石川綾子さんと言うヴァイオリニストがいるのだが、私は彼女のアメイジンググレイスが好きである。疲れた時などに聴いているが、ヴァイオリンと言うと高尚で、曲によっては厳かで私のような庶民には近寄りがたいのだが、しかし彼女のヴァイオリンは、自身も客をどう喜ばせるかとクラッシックにはない表現を求めているので、私にも効きやすい。石川さんは外国生活が長く、高校はロンドンのハイスクールの通っていたそうだが、そこでは日本人がひとりであったそうで、談話によるとその時自分は唯一の日本人だから、自分は日本代表ぐらいの感覚を持っていたので、そのせいか成績もトップクラスを維持していたらしい。おそらく東洋人と言うこともあって外国での暮らしはいろいろと考えさせられることもあっただろうし、多くの葛藤もあっただろう、音楽でも文章でもそうだが、悩んだり、葛藤したり、そして自分の境遇や運命と戦って表現される表現力は何よりも力強い、そういう表現力が多くの人を励まし勇気づけれるのだろう。
表現力を養うためには多くのことを経験することは大事なことだ。勉強していないと言うのは論外であるが、多くのことを経験してそこから語られる言葉には説得力がある。いろいろなことを体験することは若いうちには必要なことだ、外の世界に出て行っていろいろなことを体験したら悩んだり、葛藤することでようやくその人の人生においてひとつのことが分かったと言えるのだろうと思う。私自身はたいしたすごいことをやったわけではないが、けれども外国で生活できたことは自分を大きく成長させたと思っているし、もちろん私もそれなりに悩み葛藤したが、表現力はまず知識はもちろんのこと多くのことを体験して考え、悩み、葛藤するから生れてくるものだと思う。
Amazing Grace/Ayako Ishikawa