そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

中国の海洋進出より怖い食料の世界進出、それは追う始まっているが誰も報じない

2023-10-09 | 農業と食
日本は中国は怖いいぞ怖いぞと言い続ける。西南諸島に海洋進出する、基地をつくる。漁船が追い払われる。かつての盟友ベトナムとも領土の諍いが起きている。
尖閣列島に戦艦が来た。敵軍上陸作戦を自衛隊がやる、アメリカがやる、台湾もやっている。台湾有事が起きるぞ、中国が攻めてくるぞ、と勇ましい。
確かに中国は不遜の輩ではある。経済成長を国家資本主義で成し遂げたといえる。しかしこれらの喧伝は、すべて日本政府の発する、国家に忠実な日本御マスコミはこれを垂れ流す。軍事予算の拡大への布石である。軍事予算増高を、「仕方がない」という風潮をつくるためのものである。

しかしこれらは一部始まっているのもあるが、思い込みの部分も少なくはない。
現実に中国が進出しているのが食料である。中国は昨年食料自給を上げる政策を発表した。食料自給率が80%を切ったからである。先ずは肥料などを輸出を制限したが、主体はコメの生産地域(中国の平原と呼ばれる地域であるが)を有機農業に切り替えるというものである。日本農政を見るとその落差には、図り切れないものがある。しかも中国は国家資本主義体制である。個人の人権や所有権などお構いなしに政策を、ドンドン進める。大食い競争や、食を軽んじる番組の放送なども禁止された。資本主義国家の政権が羨むものがある。
中国の食料の世界戦略はもうすでに始まっている。絵空事ではない。上図は、東大の鈴木宣弘先生の資料から失敬した、クローズアップ現代+のものである。
EU食への有機農産物の輸出額である。中国は2位以下の南米諸国の倍する量を輸出している。因みに53位の日本の200倍超の量である。絶句の極みである。
下の表は、以前にも紹介したものであるが、世界の穀物備蓄量に占める中国の比率である。トウモロコシは68%、コメは61%、小麦は51%を中国は備蓄している。
軍事侵略を受ければ、まいりましたと言えば生き延びられるであるが、食料は攻め込んでもいないのに、必要量が70%を切れば餓死者が続出する。
戦争は始まってもいないが、食料争奪戦はとっくの昔に火ぶたは切られている。
いつまでもアメリカのおこぼれ、しかも遺伝子組み換え作物や、農薬やポストハーベストが、たっぷりかけられた食料を買わされて、ご満悦している時代ではないのである。
しかも、畜産分野では大量の穀物を与え、カロリー価を、玉子で8分の1,牛乳で15分の1,豚肉で22分の1,牛肉では30分の1以上に落とすのである。これは食料自給悪化に貢献し、家畜を不健康にして消耗させる。
たった37%、それも現実には10%を切っていると思われる、日本の食料は風前の灯火である。


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1 コメント

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平和ボケ (ジジ)
2023-10-10 15:14:49
平和ボケが増えるとかえって戦争の可能性が高まる。どういう手段でやられるかさえ分からない平和ボケでは、やられ放題になる。
食料安全保障もその中の一つ。
主様は専門分野では鋭いことを仰られていますが、統治は各専門分野とその統合的な認識と処置であり、全知全能な人間が居ない以上、そのあたりの認識とマネジメントが政治の肝ですが、その統治系の人たちの質が恐ろしく下がっている理由が気になりませんか?
掲載されなかった投稿の内容はともかくとして。
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