そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

生産量しか追わない、農を忘れた日本の農業政策

2022-04-25 | 農業と食
日本の食品は世界一安全と思っている方がこの国に溢れている。プーチンの支持率が83%に驚く国民はなんという無知なことであるか。手前みその国内情報しか関心のない日本は、農薬に関する情報が圧倒的に少ないのである。台湾が200倍もの農薬を使っている日本のイチゴの輸入を禁止したことを本ブログで2年前にとりげた。コメントがかなりあった。驚いたというのと、基準が異なるというのが多いのであった。中国は隠しているとか、遺伝子組み換え作物が入っていないとかいうものであるが、日本の圧倒的な農薬の使用量が変わるわけでもない。
日本人は勤勉で、日本が決めた基準を忠実に守ってはいる(だろう)。その基準が相当手前勝手である。ラウンドアップやネオニコチコイド系の農薬は先進国ではほとんど禁止されているが、日本は捨て場所になっているのではないかと思うほど大量に使われている。ラウンドアップについては、農協が地域ごとの競合をやって表彰すらしているし、国営事業で農地改良すると使用が強制されている。こんなものが入っていない。
更に、近頃はスマート農業やイノベーションという言葉で、報道に披露されて、農薬や化学肥料がどれほど使わなければならないかは、何も示されていなくてこの数字である。
無人のトラクターを導入するには、どれほど費用が掛かるかご存じあろうか?その費用は規模を大きくし反収を増やさなければ返却できない。導入前と農家所得が増えるわけでもない。遺伝子組み換え作物の導入も検討されることになる。すでにNHKなどの解説では遺伝子組み換え作物は安全であると言い続けている。
昨年5月、日本政府は、「みどりの食料システム戦略」(通称:みどり戦略)を発表した。みどり戦略では、有機農地を25%まで高めると示されているが、天文学的数字でしかない。上の表では現在0.2%でしかない。達成不可能のその時は日本はお得意の、有機の基準、ハードルをうんと下げるのであろう。変な国である。
有機とは化学用語で炭素を含むということである。だから有機テレビなどという、堆肥で作られてもいない有機テレビが出現する。
有機とは”Organick”の訳であるが、本来は機能的あるいは互いに繋がっている、という意味である。現在有機農業は、「生態系農業」と言い換えるべきだという人たちの声が大きい。
スマート農業などは、農業外技術であって農民を、土地や生産物や生態系から引き離すものである。生産量で農業を評価するものでしかない。有機では取り組めないだろう。日本はこんな矛盾した政策を平気で行う。そしてできもしない高い目標を掲げる。
外部資本や技術、それに外部(国外)資源に依存した農業は、現在のようなロシア・ウクライナ戦争が起きた時には、耐えられない脆弱な体質の農業といえる。おまけに今頃になって安倍晋三とクロトンが誘導した、円安の被害をもろに受けているのが、日本政府ご推奨の大型農業である。


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