ぶらぶら人生

心の呟き

風鈴の音

2006-07-29 | 身辺雑記
 梅雨は明けていないのに、今日も猛暑!
 家中に熱気がこもるので、在宅の日は、あちこちの窓を開ける。
 裏庭から入る風に、風鈴が鳴る。
 昨年、洋服を買ったお店が、くれた風鈴。
 特別風情があるわけでもない。
 だが、音色は涼やかだ。
 暑気を少しはやわらげてくれる。

 一大決意して、今日から書斎の片づけをすることにした。
 片付かないこと、片付ける気にならないこと、
 それが、私を脅迫し続ける……。
 心の平穏をかき乱す。
 乱雑さに安住もできず、
 かといって、几帳面に処理することもできず。
 草取りのように、人手にゆだねることはできず。
 書斎は私の城なのだから。

 先日、母子ともにお世話になった知人が来て、
 「奥様は、いつも綺麗に整理整頓なさっていましたが……」
 と、言った。奥様とは、私の母のことだ。
 私も自覚している。
 母のようには、うまくゆかない、と。
 「父に似てしまって」
 と、言い分けする。
 片付け下手は、父からの贈り物。

 ビデオテープが、夥しくたまっている。幾年も見ることなく。
 片付けの手始めに、一々点検もせず、袋に詰めた。
 埋め立てゴミの収集日に備えて。
 それでも三つ四つ、
 捨てがたくなって、元の位置に返した。
 こうして愛着の品がたまりすぎ、身動きできなるのだと分かっていながら。
 本来無一物の境地に生きたいが、
 なかなか難しい。

 本だけが財産、と買い込んだ本が書棚をはみ出して溢れ、
 今は身動きできなくなっている。
 物置場と化した書斎を、
 書斎として使えるように片付けよう。
 秋には、明窓浄机を居場所にして、
 本が読めるように。
 片付けるとは、思い切って捨てることだと心得て。

 風鈴の音が心地よく聞ける間に。
 秋が訪れる前に。
 ビデオテープの片付けほど、簡単ではないが、
 手をつけなければ、永久に片付かないのだから。

 「きちんと整理することを、
 子供のとき、
 ちゃんと教えてあげたはずだけどねえ」

 遠くから、母の嘆きの声が聞こえる。
 今日は、母の祥月命日。
 
 
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