パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

われらが背きし者★★・5

2016年11月23日 | アクション映画ーワ行

ジョン・ル・カレの同名ベストセラーをユアン・マクレガー主演で映画化したスパイ・サスペンス。平凡な大学教授とその妻が、ロシアン・マフィアの大物が画策する英国への亡命計画に巻き込まれて繰り広げる危険な大冒険の行方を、関係者それぞれの濃密な人間ドラマとともに描き出す。共演はステラン・スカルスガルド、ナオミ・ハリス、ダミアン・ルイス。監督は「ナニー・マクフィーと空飛ぶ子ブタ」のスザンナ・ホワイト。
あらすじ:弁護士である妻ゲイルとの関係修復を図るべく、モロッコへと休暇にやってきた英国人大学教授ペリー。ひょんなことからロシア人のディマと知り合い、いつしか心を許していく。そんなペリーに、ディマは思いも寄らぬ告白を始める。実は彼は、ロシアン・マフィアでマネー・ローンダリングを担当していたが、今は組織から命を狙われる身となっていたのだ。そこで自分と家族の英国亡命を希望する彼は、組織の情報が入ったUSBメモリーをMI6に渡してほしいとペリーに依頼する。ディマの家族の命がかかっていると知り、戸惑いつつもこれを引き受けるペリーだったが…。

<感想>ジョン・ル・カレのスパイ小説を映画化したもので、おまけに今回は原作者が制作も兼ねてということであり、おまけにカメオ出演までしていると言うのだ。それは、ベルンのアイシュタイン博物館の老係員で出演している。だからつい期待してしまった。小説の方は、現況のスパイ活動を反映していて、あまり意気があがらないし、ほどほどの面白さである。
それを脚本は、活劇的な趣向を盛り込んだりして映画的にまとめていて、結末などは上手く納めている。ですが、巻き込まれ型のサスペンスに徹すれば、もっとスッキリしたのではないかと思った。

それでも、ジョン・ル・カレ映画に駄作はないと信じているので、ロシアマフィアのマネーロンダリングをテーマにして、世界各地でロケをしたスパイアクションなのだが、この映画は主人公夫婦の倦怠感と不和が前提となっているのが興味深かった。

ディマが強引にペリーを豪邸のパーティに誘う。そこには派手派手の美女と怪しげな男たちがたむろする世界。白馬に乗った美女が現れたり、次の日は妻のゲイルも連れて行く。双子の可愛い少女に興味がある妻、だが、夫のペリーは前の晩に寝た女とよろしくセックスを楽しんでいるではないか。カンカンに怒った妻。夫の浮気現場を見せつけられ、イライラが爆発しそうになるも、ディマの家族の命を救うために力を貸して欲しいと頼まれては断れない。

それで、ロンドンへ帰りMI6のヘクター(ダミアン・ルイス)と会うことに。ジョン・ル・カレ映画というと「裏切りのサーカス」(11)が有名ですが、この作品では、舞台がモロッコ、パリ、ベルリンと様々な場所を移動しており、主人公もプロの情報部員じゃなくて、スパイ活動とは無縁な素人であります。

ですから、「007」シリーズなどと比べると、派手なアクションを期待するとがっかりですから。ディマは自分の行動が家族への背信行為になっていることに怯えている。ペリーがディマに選ばれたのは、ある背信行為がきっかけだと想像されるし、彼が進んでこの事態に臨んでいくのもその背信行為に対する、何らかの償いなのではと思って来るのだ。タイトルに相応しい物語が展開する。

そんなユアンと優秀な弁護士の妻にナオミ・ハリスがバランス良く、安定した出来栄えなんだけど、家族というテーマ性が強すぎてスパイ映画としてはややヌルイような気もしないではない。

それに、お話しのキーパーソンとなるレイルウェイ 運命の旅路」(2014)「しあわせはどこにある」(2015に出演していた,ステラン・スカルスガルドが、怪しいロシア訛り英語を話して、内心ビビリながらも精一杯の虚勢を張る心の内の表情の揺れが、伝わる相変わらずのいい演技をしている。だからユアン・マクレガーが、元気がないのが気になってしかたなく、ディマ役のスカルスガルドが目立ってしょうがなかった。

ディマから組織の情報が入ったUSBメモリーを、MI6に渡してほしいと頼まれるも、USBの中には何も情報が入ってなかった。その情報は、実はラストで分かるのですが、ディマが命を懸けて家族を亡命させるべく、一人ヘリに乗り込み、山の上でヘリが爆発するのだ。
その時、ディマから渡された拳銃を持って、MI6のヘクターの家へと行き形見の拳銃を渡す。すると、その拳銃の中からロシアン・マフィアの組織の資金洗浄のリストと口座番号が書かれたメモ紙が出てくるのだ。
ロシア人のディマの家族の亡命劇と、一夫婦の問題が二重のサスペンスを織りなしている。主人公の大学教授のユアン・マクレガー主演が、巻き込まれキャラとして申し分のない、期待通りに人のよさに付け込まれて翻弄されるのだ。

2016年劇場鑑賞作品・・・253映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング