
あのポーズは撮影しやすいのか、そこここで見られましたが(イタリアショーの写真も白眉ね)、私、アレを見る度に「サロメやなあ…」と思うんです。
ヨカナーンの首を持つサロメ。
血がしたたるの。そしてその首(顔)に接吻する。
あれは「首」を持ってるように思えて仕方ないのです。私には。

ワイルド(だよな)の戯曲は読んでませんが、バレエでかなーり前に、パトリック・デュポンというフランスのダンサーが「サロメ」を演じていたのですね。サロメは女性なんで、トーゼン女装ですね。ごっつい筋肉モリモリの体でスカートはいてました。振付は「ボレロ」で有名なモーリス・ベジャール。
この舞台がなかなか強烈で、今でも、首を持ったデュポンの白塗りの不気味な笑顔を思い出します。「哄笑」というか、あざけるような笑い顔。最後は、自分で自分の首に接吻しちゃうかのような。
あのバレエを思い出す!
そして、ビアズリーの「サロメ」の挿絵も浮かんでくる。
愛する余りに殺してしまうかのような、でも愛している対象は実は自分。残虐で屈折していて。あのワンショットからは、そんなものも感じられる。
みやけん氏と大ちゃんの間で、どのようなやりとりがなされて、ああなったのか?…いや案外、しょーもない理由だったりして(笑)。
まあ、そんなことはいいんですが。
              ★
DOIで最初に大ちゃんの新作「バチェラレット」を見た時は、「んんん~?」だった私ですが、その後、FOI→PIWと短い期間で変化していく過程を見られて、なかなかに興味深かったです。やっぱり「芸術探求」です。「アイスショーをお気楽に楽しむ」モードにはなり得ませんでした(笑)。
最初は「暗闇で…または深海の底でうごめく生物」だったモノが(あるいはホタルイカが)、FOIの最終回で「悲しみの錆びたナイフは空(くう)を切る」となり(?)、PIWでは「死の世界を彷徨う若者は、再びそこから蘇生する」…とまあ、こうなりました。はい、わけわからんね。わかわからんよ、うぐいす。いーのよ。自分のブログだし、恥かいてもいーのよ(笑)。

FOIの時はね。ライサチェク「カルメン」の後だったからか「迫力!」→「迫力!」と、男性パワーが続いて、とても流れ的にも良かったと思うのです。大ちゃんはやっぱり「内に向かっていくパワー」な所が、ヤグディンにちょっと似てる。ライサはプルシェンコ的というか、わかりやすい「派手」。どっちが好きかは、人それぞれなんだと思いますが。なかなかこの、二人の対照的な色合いも見ものでした。
なんか、あの時は「ピーン」と張り詰めたものが動きの一つ一つに込められていて、見えない敵と闘っているようにすら見えた。ナイフを振りかざして攻撃してはいるんだけど、結局は自分で自分を切り刻んでいるかのような。だから「ケモノ」に思えたのかな?
DOIの時、私は「面白いな~綺麗だな~。大ちゃん、“舞って”いるな~」とは思ったけれど、肝心の「ダンスの核」みたいなものは見えてこなかった。だからすーごい、抽象的なモヤモヤとしたものだけ、持って帰った。
でも、FOIでしっかり「ダンスの核」が見えてきて、「あー大ちゃん、この踊りが体の中に入ってきたんやね?」と思えた。
              ★
プリンスで見た時は、あまり調子自体は良くなかったのかな~とは思うんですが、少なくとも「ナイフを振りかざして」いるようには見えなかった。
半ばでサーキュラーステップ的に踊る部分が増えてて、その箇所がですね。「死の世界を彷徨う」ように見えました。御本人曰く通り、低い姿勢が多いせいでしょうか。決して「元気ハツラツゥ!^▽^」と、天に向かってアピールする動きではない(笑)。
「わー。さまよってるわ。さまよってるよ。この若者はどうなるんじゃろか。」…と、おののく私。暗闇の世界だよなあ~。後に照明ナシのバージョンも、Yのつく動画サイトで見ましたが、やっぱり体のまわりを「闇」が、まとわりついてるよーに見える。
でも、「死の世界」から輪廻転生でまた蘇る、と思ったのは、大ちゃん自体が若いせいでしょうか。滑りが若い、というのはやはり否めないのよ(笑)。この場合の「若い」ってのは「青くさい」意味ではなくて、「生命感がしっかりある」そういう意味です。
だから、「死の世界なんだけど、ドクドクと赤黒い血が地下鉱脈のごとく流れてる~」そんな感じさえあったプリンス公演。
               ★ 
なんか、不思議やねえ。
ランビエールの「ロミ&ジュリ」だったら、「ああ、素敵やったね~(ポッ^^)」と、一度見ておおいに納得して帰ってきて、ある意味そこで完結してしまう。技術も魅せ方もパーフェクト(に近い?)。であるが故に、そこから拡げようが無いというか、私が絵を描いているせいかもしれないけど、イメージが膨らんでいかないんですね。
でも、大ちゃんのこのナンバーって、はっきり言って未完成な部分がいっぱいあるから、「ああかな?こうかな?」って妄想をたくましくして、「エイッ!」と自分を引き上げないといけない。自分自身をエモーショナルにせざるを得ないというか。
完成していないから、「次に見た時はどうなるんだろう!?」と「もう一度見たい」欲が湧いてくる。「もう一度」「もう一度」…と。こうしてドツボに嵌っていくんですね。あーこれって、みやけん+大輔の「思うツボ」かな(笑)。
★つづく(まだ続きます~ひゃあ^^;)
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5 コメント

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イメージ膨らみました♪ (karu)
2007-09-10 10:46:15
お久しぶりです~!
朝だと言うのに、うぐいす様の世界に没頭。すごく面白い(興味深い)です~~!
>「生命感がしっかりある」スケートに囚われの身としては(笑)、
>「わー。さまよってるわ。さまよってるよ。この若者はどうなるんじゃろか。」… 
この気持ちをひしひしと実感します。だから目が離せないんですかね~。
バチェラレットの変化(進化?)を目の当たりにされたことがとても羨ましいです。本当に、、自分の中でイメージが膨らむプログラムですよね~。うぐいす様のおかげで、私もまた違うイメージを得られました♪ ありがとうございました~!
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うぐいすさん、さすが~! (ミント)
2007-09-10 11:25:43
うぐいすさん、お久しぶりです。
思わずサロメに反応してやってきました(笑)
ビアズレーの挿絵は若かりしころからいつでもどこでも思い出せるくらい頭に残っていまして、当時はいけない絵に惚れてしまったのでは、秘密にしておこうなどと思っていました。実は私もイタリアのショーの写真は同じことを思ったんです。うぐいすさんと一緒で嬉しいな~(笑)それからちょっぴりクリムト風大ちゃんを想像したりして…。
うぐいすさんの芸術家としての視点から見たバチェラレット論がこれからどのように広がっていくか楽しみです。
ところで、うぐいすさんはヒップホップ聞かれますか?私自身はそっち系は疎いのですが、大ちゃんの新分野?開拓にワクワクしています。
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エロス・タナトス (ソフィア)
2007-09-11 01:17:41
うぐいすさん、こんばんわ。
やっぱりそうですよね。
「高橋大輔にみる『エロス・タナトス』の考察」
これ、私が大輔君の滑りを見る度に考えさせられるテーマなのですわ。これ語らせると長いですよ。今日は語りませんが。(笑)
閑話休題
日米対抗、大輔君の出場が決まったようですね。「なんとかなる」が今年のテーマな大輔君のことだから、出ると決心したからには「なんとかする」のでしょう。私たちは暖かく見守るしかありません。
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クリムト風味もあるわ~ (うぐいす)
2007-09-11 01:22:56
>karuさん、暑い夏でしたね。お元気ですか~。
大ちゃん、何を滑っても「生命感」だけはヒシヒシ伝わりますわ。なんか、滑ってる時間を一緒に共有するのがこちらも嬉しいんです。ライブ感?つうんですか。でもまだ「ダメッ子」の時もあるけど(笑)。
私の芸術感もかなーり異常で暑苦しいのですが、どうぞお気楽に読んでください~(笑)。

>ミントさん、うわー。お仲間で嬉しいです^^;
イタリアの写真、すぐにサロメ連想しましたよね…カメラマンは意図してたのかな!?
うんうん、クリムト風大ちゃんも退廃的でよろしいですねえ。
ビアズリーは私も、たっかい画集持ってますが、ミントさんもお好きだったのですね?あれは…かなり大変なことになってますよね(笑)。エロス・オンパレードだし~。でもあの線描と独特の白黒の世界が好きなんです(大ちゃんは、クリムトもビアズリーも知らないかな…きっと)。
ヒップホップも、ジャズでもバレエでもタンゴでも、大ちゃんが滑る(踊る)のならば、どんとこい!です♪
でも、ストリート系のファッション似合うから(小柄なせいか?)、私、衣装もむっちゃ楽しみです!
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あれ、入れ違いに~ (うぐいす)
2007-09-11 01:31:35
なってしまった。ソフィアさん、こんばんは^^
大ちゃんの滑りって、なんか、人の気持ちをザワザワさせるものがありますよねー?創作をしてる人なんかは、おおいにインスパイアされると思うんですよ。
でも、ソフィアさんの「大輔語り」を大ちゃんに聞かせたら、またまた逆インスパイアされるのではないでしょうか(笑)。
日米対抗戦、発表されましたね。スケジュールも忙しいから大変だろうけど、怪我しないで元気!で滑ってくれるよう、またまた皆で「気」をおくりましょう~(もういくらなんでも、アメリカ行ってますよね…)。
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