8月7日

 @rinakko
 【奇病庭園/川野 芽生】を読んだ本に追加
 
 素晴らしかった。人がかつて失ったものを再び備えるという奇病、ある者は角を、翼を、鉤爪を、鱗を…突如生やしだす。奇病は種類に富み、それが死因になる者、危険視される者、搾取される者、忌み嫌われる者、自由を得て何処かへ消え去る者…などなど。
 そんな禍に陥った世界は、さぞや恐ろしくおぞましいものへと変わり果てるだろう…と思いきや、むしろ驚くべきイメージはますます豊かに目眩いていくし、その中にある異形のものたちの姿は美しい(そして少女と異形は似合う)。
 幾つかの物語の糸が絡み合い結ぼれていく様も、見事だった

 “彼女は〈彼女〉ではないし、少女は〈少女〉ではない。だからほんとうは、この物語は何の意味もない言葉で、何の意味も持ったことのない言葉で、綴られるべきなのだ。ほんとうは。”
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