股間の解放記

普通の社会人PEKOの、日々思うことをつづっていきます。

武士の一分

2006年12月31日 16時02分40秒 | 映画評論ハ行
製作年 : 2006年
製作国 : 日本
2006年12月1日公開
監督 : 山田洋次
原作 : 藤沢周平
出演 : 木村拓哉,檀れい,笹野高史,桃井かおり,坂東三津五郎,緒形拳
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三村新之丞は、近習組に勤める下級武士。毒見役という役目に嫌気がさしながらも、美しい妻・加世と中間の徳平と平和な毎日を送っていた。ある日、毒見の後、新之丞は激しい腹痛に襲われる。あやうく一命はとりとめたが、高熱にうなされ、意識を取り戻した時は、視力を失っていた。人の世話なしで生きられなくなった自分を恥じ、一度は命を絶とうとしたが、加世と徳平のために思い留まった。ある日、加世が外で男と密会しているという噂を聞く。新之丞は徳平に尾行をさせ、加世が番頭・島田と密会していることを知る……。
『たそがれ清兵衛』、『隠し剣 鬼の爪』に続く、山田時代劇三部作。原作は藤沢周平の隠し剣シリーズ第2作である『隠し剣秋風抄』の「盲目剣谺返し」。最終作となる本作では、主演の三村新之丞役に木村拓哉を迎えた。常に“最高以上”を求める山田演出が冴える。この三部作が「新しい時代劇」と呼ばれるのは、時代劇でありながら、現代にも通じる人々の心情が丁寧に描かれているからだろう。本作も、「平等」や「個性の尊重」など、社会へのメッセージがセリフの端々にちりばめられている。音楽を担当するのは、山田組にかかせない存在となった富田勲。音を大切にする山田監督だが、新之丞が耳が頼りであるため、特にこだわったようである。
『たそがれ清兵衛』、『隠し剣 鬼の爪』両方とも観ずにいきなり最終作となる本作を鑑賞。感想を一言で言うと予想していたより2時間たっぷり楽しめました!キムタクが出てるからとか、そういうのは関係なく若い人でも十分に山田洋次ワールドを楽しめると思います♪わかりやすいストーリー展開の途中で数回笑ってしまうようなシーンもあり、“時代劇”という印象は全く感じられませんでした。今回の作品の中で一番の注目はやはり主演のキムタク。テレビでは出るドラマ全てが高視聴率を叩き出す彼ですが、その理由はたぶん彼の演技力しかしそれは現代を描いたドラマだからこそ彼の今風の喋り方などが通用するのであって、時代劇となると話は別。やっぱり武士の格好をしていたとしても、彼の独特の喋り方は同じでした笹野高史は“さすがベテラン!”って思うくらい時代劇っぽいゆっくりとした喋り方でしたが、キムタクの喋り方は今風の若者で、なおかつ喋るスピードが速いでも中盤からはそんな演技にも慣れてきて、山田監督が言ってたように“目の力”というものが光っていて良かったと思います。とくに離縁を求めるシーンの時に新之丞が加世を見る目はホントに“目の力”というものを感じたし、キムタクってやっぱすげぇなって思いました(笑)キムタクの絶妙な演技力をカバーしていたのは脇を固める俳優陣。笹野高史はもちろん上手いし、妻役の壇れいも文句無し。そして個人的に一番上手いと思ったのはおばさん役の桃井かおり。この人の憎めない演技には圧倒されました。一見退屈そうに感じる下級武士夫婦の愛の物語をこんなにも見事に描ききった山田洋次監督に拍手を送ります

この作品の評価・・・・88点
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花よりもなほ

2006年12月31日 15時58分42秒 | 映画評論ハ行
製作年 : 2006年
製作国 : 日本
2006年6月3日公開
監督 : 是枝裕和
出演 : 岡田准一,宮沢りえ,古田新太,國村準,中村嘉葎雄,浅野忠信
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父の仇を討つため信州松本から江戸に出てきた青木宗左衛門は、おんぼろ長屋で実家からの仕送りだけが頼みの貧乏生活を送りつつ、憎き仇、金沢十兵衛の所在を探っていた。仇討ちに成功した暁には、名誉の回復だけでなく藩からの賞金も手に入るはずだ。ところが、この宗左、剣の腕はからっきしで、その不甲斐なさは長屋の住人たちもあきれるほど。刀を差してはいても武芸にとんと疎い宗左は、近所の子どもたちを集めて寺子屋を開く。
大義名分なんぞなくても人は十分生きてゆける。雨露さえ凌げればなんとかなるのだ。そんな庶民のしたたかさが、生活臭たっぷりの長屋ライフと共に描かれる。売られた喧嘩を買わない術や、仕返しをしない生き方だってあることを謳うこの異色時代劇は、『誰も知らない』の是枝裕和監督のオリジナル。天下泰平な世にあって武士なんて何も生み出さない役立たずと罵倒され、「色男金と力はなかりけり」を地で行く宗左衛門は反論できない。この軟弱な主人公を演じるよれよれの岡田准一に色気がある。美貌の未亡人から、無邪気な子ども、泥だらけの長屋の男たち、果ては雪の道を静かに進む浪士の脚まで、膝下のショットでキャラクターを描き分ける手法も秀逸。
「フライ・ダディ・フライ」での演技が光っていた岡田くんと、「たそがれ清兵衛」の宮沢りえ。脇役も豪華なのでキャストに関してはあまり問題はないと思います。しかしストーリーが意味不明長屋に住む人達を描いているのは分かるけど、それと仇討ちがどんな関係があるんだ!?と思わせるぐらい理解できませんでしたぁ…。その仇討ちのシーンだってつまらなかったし…。観終わってから“だから何が言いたいの?”って言いたいくらい2時間だらだらと、まとまりのない話が続いていましたそれと、俳優たちの喋り方。とくに岡田くんのどー聞いても現代の若者っぽい喋り方は作品の中で浮いていた気がします。まぁ岡田くんファンにはそこそこ楽しめるんじゃないの?

この作品の評価・・・・55点
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