計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

梅雨末期の前線の動き

2023年07月19日 | 気象情報の現場から
 7月も半ばを過ぎて、梅雨末期となりました。この時期は梅雨前線の北上に伴い、東北・北陸地方を中心に大雨に対する注意が必要となります。

 先日・15日(土)~16日(日)の週末は、秋田県を中心に東北地方の北部で大雨に見舞われました。また、梅雨前線の南側では気温の上昇に伴う猛暑が顕著となりました。

 そこで、7月16日の主な特徴を模式図に表してみました。


 太平洋高気圧の北上に伴って、梅雨前線も東北地方まで北上しています。太平洋高気圧の縁辺に沿って、梅雨前線に向かう顕著な暖湿気の流入が持続しています。この構造が大雨をもたらす背景の一つとなりました。

 また、850hPa面の18℃等温線も北上しています。850hPa面は上空1500m付近に相当し、気温減率を6.5℃/kmと仮定して地上気温に換算すると「18℃ + 6.5℃/km × 1.5km ≒ 27.8℃」と「30℃」近い暑さに相当します。

  7月16日正午の新潟県内の気温と風の分布を見ると、標高補正値で「34~35℃」と非常に気温の高い地域が見られます。


 このように、梅雨前線の近くでは大雨に、また梅雨前線の南側では猛暑に、それぞれ注意が必要な状態です。

 そして、7月19日(水)の特徴を模式図に表してみました。梅雨前線が日本海を通って東北地方に延びており、前線上には低気圧も発生しています。また、太平洋高気圧の縁辺流に伴う暖湿気の流入も持続しており、大気の状態は不安定になっています。


 今後の前線の南下や低気圧の接近に伴う影響も気掛かりです。降水量が増えた場合は、土砂災害や河川の増水・低い土地での浸水のおそれもあるので、最新情報の確認を心掛けましょう。
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