ら族の歳時記

「道が分かれていても人は幸せになる道を選ぶ能力がある。」
能力を信じ、心の安らぎの場を求めて、一歩一歩。

図書館戦争シリーズのテーマとは

2012-09-13 22:50:28 | 本を読みました

図書館戦争、全巻よみましたよ。

 

 

 

 

 

 以前は、

「本を守るために戦う女の子(笠原郁)と、

女の子を鍛え上げつつ、女の子を守る堂上教官との話し」

と簡単に紹介しましたが、実際は深い深いテーマがあると思います。

 

図書館戦争では、昭和の終わりの年に「メディア良化法」が成立しと

なっていますが、

実際は、人権擁護法案というものが昭和の終わりの年に成立されています。

すぐに廃案になったようですが。。

これがもしも30年先にも残っていたらというのがこの小説です。

 

メディア良化法は、「公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる」とされていますが、

実質上の検閲の合法化です。

そして、検閲に関する権限があいまいで拡大解釈の余地があり、

検閲の基準が執行者の恣意で左右されるというものでした。

具体的には、小売店に対する入荷商品の検閲、販売元に対する流通の差し止め命令、

マスコミに対する放送禁止命令などの取り締まりがありました。

マスコミは自主規制して、放送禁止にならないように回避し、

出版社関係は、検閲により回収(没収)対象にならないために同じく自主規制し、

それでも回収対象になってしまうので、

本の値上がりをさせて元を取るようにしていました。

検閲や本が高価なものになることにより、

人々は本を手にすることができなくなります。

その中で、図書館は「不当な検閲に反対する」と、

武力で検閲・回収から本を守り、人々に本を公開します。

その守っているのが郁たち図書館隊です。

 

 

と。。書いてもよくわからないと思うので、

主人公の郁が高校生の時に、10年ぶりに好きなシリーズの最新版が出ました。

しかし、「こじきのおじいさん」という表現があったために、

書店に並んでいたのを良化委員会により回収されようとします。

 

でも乞食って読んでごとく、「食を乞う人」。

そのままなんだよね。

生活保護がなければ時代や国であれば、物乞いをしないと生活が成り立たない。

そういう職業があっても仕方ないと思う。

これが人権侵害???と思ってしまう。

最近は、乞食はもちろんのこと浮浪者も使わず、ホームレス。

家のない人なら人権侵害にならないのか。。。。。

 

他にも、「床屋のおじいさんに育てられて」とアイドルの半生を語れば、

床屋が差別用語として、「理髪店」「理容店」に書き換えられてしまいます。

床屋のほかに、魚屋、八百屋も差別用語なんだって。。。。

 

原発へのテロ事件が起きれば、

手口が似た小説を書いた作家が執筆権差し止めになります。

再度作品をマネしてテロが起きないようにするためにとか。。。

 

小説の中ではとりあげていませんが、

「啓蒙」ということばがあります。

意味は、人々に正しい知識を与え、合理的な考え方をするように教え導くこと。

字の意味は、啓は「わからないことを教えて導く」

蒙は「他人から、行為や恩恵などを受ける。いただく。」

なのに、

蒙は蒙古人を差すとか、蒙は「めしい(=めくら)」という差別的な意味と解釈し、

よくわかっていない人にわからせてあげるといった、

相手を見下したような意味合いがあるので、

啓蒙でなく「啓発」を使うとか。

でもね。。

蒙古人をよくわかっていない人と解釈するのであれば、

蒙古人という表現を変えるべきだと思うのですが。。。。


他にも、「片手落ち」という言葉があります。

「配慮や注意が一方にだけかたより、判断などの不公平なこと」という意味ですが、

片手落ちが、障害や事故で片手のない人に対する差別を連想させるから

差別用語となるという。

でもね。

もともと「手」にはいろいろな意味がある。

「手ですること、手わざ、腕前、仕事や役割りをもつ人」など。

手落ちというのはその「手」という漢字の意味を否定することだと思う。

 

メディア良化法ではないれど、現在でもマスコミは自主規制しています。

 

図書館戦争シリーズの中で、ある登場人物が

「いかなる低俗・劣悪な表現であっても

 国民はそれを自分で見て判断する権利がある。

 メディア良化法は国民から判断の機会そのものを奪うから許されてはいけない」

といっています。

 

実際、そうだとおもう。

図書館戦争であげられている「差別」とか、現在のマスコミの自主規制とか。

もしもこの検閲がエスカレートしたら、

思想コントロールに発展することもある。

某社会主義国のごとく、また戦前の日本のように。

それを若い人に、表現の自由の大切さや書籍を自由に手に取れることを訴えるために

ライトノベルズやラブコメにしてこのシリーズを有川浩さんは書いたと思うのです。

まじめな本だったら、若い人は拒絶してしまうから。

だから、年配の人にもぜひ、書籍を自由に手に取れることについて、

この本を読んで考えてもらいたいと思います。

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