そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

黙って方針転換する政治家

2009-01-30 | 政治と金

今国会の麻生首相の演説はおかしい。いろいろ景気対策だの、給付金だのともめているが、おかしいと思うのはそんなことではない。麻生は、演説ではっきりと小泉改革を否定したのである。

すなわち「大きな政府より小さな政府」を目指した小泉改革に対して、「機能する政府」と主張した。オバマを意識しているのかもしれない。また「民にできることは民へ」とした小泉に対して、官の重要性を説いていた。自民党の幹事長に促されて、官僚の渡りをやっと否定してみたが、この男の本心ははっきりしている。経験豊富な官僚を登用したいのである。

自由民主党は、小泉改革を推進していたはずだが、何の断りもなく、誰の信を問うこともなく勝手に方針転換をしたのである。上げ潮派といわれる、中川秀直たちは忸怩たる思いで聞いていたことだろうと思われる。

公党が党内の論議はもとより国会の論戦もなく、あるいは国民に信を問うことなく方針を転換する。郵政選挙から4年、小泉改革が始まってから8年、時代が変わっているなら、それなりの討議を踏まえての決断ががあって然るべきである。場当たり的な発言としか思えない。

しかも、麻生が堂々と国会で方針展開をできるのも、小泉郵政選挙で得た議席があって、初めて可能な言動である。全く矛盾したことである。

自民党は、首相が問題を起こしたり失政すると、同じ党内から批判人物を担ぎ出す。頭をすげ替えることで、国民に何とか目先のごまかしで乗り越えてきたのである。党内政権交代を重ねてきている。

日本の政党の体質が、こうした論議もないまま方針転換を行うのである。私が知る限り、党内論議を経ることにない最大の方針転換は、社会党の村山内閣の自衛隊容認である。この方針転換は、社会党の支持者になにも問うことがなかった。社会党はその後、自壊の道をたどることになる。

自民党にもその兆しがあるのではないか。日本の公党はこうした論議を踏まえて方針を転換するのが、どの党も不得手のようである。なあなあで収めるのは日本的ではあるが、これでは民主主義体制とはいえない。

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