デカルトという哲学者がいる。デカルトはもともと数学者だったわけだが、その数学的考察を哲学に取り入れた哲学者である。じゃあどのように彼は数学的考察を取り入れたかというと、数学には公理と定理という言葉がある。公理とは問題をいろいろと考えていって突き詰めていってこれが正解だろうという公に認められるだろうという答えのことで、その積み重ねが定理になる。例をあげれば三平方の定理である。これは直角三角形の2辺に接する正方形の面積を足すと長い斜辺の正方形の面積と等しくなるということだが、この定義は平行線はどこまで行っても交わらない、三角形の内側の角度を足すと180度になる公理から導き出されたものである。デカルトはまずすべてのものを疑った。そして疑って疑って最後にいくら疑っても自分を疑うことができない自分の存在にたどり着いたわけであるが、彼はそこを一つの公理として物事を考察しようとした。いわゆる考えている自分そのものの存在は否定できないということであるが、おそらくデカルトが導き出した公理は思考することであり、どう思考すれば真理である定理にたどり着くことができるかということが書かれているのが「方法序説 」である。さらにデカルトは机上の学問だけではなく外の世界に出て行っていろいろなことを経験することは大事なことだと言っている。これは私の持論であるが思考できる人間は強いと思う。特に経験値の高い人はその経験から多くのことを学び思考できるのでぶれない何かを持っている。一方人の話が聞けない、聞いてもそれを理解して受け入れることができない人は行動に脆弱さを感じてしまうのだが、やはり思考できる人とそうでない人とでは生きていく上で大きな差があると思うが、実際管理職などの人がいい哲学の本があればすすめてほしいと聞かれることも多々ある。考えることは大事である。人間悩んだときは自分が一番不幸ぐらいに思ってしまうが、しかし考えて考えて知恵を振り絞った結果何かが見えてくる。私は立場上いろいろな人たちから相談を受けることがある。そしていつの時代になってもまじめに一生懸命生きている人たちは悩み事が多いことを実感している。生きていく上で我々は多くのことを経験し、そして大きな試練に出くわすこともあるだろう。でもそれを回避できるすべを身に着けるために多くのことを経験しぶれない思考できる能力を身に着けることは大事なことだ。
参考文献「方法序説 (まんがで読破)」ルネ デカルト イーストプレス