計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

建造物の通風・換気シミュレーション

2010年05月17日 | 計算・局地気象分野
 屋外で風が吹いている日に建物の窓を開けた場合、外の風が屋内に入るとどのような気流を形成するのかを解析してみました。解析結果のほんの一例です。


 図1・建物の1階における風の流れの様子(水平断面図)
 真ん中の長方形が階段に相当。左上の長方形はシステムキッチンに相当。


 図2・建物の1階における風の流れの様子(水平断面図)


 図3・階段の吹き抜け部の風の流れの様子(鉛直断面図)

 このような気流の解析の際は、建造物の数値モデルを用意する必要があります。もちろん、局地気象モデルであれば山岳地形の数値モデルが必要になるのです。山岳地形の場合は既に様々なDEM(数値地形モデル)が整備されておりますが、建造物の場合はその都度、自分でモデルを構築しなければなりません。しかも、単なる凹凸の組合せではなく、ボックスの配置を一つ一つ3次元的に設定しなければなりません。

 このため、まずは建造物の構造をプログラム言語のようなコード形式で記述する方法を考案し、このコード記述から数値モデルに自動変換するプログラムを作成しました。気流解析(熱流体解析)のプログラムは既にある3次元LESの局地気象モデルをベースに応用しました。

 ぶっちゃけ、建造物の構造をコードで記述するのが面倒です(爆)。もちろん、建築設計事務所など、建設系のシミュレーションを行う企業向けには専用のCAD/CAEツールも用意されているようですが・・・導入価格がン百万円のオーダーです。建築用図面の電子データをそのまま読み込んでシミュレーションまで自動的に行うようなツールですので、その位の高価なソフトウェアになるのも無理もないのでしょう・・・。

 こうやって、計算解析の技術も日夜研究を続けているのです・・・。

コメント
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