脱あしたのジョー

MTオリーブフィットネスボクシングクラブのブログ

sell yourself

2012-02-09 | Weblog
8年ぐらい前大阪で淀屋橋あたりのオフィス街を歩いていると、むこうから知り合いの大学生が歩いてくる。
いつごろかは忘れたがまだ暑い季節であるにもかかわらず、ダークスーツを来て歩いていたのだが、私が気がつくとすぐにむこうも気がつき「あっ」と声をかけてきた。
聞くところによると彼は就職活動に出向いていたらしく、今日はその会社で面接があったそうだ。
最初就職活動とは知らなかったので、私は思わず「お前ところで、こんなとこで何してん、はりこみの刑事みたいやぞ」と言ってしまったのだが、その言葉は彼にとってショックだったようで「俺そんなに目つき悪いですか」と言ってきたので、これはいかんとその後彼をお茶にさそってなだめるのにたいへんであったが、彼は私のことを的確に物を言う人と評価しているので、この一言は彼にとってきつかったようだ。
まあそれでも「警備会社だったら即採用」とかからかいながら、彼とその面接の様子や手ごたえなどを話したのだが、しかし彼にしてもそうだが、なぜこういう面接の場で自分の印象をよくすることばかり考えるのか不思議だ、面接の手引書というかガイドブックもそうだが、御社のとか言って、とにかくほめまくり、賛同する姿勢が見られるが、しかし私などはそこまでして働きたくはない。第一大学を卒業して自分のスキルを売り込みにいくのに、土下座面接も甚だしい。
日本語でよく面接などで「自分をアピールする」というようなことを言うが、これは和製英語で直訳すると自分をうったえる(法廷で)ということになり、英語で言うとかなりおかしい表現である。
英語ではこういう時「sell yourself」あなた自身を売ると言う言葉を使うが、まさに面接は自分を売り込む市場のようなもの、あまり相手にあわせてしまうと安く見積もられる。
私は彼に「もともとお前みたいに厳しい顔の奴が(実際には目つきがわるいと言ったが)、無理に印象をよくしようとすれば不自然で余計に印象がわるくなる。それだったら俺はこうだと自然体で堂々とかまえて、むしろ相手にあわせることばかり考えず、自分にはこれができると毅然と答えるほうがいい」と自分の考えを言ってやったのだが、この半分逆切れに近い説得は「そういう考え方もあるのか」と意外と功を奏して、彼は元気を取り戻したのだが、その後無事に内定をいただいたらしい。
これは約8年前の話しだが、おそらくもう今では面接のあり方もかわってきているだろう。
大手なんかは外国人を積極的に採用しているそうだが、おそらく我々の時代の土下座面接では、外国人相手に自分を売りこんでいくことはかなりのディスアドヴァンテージがあると思う。
たぶんこれからの時代は自分は何ができるかという、即戦力が求められる時代ではないかと思っている。
企業でも外交的なスキルが求められるので、アドヴァンテージになるのは、まずは外国語がはなせること、そして戦略練るためのスキルやキャパがあるかということは、今の時代に最優先に求められることだと思っている。
例えて言うならば「自分は10年間ボクシングをやってきました」と言うような答えだけでは、自分を売り込むためにはいまいちどころかそれしかできないのかとマイナスになる。第一サルでもあるまいし、10年間人をたたいてきたとかボールをおいかけてきたと言うのは芸であってサルでもできる。むしろ「ボクシングを10年もやって来て、脳にダメージがのこらないのか」という質問をされたらどうするのか?
大事なのはそのことを通して自分はこれができるという具体的なスキルのようなものだ。
それで何を得たのだと聞かれて「礼儀を学んだ」とか「最後まであきらめない気持ち」と言うような子供の作文並みの答えではブーッ、むしろボクシングを通して、アメリカに興味を持って、実際に英語をおぼえて、むこうの試合に1度でた。
そしてその時知り合った人たちとは今でもメールやスカイプでやり取りしている。実際にそのやりとりは英語で行われるので、英語が上達し、向こうの文化や習慣などを理解した。付け加えて言うならば、日本のクラブは鎖国だと言うことがわかったぐらい言っても、十分自分を売り込んだことになるのではないだろうか。
たぶん面接する側も最初からぶらさがろうというような気持を持った人間は、最初から見抜き採用しないだろう。
大事なのは自分を売り込む力sell yourselfである。

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