ら族の歳時記

「道が分かれていても人は幸せになる道を選ぶ能力がある。」
能力を信じ、心の安らぎの場を求めて、一歩一歩。

ラブコメ今昔

2012-09-28 23:52:50 | 本を読みました

有川浩著 角川文庫

有川さんお得意の自衛隊ラブコメです。

 

私は自衛隊に対して数年前まで偏見がありました。

国防としては中途半端な設備。

練習と称して、実弾を使い消耗する。

国防費も無駄な費用としか思えませんでした。

その無駄な費用を使う自衛隊員は、戦争オタクか。

当たり前なんだけれど、ニュース等で放映される自衛隊員は

無表情でロボットみたい。

自衛隊は、いらないんじゃないかと思っていました。

 

災害派遣の自衛隊に対しても。。

 

 

 

でも、東日本大震災以降、考えが変わりました。

 

原子炉を冷やすために、自衛隊が投入されました。

また、避難区域内に取り残された老人ホームの老人を

救い出すために、自衛隊が出動しました。

 

自衛隊は放射能に対しての教育訓練をうけているわけでも、

防護服をもっているわけでもないのに、

ロボットのごとく、消耗品のごとく、投入されます。

いくら国防のためとはいえ、危険に命をさらして。

あまりにもむごい。

(政治家もやはり自衛隊をロボットのように思っているのでしょう)

 

そして多くの人を救い、生活の援助をします。

子供たちは

「大きくなったら自衛官になって、人を救いたい」

と口々にいう。

規律の中にいて、無表情に接したのでなく、

人として接した結果だと思います。

 

自衛官も人間なんだなと。。。

 

 

あとがきに有川さんも書いています。

『自衛隊は命令に従うことしか許されない組織です。

そしてその命令を出すのは内閣総理大臣です。

逆にいえば総理大臣が出す命令ならば、

どんな命令でも従わなくてはならないということで

(中略)

しかし、どんな理不尽な命令でも、

彼らは命を懸けるんです。

(中略)

それでも私たちを見捨てないでいてくれてありがとう。

(中略)

それを「仕事ですから」と誇ることさえもせずに、

命を懸けるすべての人々が、

正しく報われる世の中であってほしいと思います。』

 


確かにそう思います。

震災で復興にお金がいる。

公務員の給与をさげて当てようということで

自衛隊の給与も該当しました。

自衛隊員は仕事とはいえ、最前線で常に戦い、

命の危険にさらされて、

休みさえももらえなかったのに。

本当に、正しく報われない世の中です。

 

 

さて、この本は、自衛隊員の恋愛事情です。

「ラブコメ」となっている以上、すごい恋愛コメディーで、

一瞬、「あほか」と思えるところもあります。

 

「今昔」となっているのは、

50歳代と思われる二等陸佐のおくさまとのなれそめが

書かれているからです。

 

二等陸佐は隊内結婚について語ります。

「子供ができたらどちらかが隊を辞すべきだというのが私の意見だ」と。

突然召集がかかり戦地に赴く可能性も命を落とす可能性もあり、

その非常事態に夫婦ともども命を落としたら子供はどうなる。

そういうことを想定して後見人をつけておくとかすべきか、

または子供を作らないか、どちらかが自衛隊を辞めておくべきというのが

陸佐の意見でした。

 

今までだったら、夫婦ともども召集がかかることはないでしょう。

実際、東日本大震災では、

長期にわたって被災地において自衛隊は活動しました。

交替で帰省することも、休日をとることもなく。

夫婦ともども召集がかかった人もいるし、

このときは予備役まで召集がかかりました。

 

また、戦時中は赤紙がきての召集だったので、

親しい人には別れを告げることができました。

自衛隊は、突然召集が来るので

別れを告げることもできずに召集されます。

よって、最後の別れを告げることもできずに別れることもあるのです。

 

自衛隊員でも人間です。

恋をします。結婚もします。家族を持ちます。

でも、緊急時は最優先で国民の安全を守ります。

この本を読んで、自衛隊員も人間であること、

そして国防とはどういうことかを知っていただけたらと思いました。

 

コメント
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