退屈日記

とりあえず日々のつれづれを。

What a wonderful world

2008-05-30 01:36:03 | Weblog
くもりところどころ雨。だったらしい。

山田風太郎「昭和前期の青春」を読む。

Ⅰ私はこうして生まれた
Ⅱ太平洋戦争私観
Ⅲドキュメント の三部構成。

個人的には「同日同刻」に未収録の
「ドキュメント・一九四五年五月」が印象的だった。

沖縄返還の昭和四十七年(1972年)に書かれたのは
ヒトラーが自殺したベルリン、沖縄戦、政府首脳の狼狽、東京の空襲などの記録。

特攻隊の悲劇、ドイツ降伏を知らされたスターリンの反応などもある。
「昭和の激動」を考えるとわれわれの生活は呑気なものだ。

とはいえここ10年連続で自殺者が3万人を超えていたりもする。
何という「世界」に暮らしているんだろうと思わざるをえない。
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雨の夜の出来事

2008-05-29 00:54:46 | Weblog
くもりのち雨。夜になって本降り。

帰宅する際マンションの入り口の階段に腰掛けて
ノートパソコンをいじっている外国人の若いおなごがいた。

「ちょっとすみません」

道を塞いでいたのでそう声をかけると、

「あ、おつかれさまでした」

おそらく以前階上でパーティーをやっていた人物であることは
ややハスキーな声からして間違いない。

意外な返事にそそくさとエレベーターに乗り込んで振り返ると
彼女は元のままの姿勢で座っていた。

雨の夜、そんなところで誰を待っているのやら。

おそらくここにも「物語」はあるだろう。
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シンプル・ロジック

2008-05-28 01:07:23 | Weblog
快晴。すでに夏。

最相葉月「星新一 一〇〇一話をつくった人」読了。

24歳で父の遺した製薬会社を継ぐことになった著者だが
企業で働くのには不向きな資質もあってショートショートでデビュー。

当初は長編も書くつもりだったものの
「SF=ショートショート=著者」という流れには逆らえず。

やがて「ショートショートの第一人者」として自負を持つに至るも
いつアイデアが枯渇するかという恐れとも戦わなかなければならなかった。

小松左京・筒井康隆の登場でSFが妥当に評価されるようになると
自分の影が薄くなっていくのを感じるようになる。

ショートショート「一〇〇一話」を目指すことで
新たな希望を見出すのだけれど。

「アイデアをひねり出す」ことの苦痛に比べての評価があまりにも低いまま
著者は自作の推敲に専念するようになる。

「選ばれたものの恍惚と不安」は
どこまで行ってもつきまとうものらしい。

「われよりほかに知る人もなし」という大谷崎の言葉に
他人が他人を正当に評価することの難しさをあらためて感じる。
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成瀬巳喜男のユーモアを忘れるな

2008-05-27 01:08:35 | Weblog
晴れ。夏並み。

ニコニコ動画で
成瀬巳喜男「おかあさん」を観る。

クリーニング店の一家の人生を笑いと哀しみで彩る物語。
長男に続いて父親も死ぬという女系が丈夫な家族。

母・田中絹代、父・三島雅夫、長女・香川京子、叔母・中北千枝子
次女・榎並啓子、兄・片山明彦、パン屋・岡田英次、父の部下・加東大介、

その他にも、沢村貞子・鳥羽陽之助・三好栄子・一の宮あつ子・中村是好
本間文子らというキャスト。

叔母の息子の名前は不明だけれど面白い表情で笑わせる。
ちょいと不幸で貧乏でも、こういう家族ならなんとかなるものだと思わせる。

若き日の香川京子の清々しい笑顔よ。
恋人・岡田英次はのど自慢で「オー・ソレ・ミオ」を朗々と歌う。

だが何と言っても田中絹代の母の存在感が圧倒的。
1952年(昭和27年)のユーモアとペーソス溢れる作品。
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休日あれこれ

2008-05-26 01:12:29 | Weblog
雨のちくもり、のち晴れ。夜になって風やや冷たし。

昨夜はソウルバー。
案外盛況で食べ物を注文するタイミングを失う。

すきっ腹にジンが沁みたせいか
帰宅後パソコンをつけたまま熟睡した模様。

朝早く目覚めたせいで
天気の移り変わりを味わえたのは喜ぶべきか。

最相葉月「星新一 一〇〇一話をつくった人」を読み始める。
まだ学生時代を描いている部分でこの先に期待というところ。

山下耕作「博奕打ち 総長賭博」を観る。

病気で倒れた総長の跡目争い。
元々違う組にいた中井・鶴田光二は二代目に推されるものの辞退。

兄弟分の松田・若山富三郎を推すものの彼はまだ出所前、
叔父貴・金子信雄の策略で総長の娘婿・名和宏が二代目になる。

出所してきた松田は「中井か自分がなるべきだ」と怒り
病気の総長の思いを知る中井は両者の争いを何とかおさめるようとするのだけれど。

互いに互いのことを思いつつ「それぞれの筋」を通そうとした結果
悪玉に都合のよい結果が残って。

普通のヤクザ映画ならここで出入りになるところが
地味な「復讐」の後、中井への判決文の朗読で作品は終わる。

中井の妻・桜町弘子と松田の妻・藤純子の違いにも注目しよう。
「渡世人の妻」である前者に魅力があるのは言うまでもない。

叔父貴に「任侠道」を問われた主人公が
「おれぁ、ただのケチな人殺しだ」という台詞がポイント。
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完成を呼ぶものは未完成

2008-05-24 04:51:43 | Weblog
晴れとくもりの間。うつろう。

久生十蘭「昆虫図」(教養文庫)を少しだけ再読。
「生霊」「南部の鼻曲り」「ハムレット」「予言」。

「生霊」は「嘘から出た真実」、「南部の鼻曲り」は見栄えと違う「男ぶり」
「ハムレット」は宗教も含めた「虚実皮膜」、「予言」はテクニックの冴え。

正反対のものがぶつかり合った時
そこになにがしかの「ドラマ」が生まれるという構図はわかりやすい。

ただし、どんな模様の花火が打ち上げられるのかというと
そこはそれ書き手の自由自在とはいえ。

ふと思う。
「どうして正反対のものを組み合わせる」というわかりやすい構図をとるのか。

「完成」というものは「未完成」を前提とする。
人はそれぞれ「似て非なる欲望」を胸に動いて「完成」を目指す。

おそらくそれが「人生」なのだろう。
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冷たい情熱の産物

2008-05-23 01:47:02 | Weblog
くもりがちな晴れ。湿気を感じる。

久生十蘭「無月物語」読了。
解説・解題に都筑道夫と中井英夫。

「無月物語」の残酷な責めと復讐、「鈴木主水」の義憤となりゆきの道行、
「玉取物語」のシモネタな題材と文章の典雅、「うすゆき抄」の情熱と運命。

「無残やな」の下役の決意と上役の収拾、「奥の海」の愛情と自己完結。

いずれも対照的なものが
今はほぼ再現できないであろう言葉によって淡白に描かれている。

引き続き「昆虫図」を読むことにする。
全集は重くてかさばるので持ち歩けない。
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峻険な頂を垣間見るということ

2008-05-22 02:31:49 | Weblog
快晴。日差し暑し。

久方ぶりに久生十蘭「無月物語」(教養文庫)を読み直す。

まだ読了してないけれど
とりあえず「遣米日記」「犬」「亜墨利加討」「湖畔」まで。

やはり圧倒的な印象は変わらない。
「物語の展開の凄さ」には脱帽するしかない。

説明を省いた(ある部分は詳細を極める)描写は
ある種の「無残さ」とともに哄笑を生み出す。

近代人のショボイ内面よりも
前近代の「覚悟」に打たれるということ。

ここには間違いなく「キャラクター」が存在する。
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幻のJフォンゆえ

2008-05-21 01:36:19 | Weblog
昨日の夜の雨から一転晴れ。夜風冷たし。

ほぼ使用していない状態の携帯の留守電に録音のしるし。
実家からだと思って再生してみると、あにはからんや。

しばし解読不明の言葉が続いた後
「ママー、クッキー食べていい?」という子どもの関西弁が。

「ボク、まちごうてるで」とお知らせしようかと一瞬思ったものの
めんどくさいのでやめにする。

このところ妙な時間に非通知の着信記録があったのは
きっと彼だったのだろう。

「J-PHONE」と書かれた電話のせいか。
ボケ方も少しほのぼのしている。
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はるけくも きつるものかは

2008-05-20 04:55:03 | Weblog
くもりのち雨。夜になっても降り続く。

久方ぶりに吉行淳之介「私の文学放浪」を読む。

台所の下に詰めてある本の中から
取り出しやすいものを選んだ結果。

印象がどうにも曖昧でありながら
どこか決然としているところもあるのが微妙。

少なくともはっきりしているのは
著者は自分の感覚を信じているということ。

「他人」を見る時の視線に
「あれでいいなら自分にも出来る」と思うあたりが特徴なのか。

かつて角川文庫から出たものはほぼすべて集めた記憶があるが
自分を支配している「ルール」そのものに疑いがないのが「時代」か。

著者の逸話で面白いのは
三浦朱門と遠藤周作を赤線に連れて行った時のこと。

「今日もダメかなぁ」と言いつつ店の階段を上った彼は
縁起が悪いと思った女に塩をまかれて階段から転げ落ちた、という話。

「猿も木から落ちる」ということわざ通り、
文字通り「通人」もわかっていない「世界」があるという当然のこと。
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