そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

牛乳という特殊な商品を知ってもらうために、その2

2016-08-30 | 農業と食
乳牛はいつでも泌乳してくれるものではありません。ある一定の大きさになって、発情が来るようになり授精して妊娠して、臨月を迎えて分娩します。当たり前のことですが分娩しなければ泌乳しないのです。産まれてから初めての分娩まで、24~30カ月ほどかかります。母牛に受精するところから考えれば、さらに9カ月の時間がかかります。
他の農作物も計画しても一定の時間がかかりますが、乳牛は単純に考えるだけでも3年ほどの経過が必要になるのです。すぐに増産できないところに牛乳の大きな問題があります。
牛乳は鮮度が求められ、備蓄が基本的にできません。粉乳にしたりして乳飲料としての再生できる程度です。チーズやバターそれに、様々なものに転嫁するための粉乳などは、結果として備蓄ができる乳製品と言えます。
北海道の牛乳は、殆どが昨日記載しました一元集されて指定団体に集められ、目的別に加工されることになります。消費動向を見ながらできるという利点がありますが、農家側から見ると加工目的によって価格が異なるので、かなり複雑な構図になっています。
バター、チーズ、脱脂粉乳、生クリームそれに給食用と分けれれ多比率によって算出されたうえ、ここの酪農家の牛乳の成分と量によって、酪農家の受け取る牛乳価格が決められます。

乳牛は約13カ月間隔で分娩することになります。受胎しなければ、乳量は減ってきて淘汰されることになります。乳牛の病気はこのほぼ毎年繰り返される、分娩時にほとんどの病気の原因があると言われています。お産に係わるものだけではなく、乳房の炎症・乳房炎や繁殖に関する障害もこの時期に関係していると言われます。
搾乳は多くは一日2回行われます。この作業は欠かすことができません。牛を大事に扱う酪農家では、10産ほどはすることになります。酪農家は牛の個性や能力や、牛群内の力関係などを把握することになります。
大型でたくさんの乳牛を飼って、穀物を多給する高生産乳牛を抱える酪農家の乳牛は、平均で2.5回ほどで淘汰されます。牛に体がが生産に追い付かないので、受胎しなかったり乳房炎だったり、分娩時の障がいなどで淘汰されます。酪農家も個々の牛のことなど覚えていません。
酪農は現在、政府が推奨する大型農家が主流で多くの牛乳はこの環境で搾乳されています。つまり、コンクリートの床しか歩くことができない閉塞された空間で、大量の輸入穀物を給与された乳牛から搾った牛乳が主体なのです。乳牛を生命ある個体としてのアニマルフェアーの点から牛を飼うべきと、私たちは提案しています。
酪農は忌避音的には手作業なのです。余りにもたくさんの牛を飼ったり、むやみに大量の穀物を給与して、乳牛に負担をかけるべきではないのです。有機農産物同様に、アニマルウエルフェアーに沿った使用環境には評価を与え、一定の価格帯になることは消費者の理解をいただきたいと思います。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

羅臼港

春誓い羅臼港