中国を仮想敵国に仕立て上げるために、自民党日本政府は中国について、とりわけ外交についてまともな報道がされなくなった。とりわけ中東の動きについては皆無と言って良い。中国に善行は似合わないとばかりの、日本政府とそれに追従するマスメディアである。
中東情勢の中でほとんど動かないのが、アメリカのイスラエル支持とサウジアラビアとの蜜月関係である。しかしこのところ、イスラエルはウクライナを巡っては、アメリカ一辺倒にはいかない。サウジとは、トルコで殺害されたカシギョ記者の犯人26人を国に送還したことで、不穏当な関係が続いている。
20世紀な中国は侵略される側であった。その意味で、中国はアジアでもアフリカでも南アメリカでも中東でさえも、傷跡を残していない。むしろ同列にいた。
<中国中央テレビニュースが下記のように伝えている>
『中華人民共和国とサウジアラビア王国、イラン・イスラム共和国は3月10日に北京で3ヶ国の共同声明を発表した。3ヶ国は声明の中で、サウジアラビアとイラン両国の国交回復と、2ヶ月以内の双方大使館と代表機関の再開、双方の大使の派遣、そして二国間関係の強化を検討するなどを含めた協議に合意した。また国際・地域の平和と安全を強化するため、3ヶ国はあらゆる努力をしていくことを表明した。』
習近平の三選へのお祝い花火である。
国連のグテーレス事務総長は、「イランとサウジアラビアの外交関係が回復したことを歓迎するとともに、中国が両国間の対話を促進したことに感謝する。サウジアラビアとイランの善隣友好関係は湾岸地域の安定を促進させる助けとなる」としている。
これで中東での中国の存在感が高くなり、アメリカのイラン包囲は転機を迎え、サウジとイランの代理戦争の様相であるイエメンの内戦終結に向かうなど好材料でもある。
中東のパワーバランスが、中国の介入で大きく変わる。少なくともアメリカの影響力は大きく低下することになる。背景にアメリカに面従腹背の国々も、今日の混乱はブッシュのイラク侵攻に始まると思っていることがある。このように世界に存在感を高めつつある中国を、仮想敵国として防衛予算を倍増するに岸田文雄はアメリカ支援を妄想しするしかないのである。