おねえちゃんの独り言

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(・・・って、そのまんまだけど)

デジタルディバイド

2009-07-19 17:03:11 | Weblog
 折に触れてぶちぶちと文句を書いている今のアパート、ほとんどすべてが気に入らない。積極的に気に入っているところと言えば、ゴキブリが出ないことぐらいだ。
 詳しく書くと長くなるので省略するが、諸事情により07年2月に今のアパートの別の(狭くて日当たりが悪くて裏の一軒家の住民に朝から晩までイライラさせられるような悪条件の)部屋に入居し、08年2月に今の部屋に移った。元々家賃が相場より高めのアパートだったが、07年から08年にかけては世間の家賃相場が上昇傾向だったことから、うちのアパートの中で最も広くて条件がいい今の部屋に移った時の家賃は、1650ドルというぼったくり価格だった。
 その後、家賃相場は08年後半から下がり始め、1年半前と比べると今では随分安くなっている。そんなわけで、うちの家賃も数カ月前から申し訳程度に値下げされて1600ドルになった。それでも2寝室1浴室という部屋の条件を考えるとかなりのぼったくりだ。すぐ近所の同程度のアパートを見ても、今なら2寝室2浴室で1500ドルである。
 そんなわけで最近は、家賃が高かった頃に入居した人たちが次々とうちのアパートから出て行っている。その方が条件がいい部屋を安く借りられるからね。私だって荷物などと共に瞬間移動できるのなら、今すぐにでも引っ越したい。ただ引っ越しというものが死ぬほど嫌いで、金と時間と労力の浪費になるから、平たく言えば面倒くさいからそのまま住んでいるだけである。

 そんなある日、日系スーパーに置いてあった無料の日本語新聞を何気なく持ってきたら、借家の情報が載っていた。場所は今より内陸になるので少し暑くなるが、3寝室の一軒家で家賃は今と同じ1600ドル。さっそく電話をしてみると、大家さんは日系人。「日本人にしか貸さない」、逆に「日本人で、会ってみて気に入れば、信用調査も何もなし」で貸してくれると言う。自営業の我が家としては、こんなに有り難い条件はない(信用調査が厳しい大家/管理会社だと、自営業、自由業の人間にはまず貸してくれないからね)。早速、物件を見に行った。
 行ってみれば、大家さんは夫婦共に感じが良く、借家自体も悪くない。裏庭にかなり広いデッキ(広大な縁側というか、1階にあるベランダというか、裏庭に面した、床が木製で屋根付き柵付きのエリア)があるのもポイントが高い。もちろん気に入らない点もあるが、100%すべてが気に入る物件なんてこの世に存在するわけがない。値段、広さ、その他もろもろの条件の総合評価で、かなり気に入った。
 ただ、絶対に譲れないのがインターネット接続だ。我が家の自営業はインターネット必須。DSLでもケーブルでもいいが、ある程度高速なインターネット接続がないと、仕事ができない。そこで大家さんに電話会社とケーブル会社について聞いてみた。電話会社は残念ながら今使っている会社とは別の会社の管轄だった。ただケーブルについては、「この辺には日本語放送が入るケーブルはないですよ」という、少しとんちんかんな答えが返ってきた。この大家さん、アメリカに相当長いか、あるいはアメリカ生まれか、さらに日本語も方言が入っていて、少し日本語が通じにくい時がある。「別に日本語放送に限らないんだけど」と思いながらも、まあ家に帰って調べようと、その場は適当に聞き流した。
 一通り見た後で「一晩考えてまた連絡します」と、いったん家に戻り、まずはケーブルについて調べてみた。ケーブルと聞いて真っ先に浮かぶのはタイムワーナーだ。最近ではタイムワーナー以外のケーブル会社の広告やCMを見たことがない。しかしタイムワーナーのサイトで調べると、例の借家は「サービスエリア外」と表示される。
「他にどっか、ケーブル会社あったか???」「昔、あでるふぃあとかなんとかって会社があったけど、どっかに買収されて今はないよな・・・?」「そういやコムキャストとかって、あったな」と、コムキャストのサイトを調べてみるが、やはり「サービスエリア外」と出る。「もしかしてあの辺って、ケーブルテレビというものが存在しないの?」などと、まだこの時点では半信半疑。冗談めかして笑い飛ばし、それ以上深く追究しなかった。別にDSLでもいいしな・・・
 そしてその夜、夜の近隣の様子を知るためにもう一度行ってみたが、閑静な住宅街という表現がぴったり、実に静か。「これ、いいんじゃん?!」「じゃ、明日の朝、一番に大家さんに電話しよう!」と、それはもう借りる気まんまんで帰ってきた。あとはもう、3つある寝室の1つは仕事用にして、デッキに出られる明るい部屋は子どもの遊び場にして、リビングはかなり広かったからあれとこれを置いて・・・などなど、広がりまくりの妄想・・・。もうすでに借りた気で、すっかり盛り上がってあれこれと計画を立てまくり・・・
 そうこうするうちに夜も更けて、さてそろそろ新居の夢でも見ながら寝ようかと、いったんはパソコンも終了して部屋の電気も消し、寝室に移動したのだが、おもむろにふと不安になって再びパソコンを立ち上げた私。昼間適当に切り上げたインターネット接続の件が、急に気になったのだ。
 今度は電話会社のサイトにアクセス。住所を入力して調べると、ナント!!! DSLまで「サービスエリア外」と表示されるではないか!!! マジ?!?!?!
 今度はもう一度、タイムワーナーとコムキャストの他にケーブル会社が存在しないか調べてみるが、ありそうにない。それでは、と、ケーブルもDSLも扱っている(回線を又売りしている)総合インターネット接続プロバイダのEarthlinkのサイトにアクセス。祈るような気持ちで住所を入力するも、選択肢はやはりダイヤルアップか衛星のみ、ケーブルもDSLも利用不可・・・(元売りのケーブル会社や電話会社がサービスを提供していないのだから、当たり前と言えば当たり前)
#がーん!!!
###ダメじゃ~~~ん!!!

 砂漠のど真ん中の小さな集落とか、森の中の一軒家なら分かるよ。だけど、ダウンタウンロサンゼルスから車で10分、AAA発行の「ロサンゼルス中心部」という地図に表示される範囲にある、古くからの住宅街のお話だ。特にケーブル(テレビ)は、アメリカでは古くから隅々まで普及しているものと、今の今まで思っていたのに! あり得ない!!!
 さすがアメリカ・・・。さすが、ダイヤルアップ接続のCMを未だに放送しているだけのことはある。日本より下手すると2桁遅い、「本当にそれってブロードバンドなの?!」っていうようなDSLですら、利用できない地区があるのだ。それも超町中で! 信じられない・・・
「デジタルディバイド」なんて言葉、近年よく耳にするが、どこか遠い世界の話だと思っていたよ。これじゃオバマが「デジタルディバイド解消」などと、言わなきゃならないわけだ。いやもう本当に、早く解消してくれ! ってか、せっかく見つけた好条件の借家なのに、悲し過ぎる・・・。翌日は大家さんのほうから電話がかかってきたりして、どうやら気に入ってもらったようなのに、返すがえす残念無念!!!
 というわけで、急な引っ越しという、考えただけでぞっとするような面倒で憂鬱な作業からは解放された。実のところ、ほっとしている部分がある反面、いったん盛り上がってしまった気分の収拾がなかなかつかない。今のアパートの嫌な点が今まで以上に目につくし、「逃した魚」がものすごく大きかったような、とんでもなく惜しいことをしたような気がして、納得できないモヤモヤした気分が当分は続きそうである。
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