A&B・ストルガツキイ 中沢敦夫訳(群像社)
《あらすじ》
その街では永遠の雨が続き全てを腐敗させていた。政治家は暗躍し大人は特殊病院の患者を追い立てる。だがやがて読書にふける早熟の子供たちが反乱を始めた!
《この一文》
”「それこそが問題なんです。問題は、僕たちが現実の生活を知っているかどうかなんてことじゃないんだ。問題は、あなたやあなたの本の中の人物がそんな未来をもろ手をあげて受け入れているのに、僕たちにとって、そんなものは墓にすぎないということなんです。それは、希望の終焉、人類の終焉、行き詰まりです。それだからこそ、僕たちはあなたの書く、安らぎに渇えたタイプ、頭のてっぺんから爪先まで汚れ切ったタイプの幸福のために力を費やすのはいやだと言っているんです。」 ”
いやはや、大変に難しかったです。
『滅びの都』のように突如「赤い館」のような異世界が出現するわけでもなく、物語は、雨が数年来降りやまない街を舞台として展開していき、結末に至ってはこれまでにない爽やかささえ感じられるのですが、終盤になって怒濤のように分からないことが続出してきてすっかり参りました。
”濡れ男”って? どうなったの??
なんで葡萄酒が水に変わってしまったの?
あれってどうして?
これは??
などなど、不思議なことが多過ぎて、なんだかよく分かりません。
まあ、そういう細かい点は置いておくとして、テーマは非常に重要です。
引用した部分は、ボル・クナツ君という早熟な少年のセリフなのですが、あまりにも核心に迫っていると感じました。
大人は子供の幸福を願いますが、それはあくまでも大人の価値観に基づく幸福であり、せいぜい十分に食べたり飲んだり出来るくらいで、あいもかわらず争い、虚偽にまみれて、子供は必ずしもそんな幸福観に価値を見いだすとは限りません。
子供たちが自分たちで理想の社会を建設しようとすること、それ自体は、喜ばしいことだと個人的には思います。
たとえそれが旧世代を排除してしまうことになったとしても。
ただ、何もかも新しく、すばらしい社会を作ったとしても、帰る道が必要であるというのは、来た道を忘れないように、間違いに気が付いた時にそこまで戻ることができるように、という意味なのかな・・・・、と私なりに理解しました。
読んだ後、随分と頭をひねりましたが、結局まだよく分かっていません。
まだまだ深く掘り下げるべきところでしょう。
《あらすじ》
その街では永遠の雨が続き全てを腐敗させていた。政治家は暗躍し大人は特殊病院の患者を追い立てる。だがやがて読書にふける早熟の子供たちが反乱を始めた!
《この一文》
”「それこそが問題なんです。問題は、僕たちが現実の生活を知っているかどうかなんてことじゃないんだ。問題は、あなたやあなたの本の中の人物がそんな未来をもろ手をあげて受け入れているのに、僕たちにとって、そんなものは墓にすぎないということなんです。それは、希望の終焉、人類の終焉、行き詰まりです。それだからこそ、僕たちはあなたの書く、安らぎに渇えたタイプ、頭のてっぺんから爪先まで汚れ切ったタイプの幸福のために力を費やすのはいやだと言っているんです。」 ”
いやはや、大変に難しかったです。
『滅びの都』のように突如「赤い館」のような異世界が出現するわけでもなく、物語は、雨が数年来降りやまない街を舞台として展開していき、結末に至ってはこれまでにない爽やかささえ感じられるのですが、終盤になって怒濤のように分からないことが続出してきてすっかり参りました。
”濡れ男”って? どうなったの??
なんで葡萄酒が水に変わってしまったの?
あれってどうして?
これは??
などなど、不思議なことが多過ぎて、なんだかよく分かりません。
まあ、そういう細かい点は置いておくとして、テーマは非常に重要です。
引用した部分は、ボル・クナツ君という早熟な少年のセリフなのですが、あまりにも核心に迫っていると感じました。
大人は子供の幸福を願いますが、それはあくまでも大人の価値観に基づく幸福であり、せいぜい十分に食べたり飲んだり出来るくらいで、あいもかわらず争い、虚偽にまみれて、子供は必ずしもそんな幸福観に価値を見いだすとは限りません。
子供たちが自分たちで理想の社会を建設しようとすること、それ自体は、喜ばしいことだと個人的には思います。
たとえそれが旧世代を排除してしまうことになったとしても。
ただ、何もかも新しく、すばらしい社会を作ったとしても、帰る道が必要であるというのは、来た道を忘れないように、間違いに気が付いた時にそこまで戻ることができるように、という意味なのかな・・・・、と私なりに理解しました。
読んだ後、随分と頭をひねりましたが、結局まだよく分かっていません。
まだまだ深く掘り下げるべきところでしょう。
そうですね、そういう考え方もありますね。
勉強になります。
<濡れ男>についてもそうですけど、なんで雨が降り続けたのかとか、わからないところは、そのまんまほっぽらかされぱなしで、なんとも理解に苦しみますが、それはそれ、放っておきましょう(笑)
メタファー的な意味があると思うんですが、考えすぎると、また夜眠れなくなりますよ。
「地獄から来た少年」のレビューもゆっくり読みたいけど、時間がないので、また、明日来ま~す。
何となくキリスト教っぽい象徴を感じた覚えがありますが…
何年か前に読んだきりなので、私ももう一度読んでレビューしようと思います。
地道に考えていけば面白いかも。
でも大変そうですね~。
「間違いに気が付いた時にそこまで戻ることができるように」という
考えは、ルネ・ドーマルの『類推の山』という小説の覚え書きの部分に同じような考えが
述べられていて、それをふと思い出したものですから。
あと、現在と未来の関係の捉え方については、最近読んだ安部公房の『第四間氷期』
に通じるところがあるような気もしました。
現在を裁くものとしての未来、というところが何となく。
なんか色々な考えがまとまらず、混乱中です。
それなのに、『収容所惑星』を借りてきてしまいました;
piaaさまのレビューをお待ちしてます!
しかしいきなり「モスクワ妄想倶楽部」は順序が違っていたような気がしてなりません。。。(笑)しかしそれもまた一興って感じで引き続き読んで行こうと思います!
私なんか、最初に読んだのが、ストルガツキイ兄弟最後の書である「滅びの都」ですよ・・・。
最後から読む、私はどうもその傾向がありますね;
新しいストルガツキイ仲間が増えて、とっても嬉しいです。
どんどん感想を聞かせて下さい!
私もがんばって読まなくては!
ストルガツキイ初心者ですが、よろしくお願いしますね。
この小説は、ほんとに謎だらけですよね。
私のなかでは、なんであの町に雨が降り続けていたのかが一番気になる謎です……。
もう一回読んでみないと分からないかなあ。というか、もう一回読んでもダメかも。
さて、つぎは何を読もうかなあ。
予定では『滅びの都』を読もうと思っていたのですが、『ストーカー』や『収容所惑星』も興味深いところですね。
お祭り参加者が増えて、楽しくなってきました♪
こちらこそよろしくお願いします!
「白鳥」はほんとうに難しい;
みなさんの意見を拝見して、かなり深く考えられるようになりましたが、
依然としてはっきりとは分かっていません。
雨が降り続けたのも謎ですよねー。
私も気になります。
あと、さりげなく気になっているのは、ダイアナ。
かなりの重要な登場人物のひとりだと思うのですが、
どういう意味を持っているのか分かりそうで分かりません;
いつか分かるようになりたいですね~。
『ストーカー』と『収容所惑星』はびっくりするほど読みやすいですよ!
どちらもおすすめです♪
『滅びの都』ももちろん面白いですけど!
といってもくろにゃんこさんところで大分語ったのでもうあんまり書くこと残ってませんでしたが・・・
はやく買わなきゃ。
すでに昨夏公開された模様です。
情報が非常に少ないのですが、
(ネットで調べてもロシア語ばっかだし…)
分かった範囲で記事を書きましたのでTBしておきます。