7月に読んだ本

7月の読書メーター
読んだ本の数:16
読んだページ数:4310

レクイエム (白水Uブックス―海外小説の誘惑)レクイエム (白水Uブックス―海外小説の誘惑)の感想
再々読。今年の7月を惜しんで。7月30日の日曜日にはちょっとフライングだけど。前回読み返したのが7年まえの7月なので、7年前の私は同じことを思い付いたらしい。“いいかい、お若いの、このままじゃいけないよ、現実の側と、夢の側、二つの側で生きることなどできっこない。”
読了日:07月28日 著者:アントニオ タブッキ
寡黙な死骸 みだらな弔い寡黙な死骸 みだらな弔いの感想
再読。幾度目かの。連作短篇集なのだが、その繋がりの思いがけなさと不気味さがいつまでも後をひく。「白衣」から「心臓の仮縫い」「拷問博物館へようこそ」の流れがとりわけ好き
読了日:07月27日 著者:小川 洋子
星旅少年3-Planetarium ghost travel- (パイコミックス)星旅少年3-Planetarium ghost travel- (パイコミックス)の感想
そういうことだったのか…! の巻だった。ウーノさんが可愛かった。あと、「ふくろラーメン うず」で使ってたのがスガキヤのラーメンフォークで、ふふっ…となった。
読了日:07月26日 著者:坂月 さかな
凍りついた香り凍りついた香りの感想
再読。幾度目かの。とても好きな作品なのだが、今読むとあらためて、弘之のような子どもについて使う「ギフト」「ギフテッド」という言葉の皮肉を思わずにはいられない。傍からは贈り物に見える。でも。“「静けさが何より大事なんです。匂いをかぎ分けようとする時、人は誰でも自分が抱えている広大な過去の世界へさ迷い出て行きます。過去の世界に音はないんです。夢が無音なのと同じです。その時道標(みちしるべ)になるのはただ一つ、記憶だけです。」”
読了日:07月25日 著者:小川 洋子
祈りの島祈りの島の感想
隅々まで堪能した。続篇として期待していたけれどシリーズの第2作とまでは思わず、まだまだ続くなんて嬉しい。人間の脳を喰って体を乗っ取るカタマイト(侏儒)、時を超える舟、『永遠の存在』であるという旅の劇団、祈りの島を指し示す一角獣の浮彫、聖マンゴーの残した文章、教皇庁の思惑、〈シルバリン〉…。鏤められた言葉が符牒のようで、解けきれない謎が気になる。
読了日:07月24日 著者:服部独美
教皇庁の使者教皇庁の使者の感想
再読。大変好みな幻想小説。『祈りの島』のために先に読み返したら、断片的にしか覚えてなかった… “書物を読んで頭の中に生じるものは、模型のようなものなのだ。好みに添うよう変形を加えられた模型。さらにそこに好悪や個人の思いが加わるなら、元の形を想像することすら困難なほど奇怪に歪んだ、あるいは逆に驚くほど美しい形に他者からは見えるものかもしれない。そして恐ろしくも滑稽なことに、当の本人は自身のこしらえた模型をしごく正常(まっとう)なものとして、他人には異(ちが)って見えることがある、などとは考えもしないのだ。”
読了日:07月21日 著者:服部 独美
やさしい訴えやさしい訴えの感想
再読。幾度目かの。流れ続けるようなチェンバロの音色。その鋭さと柔らかさ、清らかさと影が、物語そのものの余韻に静かに重なる。“彼らの姿は祈りの形に似ていた。ふとわたしの耳に、『預言者エレミヤの哀歌』がよみがえってきた。二人だけで共有している過去の時間が、煙に姿を変え、空の高いところへ運ばれていった。すばらしく青い空だった。”
読了日:07月18日 著者:小川 洋子
ジョゼフ・コーネル コラージュ&モンタージュジョゼフ・コーネル コラージュ&モンタージュの感想
「ジョゼフ・コーネル コラージュ&モンタージュ」展の図録だが、日記や手紙の抜粋、映画作品の紹介や論考…と、観て楽しむだけでなく読み応えもあった。“言葉で限定することはできないが、コーネルの作るものには、過去でも現在でもあるような時間の断片が永遠にとどまっているという感覚を覚える。物たちはさりげなく配されたように見えながら、互いに響きあい、暗号を送りあって、その世界の仕組みを形作っている。時が、その空白の間も、透明に満たす。”(岡本想太郎「展覧会解説」)
読了日:07月18日 著者:ジョゼフ・コーネル,ジョナス・メカス,アン・モラ,フェアフィールド・ポーター,金井美恵子,岡本想太郎
夏至遺文 トレドの葵 (河出文庫)夏至遺文 トレドの葵 (河出文庫)の感想
まず絢爛、そして読むことの快感。とりわけルビ好きには堪らない。〈夏至遺文〉のお気に入りは「禽」(いきなり怖い!)や「葡萄鎮魂歌」、「僧帽筋」で、〈トレドの葵〉では「七星天道虫」と「凶器開花」、「虹彩和音」。特に「凶器開花」は、こういうの幾らでも読みたい…と思ったし、「虹彩和音」の一篇一篇に添えられた短歌はとても味わい深い(短歌落ち、みたいな)。皆川博子さんの「我が師 塚本邦雄」でとどめを刺された。
読了日:07月14日 著者:塚本 邦雄
スピン/spin 第4号スピン/spin 第4号の感想
[小特集 少女小説]のエッセイをうんうん頷きながら読む。『シンデレラ迷宮』と『赤毛のアン』。あと、こう言うのは好みじゃないし苦手だなぁ‥と思っていた「典雅な調べに色は娘」が、今回はじわっと面白く読めていた。
読了日:07月12日 著者:恩田陸,尾崎世界観,斉藤壮馬
九月と七月の姉妹九月と七月の姉妹の感想
とても、、、よかったです(微妙な間を察して)。あまりにも緊密(…という言葉でも言い尽くせない)に繋がった姉妹の一方的な関係には嫌悪感を禁じえず、それでいて詩のような語りは美しくて。訳者あとがきにある、「シャーリイ・ジャクスンの影響を受けている」という件に納得。“わたしは宇宙から切り抜かれた影で、死につつある星々の色に染まっている──そしてセプテンダーはわたしが世界に残した穴を埋める人間だ。二人が何年も前に交わした約束を思い出す。”
読了日:07月11日 著者:デイジー・ジョンソン
ルクレツィアの肖像 (新潮クレスト・ブックス)ルクレツィアの肖像 (新潮クレスト・ブックス)の感想
素晴らしかった。まず何より、ルクレツィアの造形に魅了された。非凡な賢さと豊かな才能、誰にも見せない密かな憧憬、撓むことのない己を持つ15歳の少女。冒頭でいきなり驚かされて、どうしたって其処に行き着くんだな…と思いつつ、時間軸の工夫もあり物語の展開に引き込まれた。そして彼女のような女性たちのことを思うと、遠い未来からでも憤ってしまう。“気を付けて、とルクレツィアは声を出さずに呼びかける、気を付けて。イーピゲネイアの父親が、これから結婚するのだぞと娘を騙して生贄にしようとするのが、彼女には耐えがたかった。”
読了日:07月10日 著者:マギー・オファーレル
ミライの源氏物語ミライの源氏物語の感想
うんうんうん、なるほどなるほど…と頷きまくりだった。源氏物語を好きなはずなのに、今読んだら以前よりもっともやもやの駄々洩れに邪魔されて、昔みたいには楽しめなかったりするのかな…と思っていたところだったので。いつかまた読み返すのが楽しみになった。
読了日:07月06日 著者:山崎ナオコーラ
ヴィクトリア朝 病が変えた美と歴史:肺結核がもたらした美、文学、ファッションヴィクトリア朝 病が変えた美と歴史:肺結核がもたらした美、文学、ファッションの感想
“十八世紀後半から十九世紀初頭にかけて、美しさをめぐる文化的な考えかたが結核という病気と組み合わさった結果、その病気の猛威は美しい光で飾り立てられた。” “つまり、結核は女性にとってよい病気、美の理想やファッションで手本とされる病気と解釈された。(略)たとえ反証があっても、結核は比較的苦しみが少なく美しい死にかたとして描かれた。” “肺病に苦しむ女性たちはますます、その繊細な(ほとんど現実離れした)美しさで賛美されるようになり、それは青白い顔、ほっそりした体、透明感を特徴としていた。”
読了日:07月05日 著者:キャロリン・A・デイ
どれほど似ているかどれほど似ているかの感想
素晴らしかった。とりわけ好きなのは表題作と、「0と1の間」や「赤ずきんのお嬢さん」「ニエンの来る日」「鍾路のログズギャラリー」。辛い内容ではありつつ、最後に光を見ようとしてしまう
読了日:07月04日 著者:キム・ボヨン
神作家・紫式部のありえない日々 3巻 (ZERO-SUMコミックス)神作家・紫式部のありえない日々 3巻 (ZERO-SUMコミックス)の感想
面白楽しかった〜。沢山笑って満足
読了日:07月03日 著者:D・キッサン

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