吉永小百合の、”キュ-ポラのある町”で主人公ジュンの弟の友人が、声援に送られて汽車で旅立つが帰ってくる場面がある。その当時はこの場面を理解できないで見ていた。
「地上の楽園」と讃えられた、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)に旅立った多くの朝鮮人とその妻や家族がいた。昭和30年代はまだまだ日本は貧しく、韓国人はいろんな意味で差別・迫害を受けていた。
誰もが平等で、貧困のない社会主義国家はまさしく彼らにとっては、地上の楽園に思えたに違いない。
そうした人たちを、新潟から送った友人がいる。彼は懸命に、彼らの祖国に多くの人を送り続けた。
その後友人は、北朝鮮に大きく裏切られることになる。毎年の帰国どころか、連絡さえままならない。政治体制も、恐怖の政治体制によって締め付けられていたことが、次第に判明するようになった。
その後友人は、横田めぐみさんの行方不明に、北朝鮮の影を見てとり救う会を立ち上げて、両親と街頭に立った。北朝鮮による拉致事件の先駆的な活躍を彼は行い、今日至っている。
楽園と呼ばれるが、現実には地獄であったところに送り続けた、彼の悔悟の念は消えることがない。帰国事業の初期の資料を集めた彼の本が出版された。
「幻の祖国に旅立った人々」北朝鮮帰国事業の記録 小島晴則編、高木書房刊2,000円。行政も一体になって、虚構の楽園に新潟の港から送り続けていた、当時の事業が解る。
本書は8万8611人を見送った、小島晴則氏の懺悔録である。帰国事業を歴史の暗部として葬り、当時関わった多くの人たちは、北朝鮮を非難することで贖罪になると思っているのであろうか?
北朝鮮あらゆる問題の原点をここに見ることができる。
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1 コメント
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- この本、読んでみます。NHKの子供番組の声優と... (志村建世)
- 2014-02-18 23:07:07
- この本、読んでみます。NHKの子供番組の声優として人気のあった永山一夫(ブーフーウーの狼など)が、この帰国者に入っているのです。私の番組にも出てもらったことがあり、気になっていました。死亡説もあるようです。
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