パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

EVA<エヴァ> ★★★

2013年01月22日 | DVD作品ーあ行
あらすじ:2041年、雪深い田舎町、サンタ・アイリーン。著名な天才ロボット・クリエーターのアレックスは10年ぶりに故郷に戻ってきた。猫型ロボットと共に。母校の恩師ジュリアに、革新的な子供型アンドロイド開発を依頼されたからだ。彼は弟のディヴィッドと、彼の妻でアレックスの元恋人ラナと再会する。

10歳になる彼らの娘エヴァと初めて対面する。天真爛漫で自由奔放なエヴァに魅了されたアレックスは、彼女にアンドロイドのモデルになってくれないかと依頼する。エヴァの助けを得て開発は進んでいくが、彼女と過ごしている内にラナへの想いが再燃。そんな時エヴァの重大な秘密が明らかになり、大事件が起こる。
<感想>今年のスペインのアカデミー賞、ゴヤ賞で12部門にノミネートされ視覚効果賞など3部門を受賞した珠玉の美少女SFドラマ。キャラクターに魂を吹き込んだ少女の名演が光る、サスペンスフルでドラマチックな近未来SFファンタジーでもある。
スペインでSFという組み合わせが強力なフックになっているが、透明感あふれるスペインの銀世界を背景に、ロボットが不可欠な未来社会を、牧歌的に描くことでスペイン色を打消し、無国籍感と幻想的で寓話的な要素を見事に創りあげている。

ロボットを題材に芸術的かつ愉快な映像表現を盛り込みつつ、とにかくまるで「プロメテウス」にも出てきた、幻想的な光り輝く結晶体のような細胞組織の表現の仕方が、とても美しくファンタジーを醸し出している。その光を丸めてロボットに感情を吹き込む瞬間、ロボットが動きだし言葉を話す。
「ロボットの感情と魂」「ロボットの死」という命題に切り込みつつ、突然暴走するイカレポンチなロボットも出てくる。ロボットが突然暴走してアレックスを殺そうとする殺人的な行動は、ロボット兵器を造るという暗黙な未来が見え、サスペンスフルにロボット社会への警鐘も打ち鳴らすなど、重層的に深いテーマを掘り下げた本作も印象的です。

しかし、そのロボットの脳波をコントロールする、制御する装置がまだ開発されていない。だから、ここに出てくるエヴァというアンドロイドも、アレックスが創り放置してその後恋人のラナがエヴァを造り上げる。感情のコントロールがきかず、ラナとアレックスが仲良くしているのを見て、嫉妬の感情をむき出しにし、一応母親のラナを崖から突き落として殺してしまうのだ。
アレックスがそのことを知り、エヴァを改良するのか、それとも壊してしまうのだろうか?・・・まだまだロボットに感情を植え付ける工程は未熟だといえるのだろう。
それにしても、アレックスが連れてきた猫型ロボットは、日本のアニメの“ドラエモン”とは違うが中々良く出来ているのに驚いた。
ところが、執事のおじさんはまるっきり前に観た「アンドリュー」のアンドロイドを演じたロビン・ウィリアムと同じようで、仕草や動作、顔の表情、言葉などまるっきり真似をしたようでこれは減点ですね。
しかし、全編にハイクオリティなドラマを打ち出しており、同じスペインの「パンズ・ラビリンス」(06)や「永遠の子供たち」(07)とも肩を並べて、ドラマテッィクでエモーショナルな傑作に仕上がっている。
エヴァに魂を吹き込んだスペインのクロエ・モレッツなる、クラウディア・ヴェガの名演が圧巻で、感情の揺れ幅が広いユニークな少女を完璧に自分のものにして、眼や表情や言葉だけではなく体全体で、役をリアルに体得したその恐るべき才能に脱帽。これは必見ですぞ。
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