8月18日

 @rinakko
 【狂える者の書 (パラディスの秘録) (創元推理文庫)/タニス・リー】を再読した本に追加
   
 再読。素晴らしかった。“狂える者”たちへ注がれたタニス・リーの眼差しは、静かで優しくて胸を衝く。
 三つの並行世界(パラディ・パラダイス・パラディス)に、狂気の街で狂気を免れ(故に正常ではない)徒に殺人を繰り返す双子の兄妹、いとこに陥れられ監禁状態にある酒飲みで美貌の画家、そして可哀そうなマーマレード色の髪の少女がいた。主人公たちの運命は苛酷だったけれど、各々の魂が行き着いた先に微かな光を思う。
 (オレンジ、ジン、ペンギン…の不思議な組み合わせも大好き)

 “パラディには多くの側面があるが、地上の天国と呼ぶのは憚(はばか)られる。そう、パラディスは影の都であると、かの街の書物が伝えている。けれどもこのときは違った──この数刻のみは。それこそがパラディスの狂気。”

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