先日熊本を訪れた際、県立美術館本館で、『ケーテ・コルヴィッツ展』を観た。
パソコンで検索するまで、その美術展のことも、画家の名前も知らなかった。が、熊本へ行くことを心に決めてからは、時間を工面してでも、是非美術館に行き、ドイツの女流画家の絵に接したいと思っていた。
女の人が複数の子供たちを必死に抱きしめている、このリトグラフには、「種を粉に挽いてはならない」との題名が付けられている。私はこの絵の前で、動けなくなった。1867年に生まれ、1945年(終戦の年)に78歳の生涯を閉じた画家の一生を思うとき、この絵の意味することが直截に伝わり、心を揺り動かされたからである。自分の信念に基づいて、画業を貫いた一人の画家に、いささか大げさではあるが、打ちのめされたのだった。
平和が本物かどうか、またいつまで平和が持続されるかさえ疑わしい今、この展覧会の作品が、多くの人々に鑑賞され、ケーテ・コルヴィッツの訴えに心を傾ける人々が多くなることを祈りたい。
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