木漏れ日

日差しがキラキラと躍ってる…

最近読んだ本『悪人』

2010年09月08日 | 読書
最近読んだ本
 『悪人』 吉田修一著

映画館の予告編で存在を知り
 2008年本屋大賞の4位にタイトルを見つけ図書館に予約を入れ順番が回ってきました



重いです 読み始めは重くって怖くって読むのをためらい
 でも読み進めるうちにのめりこんでいきました

加害者と被害者と関わった人
 そしてそれぞれの家族の日常と心情 揺れ動く様が描かれています
 

誰が悪人か…
 
いいカッコしい
原因を作ったことへの反省もせず笑って平気で過ごしている男
自分の思いを遂げる為の女
責任を転嫁する人
悪徳商法に関わる人
 などなど…

やりきれない思いです

その中で 
 殺された女の父親が 峠に連れて行った男の友人に話し掛ける言葉が印象的

「あんた大切な人おるね」

「その人の幸せな様子を思うだけで、自分までうれしくなってくるような人ったい」

「今の世の中大切な人がおらん人間が多すぎったい。
  大切な人がおらん人間は、何でもできると思い込む。
 自分には失うもんがなかっち、それで自分が強うなった気になっとる。
 失うものがなければ、欲しいものもない。
  
 だけんやろ、自分を余裕ある人間っち思い込んで、失ったり、欲しがったり
  一喜一憂する  人間を馬鹿にした目で眺めとる。
 そうじゃなかとよ。 本当はそれじゃ駄目とよ…」
             (本文より引用させていただきました)
     

この言葉に 「そうそう そうよ」 と頷いてしまいました

大事な人がいる人はその人を悲しませる事はできないでしょう
 傷つけることもできないはず
孤独という名のさびしい 恐ろしい負のエネルギーも存在しないでしょう


光代とめぐり合い時を過ごすうちに祐一の心は温かく変わっていくのがわかります
 
それは守るものができたから…

なぜ、もっと早くに出会わなかったのだろう…もっと早く出会っていればよかった
 祐一のせりふが心に迫ります 

最後に祐一が光代にした行為は守るものへの優しさ 温かさ 
 光代はそれを理解できたかしら?

せつない思いで読み終えました


誰もが善人であり悪人である可能性
 ボタンの掛け違いでは済まされない現実も起こりうること 
  人間であることの哀しさ


映画がまもなく公開されます

本を読んだ後映画を観るのは 自分が作り出したイメージとちょっと違うことが多く危惧されますが

分厚い本を2時間くらいの映画にするには伝わらない部分も在るのは仕方ないこと
 いちばん伝えたい事が表わされていれば良いし
本と映画は別物と思って観れば 又何か発見があるかも…


妻夫木君が この本を読んで祐一役を志願したとか…
 この祐一役には 思いいれも多くかなり力を注いだ様です
そして嬉しい事に深津絵里さんが第34回モントリオール世界映画祭で最優秀主演女優賞を受賞しました
 
おめでとう
 素晴らしい
  快挙ですネ

妻夫木君も深っちゃんも素敵な俳優さん 大好きです
 どんな風に描かれているか楽しみに観に行くことにしましょう



ついでに この作品 第61回毎日出版文化賞も受賞したそうです


次には娘から借りた本
 米澤穂信著『ボトルネック』宮部みゆき著『レベル7』
が待ち受けてます

術後の治療中にはパワーが無く<サスペンス>や<ミステリー>が読めませんでした
 映画も本ももっぱら楽しいのやハートウォーミングの物でした

元気になってそれも大丈夫 ドキドキ怖いもの観たり読めるようになりました^_^; 


読書の秋も近づいて…全然秋らしくなく暑い毎日ですが
 秋の夜長 読書でドキドキ ワクワク まったりできたら最高 良い時間です