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計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

上越の寝苦しい夜

2020年07月21日 | 気象情報の現場から
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https://ameblo.jp/qq-otenki-s/entry-12897845588.html


 今朝(2020年07月21日の朝)のFMラジオを聴いていた所「上越では蒸し暑く寝苦しい夜だった」と言う話題が出ていたので取り急ぎ、観測データを調べてみました。

 まずは、上越の代表地点として高田の7月の「平均的な時系列傾向」を調べました。
 2009年~2019年の7月の観測値(高田)を基に時別の平均値を求めて、平均的な時系列の傾向を調べてみました。まずは、気温・相対湿度・風向・風速の変化をグラフに表してみました。
(※いわゆる「平年値」ではないことを御注意下さい)

※ここでは最多風向を角度で表示しています。
 時計回りに東(90°)→南(180°)→西(270°)→北(360°)の順です。

 気温は「朝晩は低く、昼間は高い」パターンではありますが、それでも概ね25℃以上と暑い状態が続く傾向が見られます。また、相対湿度は「朝晩が高く、昼間が低い」パターンとなっています。それでも、75%以上と高い水準を維持しており、気温条件も考慮すると蒸し暑い状態が続きやすいことが判ります。

 平均風速を見ると「朝晩は風が弱く、昼間は風が吹きやすい」パターンが表れています。最多風向を見ると「朝晩は南風、昼間はほぼ北風」となっており、昼間は海からの風が入りやすい様子が見て取れます。

 続いて、06時,12時,18時,24時の風向の出現比率を風配図上に重ねて表示しました。


 この結果からも、夜間(06時と24時)は南寄りの風、昼間(12時と18時)は北寄りの風の傾向が明瞭で、海陸風の影響が表れています。


 平均的な傾向を把握した所で、今年の7月(2020年7月)のこれまでの推移に目を向けてみます。次の図は、7月1日から20日までの日々の最高気温・最低気温・平均湿度・最小湿度です。


 今年の7月は(20日までは)最低気温が20℃前後の日が多く、最高気温が25℃以上となっていました。上記の「平均的な時系列傾向」に比べると、最低気温が低めで推移していたことが判ります。一方、相対湿度は「平均的な時系列傾向」と大きく異なる傾向はみられませんでした。

 ここまでを踏まえて、7月20日18時~7月21日6時の最高気温・最低気温・風向・風速の変化を見てみましょう。


 20日の23時~24時に24℃台、また21日1時23分に最低気温24.0℃を観測しました。今年の7月の中では高い値ですが、上記の「平均的な時系列傾向」ではこの位が通常の水準です。夜間は概ね南風が弱く、早朝になって風が少し強くなりました。

 この間、上空では南西~西寄りの風に乗って(真夏のような)暖かい空気が持続的に流れ込んでいました。雲も広がっていたので放射冷却の効果は表れにくく、(涼しい)海風も入らないので、暖かい空気が停留しやすい状態が続いたようです。

 また、今年の7月は最低気温が(平均的な水準よりも)低めで推移していたことから、ことさら夜間の気温の高さが身に堪えたとしても不思議ではありません。ちなみにフェーン現象に伴う昇温は、これまでの経験上、上空の風が「南西~西寄り」の風よりも「南~南東寄り」の風の場合の方が顕著なようです。

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