


トランプが渋々ホワイトハウスを後にした。トランプは大統領選挙の敗北を認めず、選挙は盗まれたと言いながら、この一月で60件にも及ぶ法律にサインをした。その多くが就任後のバイデンへの当てつけのものである。
腹の中では敗北を認めているのであろうが、支持者を煽って議会への突入をやった。73人の恩赦と70人の減刑も酷い。恩赦の多くはトランプ支持者であるが、とくにトランプの側近で国境に壁を作ると言って100万ドルをだまし取った男も込音化に含まれている。,
トランプは自らの政策の成果を自慢し、また戻ってくる新しい出発が始まると言い残してエアーフォースワンに乗って南へ向かった。バイデンについては何も語らず、就任式にも出席しない。何とも後味の悪い男、往生際の悪い男である。
バイデンが大統領になることで世界は変わるだろうか?結論から言えば世界はほとんど変わることがないが、アメリカの国内は大きく変わるであろう。トランプは、虚と実、嘘と事実の壁をメディアの中で取り払った。最高権力者が平気で嘘を付き続け、メディアの一部もそれを容認し始めた。嘘を信じたトランプ支持者は残り少なくはなったとはいえ、カルト化してバイデンをこき下ろすことになるだろう。二度の弾劾を受けながらも、共和党の半数は岩盤支持層以上に続けることになる。ただし共和党が彼を認めるか疑問が残る。トランプは新たな政党かメディアを作る話もある。トランプが刑務所に送られなければの話である。
アメリア国内ではフェイクニュースと名指しされたメディアは復活するだろう。落ち着いた政策論議も復活するであろう。
問題は外交である。パリ条約や国連人権委員会復帰やWHOそれにイランの核合意は復帰するであろうが、中国との関係はさらに厳しさを増すことになる。バイデンが中国に人権問題を迫るであろうから、台湾や香港問題以上に複雑になる可能性はある。バイデンはウイグルはジェノサイドにあっていると述べている。北朝鮮問題はトランプと金正恩がお友達風にはなったが、外交的には何もしなかったが、関係はさらに悪化する。
トランプは大言壮語を繰り返してはいたが、シリア空爆以外の軍事行動をしなかった。政治経験がなく対処に困ったのであろうが、バイデンアな軍産共同体をバックに持っている。在任中に紛争が起きる可能性がある。イスラエルとは大使館の移転やゴラン高原の容認をどうするかで大きく変わる。
コロナ対策は何ら進展はしないであろうが、あらゆることをハリスに任せてゆくことになるだろう。嘘がなくなるだけで大きく変わることはないだろう。

トランプはアメリカの国際貢献を悉く潰してきた。そのことでアメリカの経済が好転したとか失業率が減少したというのは、アメリカンファーストその国際的な航空自由化協定ものであって超大国が世界に占める意識がないということに他ならない。トランプの失脚は世界の幸運であるが、バイデンはさっそっく取り組まなければならないことがある。特にアメリカが長年かかって交渉の結果積み上げて、高い評価を受けてきたものの復活に取り組んでいただきたいものである。
先ずはなんといってもパリ協定である。2017年6月にトランプが、アメリカ経済を圧迫すると温暖化対策を放棄したことである。大統領選の結果が判明する前の11月4日に失効している。バイデンは真っ先の仕事として復活を明言してる。
8カ国が長い時間をかけてやっとこぎつけた、イラン核合意である。不完全なことは承知でまずはイランをテーブルにつかせたのである。其処から次を目指せがよい。ドイツの外交努力は大人である。目先の経済性とイスラエルのご機嫌伺いのために、トランプは離脱した。イランに核開発をつづけさせる口実を与えたトランプの責任は大きい。
東西冷戦時代にソビエトと合意した。中距離核戦力全廃棄条約(INF条約)を2019年2月のトランプはロシアに通告した。これはプーチンに核兵器増強のいい口実を与えた。相手に先に言わせたプーチンの方が数枚上手である。
冷戦時代にレーガンとゴルバチョフが結んだ由緒ある二国間の条約の回復は困難であろうが、バイデンがトランプが壊した国家の品格や大国の果たさなければならいにことを言うのなら別の形でも復活願いたいものである。
国連人権委員会を2018年5月に、トランプは離脱した。「偽善的で自己満足のための組織」「『人権侵害国』の擁護者で、政治的偏見の汚水槽」と汚く激しい言葉で国連人権理事会を批判している。離脱のはっきりした理由はわからないが、イスラエルへの配慮なら大きな問題である。むしろ残って協議の場を守るべきである。
WHOから、中国の悪口を並べて捨て台詞のように言うのは情けないが、トランプは2020年5月に離脱を表明している。米中経済戦争の最中にコロナを中国がばら撒いたといい続けた。大統領選に向けたパフォーマンスであろうが、残って協議の姿勢を示す方がよほど、遠回りに見えても有効というものである。少なくともアメリカを席巻する新型コロナは、武漢型とは異なるが、トランプはお構いなしである。
今回のアメリカ大統領選挙は、アメリカ民主主義の底の浅さと劣化を露呈したといえる。敗北したとはいえトランプはオバマの得票数を上回り、当初の劣勢を後半回復し検討したといえる。トランプ支持者が掘り起こされこれほどの数になったことは驚きといえる。
それにしても敗北を認めなず駄々っ子のような醜態をさらけ出す候補者がこれまでいただろうか。

この写真はホワイトハウス前の道路に、ワシントンDCの市長が写真右のホワイトハウスに向けて路上に「BLSCK LIVES MATTER]と、目立つ黄色でペイントしたものである。ハウザー市長は共和党員である。
ジョージ・フロイドがミネアポリスで警察に殺害されたのが5月25日であるから、3週間にもなる。フロイドが使用したドル札が偽物だったのである。使用後彼は店先で友人と雑談していたところを、通報できた警察官に首を8分45秒押さえつけられ絶命した。偽札を故意に使用した形跡はなく、重罪でもない。
3週間にもなるが、当初は黒人主体の抗議デモと争乱と略奪などがあったが、トランプが軍隊出動を口にしたり、フロイドの弟が冷静になれと呼びかけたことで、抗議のデモの形態は大きく変わった。
アメリカ社会が抱える深い、警察機構の中に深くはびこり黒人への差別意識が露わになった。
抗議デモは全米に広がり、多くの所で黒人を白人が上回っているし、冷静なデモが集いている。更に若年層が参加し、ヒスパニック系も加わり、何より参加人数が広がっているのである。これまでと違う。新コロナで11万人死亡しているが、7割が黒人であり貧困層が直撃を受けていることが背景にある。
もう一つトランプになってから異なるのが、前述のハウザー市長もそうであるが、共和党内から異論が出ていることである。前国防長官のマチスは、「トランプは国民を結束させない初の大統領である。それどころか分断させている」と述べている。ストイックなマチスの言葉である。よほど腹に据えかねているのであろう。ブッシュ時代の元国防長官で今も人気が高いパウエルは、「トランプは憲法を逸脱している。私はトランプを支持しない」と述べている。
更には、イギリスはもとより、オセアニア地域やアフリカや南アメリカにまで、トランプ糾弾のデモは広がっている。これまでと違う動きである。
これまでトランプはどんなことでも反対意見者を説得しようとか声を聞こうとはしないのである。自らの支持者を固めることにだけ重点を置く。単純な論理と汚い言葉を投げつけるのである。アメリカの分断をする。大統領は国をまとめなければならない立場にある、支持者だけを固める、より強固に固めるなどという行為は、民主主義の崩壊である。


ブッシュがイラクに侵攻しバグダッドを陥落したときに、「ゲームは終わった。世界は平和になった」と海兵隊を前にして勝利宣言した。しかし実際はさらに混乱し、中東のそれ以降の暴力の連鎖の蓋を開けたに過ぎない。ブッシュは暴力は拡大するだけであることを証明したのである。アメリカの名誉を損なわれた腹いせ、アフガニスタンとイラクへの報復は国民向けである。この時アメリカ国民の8割がブッシュを支持した。
オバマがオサマ・ビン・ラディンを暗殺したときにも、世界はより安全になったと宣言した。パキスタン政府に何の了解もなく、ビン・ラディンは死亡したと表現したが、特殊部隊の限定襲撃はテロ行為そのものである。それでパキスタンは平和になったのかい。アメリカは安全になったのか。
トランプはIS国建国を宣言した、自らをカリフとな名乗った男アブーバクル・バグダディを殺害した。アブーバクル名前であって、バグダディは生まれがバグダッドということを表している。カリフは自らがムハンマドの直系の子であるということである。今回も特殊部隊による作戦で、オバマ同様トランプはホワイトハウスで殺害行為を鑑賞した。オバマ同様に、バグダディは死亡したと発表した。殺害や処刑や暗殺したとかいう適切な表現は避けている。
ビンラディンと同じようにイスラム教徒が最も嫌う、バグダディも水葬にした。イスラム教信者を拘束した時も、水攻めや黄色い服を着せたり犬で脅すのもそれだけで侮辱なのである。ビンラディンと同じようにアメリカが行ったテロである。
そうして殺害された指導者を慕う人物、そもそもアルカイダもISも、内容の良否はともかく理念で繋がっていて、こうした組織の頭部を殺害してもなくなるものではない。ブッシュが暴力で解決しようとした論理と同じである。殺害された側は報復を企てるの。暴力の連鎖である。指導者を失い一時的におさまっても根がある限り報復が起きるだろう。
世界は貧者の武力を開発している。安価で小さく発見されにくいテロリストにもってこいの武器が氾濫している。テロ暴力を力で抑制できないことはハッキリしている。テロを実行する側の論理を知ることこそが求められる。暴力は理解や話し合いを破壊する。

トランプがウクライナ大統領セレスキーに、民主党大統領候補になりそうなウクライナの企業で働くバイデンの息子の疑惑をでっちあげるように依頼していたことが発覚している。でっち上げてくれたら、4億ドルの軍事支援をすると約束もしている。トランプが打った次期大統領選挙への布石である。ペロシ下院議長はマフィアの手法と呼び弾劾を検討することになる。
前回選挙の時のロシア疑惑は、うやむやのうちに終わった。大統領職でなければとっくに収監されているはずである。今回もうまく乗り切れると踏んでいるようであるが、ペロシは乱立する民主党候補をまとめる意味もあって、弾劾に持ち込むようである。
ペロシが強気になっているのは、新たな内部分取がでためである。外国にアメリカを売った更なる隠ぺい工作文書も見つかっている。
トランプ政権がこれでの政権と異なるのは何といっても特異なのは、トランプの無知に裏付けされた感情的発言の繰り返しである。トランプは何をするのか分からない。これまでの政権では、専門家がチェックした内容が公表されていたものであるが、トランプは今回のようなことを何のてらいもなく行う。大統領としての資質を欠くなどという簡単な問題ではない。言動が世界に与える大きさなど微塵も考えていない。
トランプこそが弾劾に値する大統領で世界は彼の罷免を願っているが、事は簡単に進まない。下院は通過するであろうが、上院は相当の共和党内の造反者が出ない限り、弾劾は成立はしない。
それを計算に入れながら、トランプは中国やイランに攻勢をかけ、外交に目を向けさせようとしている。ウクライナへのマフィアまがいの裏小作にせよ、パリ協定やイラン核協議の離脱など、アメリカは理念を放棄した


国家議長グアイド氏は12日に首都カラカスでで集会を開き、「世界中の人が、マドゥロ大統領に大規模停電の責任があることを知っている」と述べ、マドゥロ政権の失策が原因だと批判し、自らを暫定政権大統領と名乗っている。混乱の極みである。
アメリカの介入としてのサイバー攻撃の可能性は低くはないが、親米の反政府政権椎の介入は間違いないだろう。チャベスが大統領になって暴力的にメリカに立ち向かって、経済を大混乱させた。反アメリカの難しさがここにあり、従順になれば事なきを得る見本のようである。
日本も同様である。アメリカに立ち向かうことで起きる諸問題を嫌い、プライドや愛国心などに蓋をして従順になろうとする。日本の親米右翼はチャベスの反面教師といえる。
3年前友人とともにキューバに行った。中南米で真っ先にアメリカに抵抗した国である。ソビエトの支援を受けて、社会主義国家を建設した。世界で最も社会主義の理念に近い国といえる。貧富の格差もなく医療と教育は無償で、鋪道など障碍者用にバリアーフリーのところが数多く見られた。治安もよい。カストロは世界で最もテロ対象になった人物といわれ、アメリカの魔の手をかいくぐって生き延びてきた。
コスタリカは、常設の軍隊を放棄した。軍事予算を教育や医療の無料化に向けることができるようになり、昨年から脱化石燃料を目指し、エネルギーの自給を目指すと宣言している。アメリカからの度重なる介入を、民主主義を掲げて乗り越えてきた。
平和憲法を持つ日本が自衛隊どころか戦闘機も空母も持つ現実に照らすと、恥ずかしくなるベネズエラの脱軍事国家である。
アメリカ合衆国はメキシコ以南の中南米の国家のすべてを、軍事力と経済力で支配してきた。アメリカによって作られていない政権は存在していなかった。すべての政権をアメリカCIAが陰謀・策術によって作らせた。キューバとコスタリカ、ベネズエラとそれぞれが異なり自己主張を国家としてやってきたが、三国三様である。いずれも超巨大国家アメリカの横暴のなせるものである。
トランプはこれを軍事力を隠し、圧倒的な経済力による締め付けによって再現しようとしている。

イギリスから独立したアメリカを称え、フランスが独立100周年を記念して自由の新天地の象徴として贈ったのが、自由の女神である。自由の女神と訳されてはいるが、「the Statue of Liberty」であるから”女”という文字はない。この自由の像の台座には以下の詩が書かれている。(拙訳)
離れてきた祖国を忘れなてはならない、あなたの人生は輝いている
その沈黙の唇で叫びなさい
あなたの国の疲労や貧困で息苦しい幾千もの人たち
私のところに連れてきなさい
彼方の大きな決断は息苦しさから解き放つ
激しく海岸に叩きのめされた惨めな
家を亡くした哀れな人たちを連れてきなさい
私は輝く扉の横でこの灯を掲げて照らしているのです
エマ・ラザラス
原詩は以下の通り
”Keep, ancient lands, your storied pomp!" cries she
With silent lips. "Give me your tired, your poor,
Your huddled masses yearning to breathe free,
The wretched refuse of your teeming shore.
Send these, the homeless, tempest-tost to me,
I lift my lamp beside the golden door!"
Emma Lazarus, 1883
この格調高い詩は、ヨーロッパから逃れて人たちを、国の入口で迎え灯を高く掲げたのである。現アメリカ大統領ドナルド・トランプは建国の理念すら否定したのである。偏見に満ちた中東の七か国の入国を禁止しする大統領令を発した影響は計り知れない。
トランプは任期を全うすることなく失脚するか投げ出すであろう。粗野で無教養で独善的な指導者は、その国の文化も歴史も理解する能力がなく破壊する。日本の為政者も変わることない。


トランプはすでに多くの閣僚を発表している。その人選からトランプの意図を垣間見ることができる。ほとんどが政治経験のない、企業のトップであり政治的な立ち位置は彼らの企業活動を通してしか推し量る事しかできない。トランプ自信についても同じことである。不動産業で財を成した、政治経験もなければ軍隊の経験すらない超富裕層の人物である。
トランプが貧困層の立場や意識を理解できるとは思えないが、彼が大統領選に勝利したのは、チェンジができなかったオバマのような有言不実行者を大統領に選んだ反動と見ることができる。オバマもブッシュの起こした戦争の後始末の翻弄された感はぬぐえないが、従来路線を走ったに過ぎない。トランプにはこうしたことによるアメリカの閉塞感が後押ししたのであろう。
トランプは企業家として、政策の効率を優先することになるであろう。日本にはアメリカ軍の負担をしてもらうなどという発言などは、実態を知らない経験不足からのものであろうが、実際に動き出す可能性がある。その時、安倍晋三にとっては自衛隊を軍に格上げする要請があったなどとして、憲法改悪に踏み切る可能性がある。アメリカは沖縄の基地を手放すことができないと、トランプはそのうち気づくであろうが、日本の対応が問われることになる。
TPPが反故になった場合、アメリカファーストを掲げるトランプのアメリカとの二国間交渉になるであろうが、かえって交渉は厄介になる。しかし、TPPのように交渉経過を公開できないというようなことはなくなり、透明化は進むと思われる。。
しかし、これまでアメリが指導者が誰になろうとも、高く掲げていたグローバリズムは実質的に降ろさざるはえないであろう。強者であることがグローバリズムのメリットであるが、アメリカはその甘みを次第に失いつつあるからである。かといってもモンロー主義という孤立化への道を、いまさらアメリカは歩むことはでいない。
何より、これまで世界各地で繰り返されたアメリカの得意技である、CIAを使った途上国などの政権転覆はウクライナが最後になるだろう。トランプは非効率的なアメリカのメンツのために行う、軍事的作戦はこれまでのようには行わないと見るべきである。中国やロシアのように金で黙らせることができない国家が出てきたからである。日本以外でアメリカに従属する国など望めない。
とりあえずの減税は行うであろうが、掲げた新自由主義的政策はなじめずトランプは結局は降ろすことになる。利害関係がない分国内的には全く新たな風が吹くことが予測される。どのように変わるかは、経験則のないブレインたちの対応一つである。アメリカの瓦解が始まる可能性はあるが、その逆もある。

組織を持たずに自家用機で飛び回る、言葉とパフォーマンスだけでの選挙運動である。その言葉であるが、「オバマはアメリカ人でない」、「メキシコの不法移民にロクなのがいない。犯罪者ばかりで万里の壁を作る。作るのはメキシコ政府だ」、「イスラム教徒は入国させない」、「テロリストには水攻めよりもっとすごことする」、「強いアメリカを取り戻す」、「日本や韓国の米軍は撤退させて自国で守らせる」などなどである。どれをとっても政策とは言えないような、アジテーションである。
また政治には全く素人という指摘には、「私は経営の天才である」と豪語する。しかし、実際には親の資産をもとにして事業を展開してきただけである。大統領選のようななじり言葉で幾度も失敗を繰り返している。資産を膨らませたのは、借り入れを巨大化することで連鎖倒産を嫌う関連企業が支援したに過ぎないと言われている。
周辺とのトラブルは絶えることがなく、CNNに資産のことでもめて調査の結果45億ドルとされた。トランプは100億ドルは下らないと反論している。
中国や東南アジアの国々に雇用を奪われていると、締め出しをして国内企業を活性化させるといっているが、自らの企業は中国製の衣類を大量に販売している。
トランプは政界のルールも知らないばかりか憎しみを煽り、アメリカの不満を即座に解決できるかのような言葉を並べ、まるで少年のような単純な表現しかできない。こんな男に、核のボタンを任せるべきでないと、さすがに共和党内部の主流派が動き出し、ケーシック候補とクルーズ候補を一本化しようと試みている。が、穏健派のケーシックと右派のクルーズでは支持者が共闘を拒否している。そのこともトランプを勢いづかせる要因になっている。
しかしトランプの主張がこれほど支持されているのは、アメリカが抱く矛盾や苛立ちを巧みに取り込んでいるからである。政治家として何ができるかあまりにも未知の部分が大きく、オバマがそうであったが原則にを辞することでより一層の困難に直面するであろうが、公約に掲げたことを実践してくれれば、中東も東アジアも大きく変わるであろう。
韓国と日本の区別がつかないトランプではあるが、世界の展開するアメリカ軍の存在に疑問を持ったり、TPPで国内雇用が侵されることを拒否したりすれば、案外と世界はよくなるかもしれない。
従来の政治家の視点でなく、まるで少年のようなしぐさと無垢な視線で、世界の矛盾をアメリカが産み出していることへ疑問を持ったりしてくれれば、世界は大きく変わる可能性もある。少なくともクリントンがなるより予測不可能な事態が起きることにはなるだろう。



政治姿勢も明確ではないが、オバマ政権の中東での弱腰外交を指摘し、不透明な対中国政策を非難し米軍の弱体化の回復をするというのである。
つぶさに、トランプの発言を聞いてみると、発言内容に一貫性がなく暴力的な言葉の繰り返しである。共和党内にも組織を作ることなく、言葉とパフォーマンスだけのいわば空中戦だけである。票を読むこともなく一発勝負であるが、いまのところあらゆる予備選挙で勝利している。
こんな下品で粗野な人物がなぜ支持などされるのであろうか?政治経験もなく外交経験などは皆無である。オバマが外交経験のなさが、8年間の外交の空白を生んだといわれている。まさかトランプが大統領になるとは思えないが、彼の登場に、アメリカにジレンマを見ることができる。決断できない政治に対する苛立ちなのであろう。トランプの発言は、国民にとって痛快なのであろう。アメリカ国民にとっては、ストレス発散の意味しかなく、とてもじゃないが国家のトップに立つような内容など何もない。
そうすると、日本の民主党政権がおたおたしていたことに対する不満が、安倍晋三への支持になっているのではと思われる。安倍晋三のやることははっきりしている。軍事国家としての道と、アメリカ追従と大企業優先による格差社会の実現である。叩ぎあげの男と温室育ちの差はあるものの、下品で無知なところはトランプと同じである。パフォーマンスは支持者に受ける。
中東の春で失脚した国家の多くは、治安を悪化させている。何はともあれ決めてくれる政権を大衆は望んでいるのであろうか。民主化は彼らの肌には合わないのであろう。暴力的であれ、治安さえ良ければよかったのかもしれない。自らの手で政権を築く作業がじれったいのかもしれない。トランプ、安倍晋三、中東の春後の混乱。
それは不安への思いの結果なのかもしれない。
シリア情勢は混とんとしている。欧米主導で展開されたアラブの春であるが、ようやくシリアまで来たところで息が切れた。当社報道ではこぞって、国内少数のアラウイー派のアサドの崩壊が近いと報じていいた。
其処へ突如として、アメリカとイラクから追われたり虐待されたグループが結集して、極めて暴力的なISISIが結成された。
シリア対策にはアサド政権の退陣が前提になると、とオバマは繰り返すだけである。これに対して、ロシアのプーチンは、ISISと戦っているのはアサドしかいない。ISISIに対抗するには、正当な政権であるアサド政権を支援するべきと、真っ向から対立した。意見の一致点はまるでない。
シリアについては、ヨーロッパ各国も、ここに来て一向に崩壊しないアサド政権を支持することで、シリア問題を考えるようになった。
要するに、アメリカの言うことを誰もも聞かなくなったのである。東西冷戦の一方が崩壊して、アメリカ一極化が起きていると言われた昔が懐かしいくらいである。軍事はもとより経済も、アメリカは多国に依存しなければ存在できなくなってきた。世界は確実に多極化しているのである。世界の多極化を推進したのが、ブッシュである。ブッシュがアメリカの軍事力を過信したのである。その結果中東は混乱し、現在に至っている。
東西冷戦時代は、相互に依存関係はなく経済的には独立していた。ピンポンの試合が窓口だったこともあるくらいである。現在は、アメリカに対立する中国が300機もボーイングを買いますと言い、アメリカ国債を最も多く抱える国になった中国である。経済制裁すると、殴った自分の手の方が痛くなる関係にある。今回の株価下落が良い教訓である。今回の国連会議は、アメリカの失速の現実を見るいい機会である。
ところで、安倍晋三は世界で最も強力な軍事力を持つアメリカの支援を受けることで、日本は安全になると見えを切った。安倍晋三の頭の中は、40年前の冷戦構造から脱却していない、反共思想で埋められているのである。アメリカとの同盟関係が抑止力なんかならない。安全保障法案は砂上の法案になりはしないか。
世界からテロをなくすという戦いは、テロを増やしたに過ぎない。軍事作戦の成功の度に、「世界は一層安全になった。テロがなくなった」と勝ち誇る宣言をしていた。嘘である・
アメリカのアフガニスタン侵攻から、13年経った。イランに主軸を置いたアメリカに代わって、NATO主導の部隊である国際治安支援部隊(ISAF)がこれを担った。今月を持って退き、アフガニスタンの国軍の後方支援に移った。ISAFのキャンベル司令官は、「アフガニスタンの人々を絶望の暗がりから引き揚げ、希望を持たせた」と任務の成果を誇った。嘘である。
武力侵攻によってアフガニスタンから、タリバンなど暴力集団は撤退したか消滅したのかと言えば、全く逆である。ブッシュが倒したタリバン政権は、テロ集団として限りない殺戮を繰り返している。
アメリカは暴力の否定を、暴力で行っている。その典型が、オサマビン・ラディンのアメリカによる殺害である。この行為こそ、アメリカの行ったテロ行為と言える。オバマはこのテロ行為で、「テロの根を絶った」と宣言した。嘘である。テロをテロでなくすことはできない。
アメリカのアフガンの侵攻を、勝ちか負けかと言えばアメリカもISAFも勝つことができなかったといえる。タリバンは復活し、混乱は以前にまして暴力的になり、治安は一層悪化している。これは敗北であると言える。ソビエトの侵攻を教訓化できなかった。
タリバンとの交渉も全く進むことができない。タリバンは外国軍の支配を国民からナショナリズムに依拠する支援を受けている。こうした現実がある限り、決して暴力による解決はできるものではない。現政権が金銭的支援によってなんとか成立している限り、タリバン勢力は消えることはない。
本来であれば、国連の平和維持軍が駐留できるような環境を作るべきで、日本のように武力を持たない国家が介入するべきなのである。敵対する勢力よりより強力な武力を前提とした制圧などは、暴力の再生産を産むだけなのである。
安倍権は日本のこうした平和外交の根までたち切ってしまい、軍事国家へと歩み始めている。


アメリカとEU諸国が、ロシアの経済制裁に拍車をかけている。マレーシア航空機撃墜に関連した制裁であるが、巧みにロシアが犯人だと言っていない。武器を供与しているというのである。経済制裁は最も強硬なアメリカ主導である。
ところが、そのアメリカはイスラエルの自衛力強化のために、弾薬を供
与したと発表した。国益にかなった行為というのである。
さしずめ、安倍首相なら、「ボウエーソウビヒン」を移転したに過ぎないというのであろう。
その防衛装備品で、1300人を超す人たちが殺されている。が、これはロシアがウクライナ東部に軍事支援することと何ら変わらない。
アメリカのダブルスタンダードもいいところである。俺は構わんが、あいつは許さんでは、ヤクザの論理である。
ウクライナでは選挙で選ばれたヤヌコービッチ政権が、街頭デモで倒された。これにはアメリカが大きくかかわって、ロシア寄りの政権は打倒された。アメリカは民主主義を世界に広めようとしていたのではない
のか?選挙で選ばれた政権を批判して、クーデター後の政権を支持する?
プーチンは、現政権の正当性を認めていない。その政権がいくら悪行をしたところで、ウクライナの問題である。
イラクに攻め入った時も、アメリカは民主化などと言っていたが、非民主国家のサウジアラビアとは仲が良いし、エジプトは民主化後の革命政権を支持している。ダブルスタンダードもいいところである。
ウクライナの政情不安を煽ったのもアメリカであるし、イスラエルの暴力行為を容認し続けるのもアメリカである。
経済制裁の理由に、正義や民主主義など掲げる資格などアメリカにはない。マレーシア航空機は誰が撃ち落したかは定かではないが、政治的に最も利用しているのはアメリカである。
イスラエルは自衛の戦争をやっている。アメリカはそれを支援する。ロシアは、ウクライナ東部の地域を支援する。
いずれの国も、集団的自衛権を行使しているということになる。冷静に見れば、単に戦火を拡大しているに過ぎない。
愚かな戦争行為を言いくるめる言葉が、「集団的自衛権」である。
イラクのスンニー派が、アルカイダ系の過激派の支援を得ながらバクダッドに迫っている。今武器を持って戦っている若者は、幼少期にアメリカによって、母国が叩きのめされるのを見て育った世代である。
ブッシュが親子二代にわたって、イラクを叩きのめした。パパブッシュは、クエートにフセインが侵略したと、世界に呼びかけて叩きのめした。日本では小沢一郎が、1兆円供出した。
そもそもクエートは、イギリスがイラクからもぎ取った、産油地である。現在進行中の、ロシアのウクライナ東部への介入に酷似する。
息子ブッシュは、ありもしない大量破壊兵器でアメリカが脅威にを受けていると、侵攻した。小泉純一郎は真っ先に支援を表明し、憲法違反の自衛隊派兵を行った。
独裁者フセインは、人権擁護者でもなければ平和主義者でもない。力の論理で国家を統治し、世界を常時威嚇していた。典型的な
独裁者である。然しながら、宗派間の対立は抑えてはいた。何もなくもないが大きな紛争は起きることはなかった。見た目の平和は存在していた。
ブッシュは、親子二代にわたってイラクを破壊した。今日のイラクの政情不安は、アメリカが作り出し他ものである。特に、息子ブッシュはアフガンからの、9.11の流れを、そのままイラクにぶちまけた。
アメリカは撤退したが、傀儡政権のシーア派のマリキは支援を要請している。外交で何一つ成果のないオバマには、成果が期待できないイラク再介入は慎重である。無人偵察機を投入するようだと、さらに問題は大きくなる。
それにしてもここまでかと思うほどの、宗派間の対立は深刻である。シ
リアでもイラクでもレバノンでも、解決不能な状態である。アメリカが、政治介入にその時々に利用しやすい宗派を選択し、支援してきた経過が混乱をもたらした。右の写真はスンニー派が処刑を行う瞬間の、恐怖の映像である。
アメリカは、何の理念もない目先の対応をくりかえす。かつてはフセインを支持したり、アルカイダに武器を送ったりした経過が、それを物語る。
アメリカは時どきの介入理由を美しく塗り飾る。民主化を行うとか、世界平和の脅威を取り除くとか、テロを排除する等々であるが、すべて嘘である。
今日に中東とりわけイラクの政情不安の、全ての責任はアメリカにある。現在相対的に存在感のなくなったアメリカは、反オバマの叱咤を背に受けすでに解決能力もなく傍観する以外の方法はないのである。