11月20日開かれた国連総会第3委員会(人道問題)で、死刑廃止に向けた重要な決議がなされた。死刑廃止と死刑決定者に対する、一時停止などが決議されたのである。2年連続のことである。
賛成はEU諸国とイスラエルやオーストラリアなどで105、反対は日本やアメリカや中国やイランなどで48で、棄権は33カ国となっている。決議を受けて、国連は日本政府へ勧告を行った。もちろん強制力はない。
死刑廃止は国連加盟国で141か国になった。89年には100カ国以上あった死刑賛成国も、今は僅か24カ国に減少している。日本は、世論が許さないとして死刑に賛成し国連の申し入れを拒否することになる。
日本の死刑賛成論が増えたのは、凶悪事件をマスコミがワイドショーなので面白おかしく煽るからである。凶悪事件は実際のところそれほど増えているわけではない。
マスコミなどが煽ることで、犯罪者に対する報復感情が大きくなることがある。もう少し人のレベルになって考えなければ、死刑という人の国家が行う命を奪う行為を、感情論で早急に判断してはならないように思われる。
人は必ず間違いを犯します。犯罪としての間違いもあるし、判断としての間違いもある。証拠証明などの情報の収集にあっても、間違いは必ず起きます。死刑執行は、それらのすべてをないものとして判断されるものです。死刑執行は元に戻れない行為でもあります。
犯罪者の償いの最高の形が犯罪者の生命を奪うことだとは、極めて一方的な感情論で非人道的な論理です。
日本には「終身刑」がないことが更に、死刑必要論に拍車をかけています。懲役30年程度が死刑の次の段階なら、日本では恩赦などで20年ほどで出所します。こうしたことを考えると、生涯をかけて償う行為こそ求められるのである。
世界の流れに反して、死刑必要論が大きくなる日本は、非近代的国家と言えるのでないかと思われる。