そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

他国を考慮しないWTO

2008-07-29 | 政治と金

日本の農業は保護されているとよく言われる。ほとんど無根拠であるばかりでなく、全く逆の状態である。日本の農業は保護されていないからこそ、自給率が40%を切ってしまっているのだ。

さらに就農者の高齢化は目を覆うばかりである。私は自著「そりゃないよ獣医さん」で、日本の高齢化は均等に起きない農村から起きると言ったが、限界集落の現状と合わせて深刻な状況はさらに進行している。

日本農業が過保護だという声は、さすがに少なくなったが、それとて総論どまりである。消費者は、目の前にある安い農産物を購入する。日本の農産物が安全とは言わないが、少なくとも目の届く範囲で同じ法律や規制下にあることは、ひとまず安心である。

財界からの提言として、日本農業を壊滅的に動いたのがいわゆる「前川レポート」である。日本農業を大規模化せよ、技術革新せよ、農協を改革せよ、農地解放せよと叫んで、結局は海外の安価な農産物を輸入を加速させたのである。

当然である。財界は海外に車などの工業製品を大量に輸出させて、その見返りに農産物を買い入れて、貿易収支のバランスを図ったのである。農業改革は彼らの付け焼刃の論理でしかなかった。

Photo その結果日本は、大幅に関税率を下げ続けたのである。左の表をクリックして見ていただきたい。世界各国の農産物に対する、平均関税率である。日本は最低である。この中には、300%を超すお米が入っての数字である。いかに日本が、海外の農産物に対して、寛容な国家であるかが分かる。

だからこそ、食料の海外依存度が高くなっているのである。日本は、農業に対する補助の在り方については、確かに大きな問題を抱えている。農家と土建屋には金を出すが農産物には、ほとんど金を出さない。

現在WTO(世界貿易機関)の多角的貿易交渉の最中である。各国は、世界の食料を見据えて議論はしていない。自国のことしかどの国も主張しない。国益が最優先される会議である。

先頃の、洞爺湖サミットでは食糧や温暖化は国家のレベルでは解決できないと、話し合ったのではなかったか。WTOの論議は、明らかのこの動きを矛盾する。

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