13日から17日にかけて上京した。
旅は、非日常の世界に誘ってくれる。
梅雨入りにあわせての旅立ちであったが、お天気には恵まれた。
羽田空港に到着後、東京駅に出て昼食をとり、まずは谷中の墓地に亡き師を訪れた。
半年ぶりの墓参である。
谷中の桜並木は葉を茂らせ、折から、緑のトンネルとなっていた。
墓参の後、散歩がてら、上野に向かった。
適当に歩いていると、家の軒先に白い花が咲いていた。夏椿(沙羅樹)であろう。
適当に歩いているうちに、不忍池のほとりに出た。
以前訪れたとき、その存在に気づいた長谷川利行の碑に、再び出会った。
初めて碑に接したときは、長谷川利行という画家について知らなかった。今は、その人生や画業について、ある程度は知っている。
自然石に掘られた熊谷守一書の<利行碑>の文字を眺め、長谷川利行の歌二首が、生島生馬の書で刻まれているのを佇んで読んだ。
人知れず朽ちも果つべき身一つの
いまがいとほし涙拭わず
己が身の影もとどめず水すまし
河の流れを光りてすべる
長谷川利行は放浪の貧しい画家であったが、その絵には孤高を持する雰囲気がある。
碑の背景の池には、蓮の大きな葉が水面を覆っていた。
かなり歩き疲れた。
田舎と違って、都会ではひとりでに思わぬ距離を歩いてしまう。
国立西洋美術館内のレストラン<すいれん>に入って一休みした。
太窓に緑の庭を眺めながら。
美術館の前庭には、夾竹桃が白い花を咲かせていた。夏を感じさせる花である。
雨降りは、14日の月曜日だけであった。
その日は、国立新美術館で、<オルセー美術館展2010「ポスト印象派」>を観た。
名立たる画家の名作が多数並べられ、贅沢な展覧会であった。
案内のパンフレットには、<モネ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、ルソー、傑作絵画115点、空前絶後>と、記されていた。
10のセクションに分け、それらの作品は展示されていた。
とにかく豪華な作品群である。
特に、印象深かったのは、第8章の<内面への眼差し(Inner Eyes)>であった。
シャヴァンヌの「貧しき漁夫」、ルドンの「目を閉じて」など。
そこには、ハンマースホイの「休息」という作品もあり、懐かしく思った。
かつて国立西洋美術館で開催された個展で、初めてハンマースホイの作品を知り、すべての絵に共通した静謐な色彩と構図に、不思議な感動を覚えたのだった。
いつものことながら、入館者の多さにはうんざりする。
自分の意志で、一つの作品の前に佇むことはできない。
ゆったりと鑑賞できないのが残念だが、仕方のないことだろう。
美術館行きの日以外は、天候に恵まれた。
下の写真は、帝国ホテルの17階から眺めた朝の光景である。
在京中、隅田川を船で遊覧したり、浅草を散策したり、神保町の古書店を巡ったりした。
なかんずく、国立博物館附属の<自然教育園>の散歩は楽しかった。
ここは大都会でありながら、田舎の自然以上に、豊かな自然が存在した。
都会のオアシスは、私にとっても、かけがえのない場所であり時間であった。
ここは植物の宝庫である。数々の大樹が繁り、樹下には多数の植物が群生していた。
ホタルブクロは花をつけていたが、概して花の少ない季節である。
花は見られなくても、その姿を眺めることはできた。
名札のついているのがありがたく、名前だけはなじみの植物を見つけて、いくつかをカメラに収めた。
旅は、非日常の世界に誘ってくれる。
梅雨入りにあわせての旅立ちであったが、お天気には恵まれた。
羽田空港に到着後、東京駅に出て昼食をとり、まずは谷中の墓地に亡き師を訪れた。
半年ぶりの墓参である。
谷中の桜並木は葉を茂らせ、折から、緑のトンネルとなっていた。
墓参の後、散歩がてら、上野に向かった。
適当に歩いていると、家の軒先に白い花が咲いていた。夏椿(沙羅樹)であろう。
適当に歩いているうちに、不忍池のほとりに出た。
以前訪れたとき、その存在に気づいた長谷川利行の碑に、再び出会った。
初めて碑に接したときは、長谷川利行という画家について知らなかった。今は、その人生や画業について、ある程度は知っている。
自然石に掘られた熊谷守一書の<利行碑>の文字を眺め、長谷川利行の歌二首が、生島生馬の書で刻まれているのを佇んで読んだ。
人知れず朽ちも果つべき身一つの
いまがいとほし涙拭わず
己が身の影もとどめず水すまし
河の流れを光りてすべる
長谷川利行は放浪の貧しい画家であったが、その絵には孤高を持する雰囲気がある。
碑の背景の池には、蓮の大きな葉が水面を覆っていた。
かなり歩き疲れた。
田舎と違って、都会ではひとりでに思わぬ距離を歩いてしまう。
国立西洋美術館内のレストラン<すいれん>に入って一休みした。
太窓に緑の庭を眺めながら。
美術館の前庭には、夾竹桃が白い花を咲かせていた。夏を感じさせる花である。
雨降りは、14日の月曜日だけであった。
その日は、国立新美術館で、<オルセー美術館展2010「ポスト印象派」>を観た。
名立たる画家の名作が多数並べられ、贅沢な展覧会であった。
案内のパンフレットには、<モネ、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、ルソー、傑作絵画115点、空前絶後>と、記されていた。
10のセクションに分け、それらの作品は展示されていた。
とにかく豪華な作品群である。
特に、印象深かったのは、第8章の<内面への眼差し(Inner Eyes)>であった。
シャヴァンヌの「貧しき漁夫」、ルドンの「目を閉じて」など。
そこには、ハンマースホイの「休息」という作品もあり、懐かしく思った。
かつて国立西洋美術館で開催された個展で、初めてハンマースホイの作品を知り、すべての絵に共通した静謐な色彩と構図に、不思議な感動を覚えたのだった。
いつものことながら、入館者の多さにはうんざりする。
自分の意志で、一つの作品の前に佇むことはできない。
ゆったりと鑑賞できないのが残念だが、仕方のないことだろう。
美術館行きの日以外は、天候に恵まれた。
下の写真は、帝国ホテルの17階から眺めた朝の光景である。
在京中、隅田川を船で遊覧したり、浅草を散策したり、神保町の古書店を巡ったりした。
なかんずく、国立博物館附属の<自然教育園>の散歩は楽しかった。
ここは大都会でありながら、田舎の自然以上に、豊かな自然が存在した。
都会のオアシスは、私にとっても、かけがえのない場所であり時間であった。
ここは植物の宝庫である。数々の大樹が繁り、樹下には多数の植物が群生していた。
ホタルブクロは花をつけていたが、概して花の少ない季節である。
花は見られなくても、その姿を眺めることはできた。
名札のついているのがありがたく、名前だけはなじみの植物を見つけて、いくつかをカメラに収めた。
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