計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

空気中に含まれる水蒸気

2013年11月11日 | お天気のあれこれ
 上昇気流に伴って雲が出来、が降ります。このメカニズムには、空気中に含まれる水蒸気(水分)が重要な役割を果たしています。

 そこで、簡単な空気の塊を考えてみましょう。空気の塊の中には水蒸気が含まれています。


 これはまるで、空気の塊が「コップ」を持っていて、その中にを蓄えているようなものだと考えることが出来ます。

 実はこのコップは、ただのコップではありません。ちょっとした仕掛けのあるコップなのです。ちょっと、気になりますね。


 実は、このコップは周囲の気温によって、大きく膨らんだり、小さく萎んだりするのです。

 このコップの大きさ(容積)のことを飽和水蒸気量と言い、コップ一杯に水が入った状態のことを飽和と言います(そう、中学校時代の理科で勉強した、あの訳のわからない、難しい分野ですね)。

 続いて、すでに水の入っているコップが、周囲の気温低下に伴って縮んでいったらどうなるか、考えてみましょう。



 もちろん、コップは縮みますが、コップの中に入っている水の量は全く変わりません。やがて、水の量がコップの大きさよりも大きくなってしまいます。つまり、縮んでしまったコップの中に、水が収まりきらなくなるのです。

 このコップからあふれ出した水は(もはや抱えきれないので)空気の塊の外に放出されます。これが凝結です。

 ちなみに、中学理科では「飽和水蒸気量」を用いますが、気象学では「飽和水蒸気圧」を用います。

 コップの中に水が入っているとき、コップは水に圧力を加えていると考えられます。水の量が増えれば増えるほど、それだけより大きな圧力をかけるわけです。また、コップの容積が大きいほど、コップが水に加え得る(水を支えうる)圧力の許容量も大きくなる、と言うことです。

 結局、コップの中に含まれる水の量に注目したものが「飽和水蒸気量」であり、コップが水に加える(水を支える)圧力に注目したものが「飽和水蒸気圧」になります。
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