8月25日

 @rinakko
 【眉輪/野溝 七生子】を読んだ本に追加

 素晴らしかった。あまりにも文章が麗しく読んでいるだけで恍惚…なのだが、その内容は古事記をなぞる血腥い悲劇だった。稚い少年王の直ぐな願いと言葉たちが、そして大長谷王子の凄絶な孤独との哀しい比が、胸を衝く。目次の中に「異説ハムレツト」の文字を見たときは一瞬なるほど…と思ったけれど、ハムレットと称するには眉輪王の幼気さが際立ち過ぎて。
 王妃たちの愛と怨嗟の声もただ苦しく、韓媛の存在だけが灯のようだった。

 “「さよなら、可愛い子、この手で地軸を触つて御覧、この小さい手に、私は地球を載つけて上げよう。」”

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