計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

猛暑日が目立つ夏

2023年08月23日 | 気象情報の現場から
 この夏は(2023年)、いつもにも増して「暑さが際立っている」ように感じます。

 まずは、8月14日の14時30分時点での新潟県内の気温と風の様子です。台風7号の北上の影響で(図略)、北陸地方では南東の風に伴うフェーン現象が顕著に現れました。この夏は、このような高温の日が多いのが特徴です。




 そこで、新潟県内4地点の8月の日最高気温の推移(1976~2023年)を調べてみました。日最高気温は「猛暑日」「真夏日」「夏日」「夏日未満」の4階級に分け、各々の出現回数を表示しています。今年(2023年)は20日までの集計ですが、「真夏日」と「猛暑日」しかありません。また、「猛暑日」の出現回数が顕著です。






 さらに、上空の天気図を見ていると、「いつもの夏とはちょっと違う」と感じることがあります。一般的に、太平洋高気圧の目安としては500hPa面の「5880m」等高度線(ジオポテンシャル高度)に着目します。

 しかし、最近の数値予報図で暖湿気(高相当温位)の流れを見ていると、「5880m」等高度線の縁辺ではなく、むしろ「5910m」等高度線の縁辺を回り込んでいるように見受けられます。つまり、ここ最近については、太平洋高気圧の目安として「5880m」よりも「5910m」を見た方が良さそう(要は、高気圧の指標が平年よりも高め)と言うことです。

 次の図は2023年8月18日の模式図です。



 これら一連の背景を理解するために、最近(2023年8月中旬)の特徴をラフに描きました。南の活発な対流に伴って、偏西風や太平洋高気圧は北に偏り、日本付近における高温域の広がり(気温の底上げ)を招きました。

 また、偏西風の峰(リッジ)に伴い、高気圧の中心も東に偏り、日本付近では南風が目立ちました。この南風に伴うフェーン(風炎)現象が日本海側の高温に拍車を掛けた(さらに気温が上がる)ため、猛暑日の日数が増加したと考えられます。

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