退屈日記

とりあえず日々のつれづれを。

「泰西名画の『文脈』を教えてくれる本と『捕虜収容所』を描いた名作あるいは大昔の中国の怪異な物語」について

2021-04-14 02:17:09 | Weblog
雨。風も少々。

中野京子「新・怖い絵」を観て読む。

表紙はジョン・エヴァレット・ミレイの「オフィーリア」。
シェークスピア「ハムレット」を題材にした作品。

留学中の夏目漱石が見て感銘を受けたという「歴史」もあり。
「季節を異にするさまざまな植物」が描かれていて「花言葉」にも意味があるそう。

モデルになったラファエル前派の女性の哀しい人生など。
「美しい土左衛門の姿」を覚えておこう。

フリーダ・カーロ、ミレー、シャガール、ティツィアーノ、モネ、カラヴァッジョ、ゴヤ。
そうした中でかの「シリアルキラー」ジョン・ウェイン・ゲイシーの絵が。

著者が教えてくれるさまざまな「文脈」は実に興味深く。
「見ること+文脈」で「観ること」になるのだと思わされる。

ビリー・ワイルダー「第十七捕虜収容所」(’53)を久方ぶりに再見。

「脱走しようとするより収容所にいる方がマシ」というセフトンのウィリアム・ホールデン。
なぜなら成功してもまた新たな戦場に駆り出されるだけだから。

所長には監督としても有名なオットー・プレミンジャー。
「バッハに似た名前」のいかにもいやらしいシュルツにシグ・ルーマン。

捕虜たちを取り仕切る「ホフィー」にリチャード・エルドマン。
警備役のフランクに「スパイ大作戦」が懐かしいピーター・グレイヴス。

セフトンをスパイだと疑うデュークにネヴィル・ブランド。
「アニマル」ロバート・ストラウスと「シャピロ」ハーヴェイ・レムベックのコンビが愉しく。

「戦争神経症」を患うジョーイのロビンソン・ストーン。
「メイルマン」で独特の声の持ち主ウィリアム・ピアソンなど「キャラクター」の多彩さよ。

失った左足の「隙間」にいろんなものを隠す捕虜の姿も忘れずに。
実に面白い内容だけれど今回観た印象では「もう少し短くしてもよかったのでは」。

柴田天馬訳 蒲松齢「聊斎志異」を読む。

以前には「普通の現代語訳」で読んだはず。
本書は1919年に出たもので柴田天馬の原文を活かした独特のルビが魅力。

「序」の最後に「大連の寓居に於いて」とあるのが今となっては趣き深く。
あれこれ思い出しつつやはり面白い。

「うだつの上がらなかった人」が集めた怪異な物語の数々を是非。
ただしある程度漢文に接した経験がないと読みにくいかも。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「笑いのプロとサスペンスの... | トップ | 「何とも素敵な『伴走者ぶり... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事