おねえちゃんの独り言

「おねえちゃんの独り言」のブログ版
(・・・って、そのまんまだけど)

父を看取る・・・

2018-09-28 23:16:01 | Weblog
 昨日、白目をむいたままで荒い呼吸ながらも、とりあえず眠りに落ちた・・・というか、意識がなくなった父をおいて、ヘロヘロとホテルに戻ったものの、もちろん心の片隅には一晩中ずっとついていたほうが良かったのではないか?という思いが渦を巻いていた。
 しかしまあ、状態に変化があれば病院から電話があるだろうと、自分に言い聞かせる。私が無理をして疲れ果ててくたばっちまっては、元も子もない。それに、とにかく時差ボケで眠かった・・・
 今日は朝一のシャトルバスに乗っていったん父の部屋に行き、前日ある程度片付けた品物のうち、引き取る物の一部を鞄に詰めて、いったんホテルに戻る。一度にたくさんは運べない・・・ってか、そもそもアメリカにたくさんは持って帰れないが、それでも最低2回は運び出す必要がある。その1回目である。
 その後、病院に直行したのだが、11時近くなってしまった。父の様子を見ると、昨日より深く眠っている(んだか、意識を失っている)様子で、もう手足もほとんど動かない。昨日まではいやがって外していた酸素マスクも、装着されたままになっている。病院スタッフによると、前夜からずっと眠ったままであったようだ。
 もう長くないことは誰の目にも明かだ。とりあえず今日は面会時間が終了する8時まで滞在するつもりで暇つぶしの道具(本やパソコン)も持ってきたし、腰を落ち着ける。父はずっと眠ったまま、昨日よりは随分と静かで楽そうな呼吸を規則正しく続けている。看護師さんが時々血圧を測ったり、鎮静剤の点滴の交換に来ても、ほとんど無反応。
 なんとなく異変を感じて、読んでいた本を鞄にしまったのが午後2時50分。それまで規則正しかった呼吸の間隔が、かなり空くようになってきた。血圧を測りに来た看護師さんが異変を感じ、他の人を呼びに行き、何人かが様子を見に来た後、別の部屋に移動する。しかし私が見たところでは、その時点ですでに90%は亡くなっていた。
 別室では、テレビドラマや映画でよく見るような心電図グラフ(?)が表示されるモニタを装着されるも、その時点でほとんど呼吸も脈もなかったと思う。
 しかも、その瞬間に、普段からお世話になっていた病院スタッフ(入院している大病院ではなく、老人ホームに併設の小さな診療所の医師で、普段は父はそこで透析を受けていた)から電話・・・! 死にかけてる時に、看取りの大事な瞬間に、電話かけてくんじゃね~よ!!! さんざんお世話になったスタッフで感謝してもしきれないぐらいだが、この電話だけは、おそらく一生ムカつく・・・
 その最悪なタイミングの電話を受けている最中に、先に書いたモニタが、これまた映画やテレビのように赤く点滅してピーピー鳴り出し、グラフの表示が平らに一直線になった・・・
 この時、その病室には私と父のみ。別室でモニタしているとはいえ、なかなか現れない看護師や医師に微妙に不安を感じつつも、もしかするとゆっくり看取るための思いやりか・・・とも思ったり・・・。あるいは、完全に不可逆的に亡くなるのを待っていたのか。これがまだ生きられる可能性がある若い患者だったら、この時点で心臓マッサージなり電気刺激なりをするだろうから、その必要がない患者の場合はしばらく間を置くものなのかもしれない。勝手な予想だけど。
 そうこうするうち、ようやく医師と看護師がやってきて、瞳孔を確認して死亡を宣言。たぶん、死亡診断書に書かれた時刻は、実際に亡くなった時刻より15分ほど遅い。まあ、どうでもいいが・・・
 父の死が悲しいというより、私の周りに近年立て続けに起こる喪失や変化を思い、平家物語の冒頭ではないが、世の無常や(大げさだけど)盛者必衰をしみじみと感じて少し涙が流れた・・・
 看取ったと言えば看取ったが、これで良かったのか、よく分からない。もし母を看取ることができたのだったら、ベッド脇でずっと手を握っていただろう。迷わず一晩中、付き添っただろう。
 もちろん、父の最期の願いはちゃんとかなえた。私がいたからこそ、父がいやがっていた首のカテーテルを抜き手の拘束も解き、意識がある間は酸素マスクも外せた。意識がなくなるまで側にいた。おそらく苦しみながら父が最期に見たものは、私の顔だっただろう。しかし意識がなくなった後とはいえ、ずっと付き添ったわけではない。意識が戻らないまま亡くなったとはいえ、臨終に際して手を握ったわけでも声をかけたわけでもなく、横で眺めていただけだ。おまけに、最後の最後の本当に最期は電話を受けていた。
 よく分からないし、多分誰にも分からない。正解はない。
 後悔しないためにはるばる太平洋を越えて飛んでは来たものの、せめて自分だけでも満足できる、とりあえず自分だけでも納得できるような看取りは、結局できなかった。

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