A&B・ストルガツキイ 深見弾訳(群像社)
《あらすじ》
<魔法妖術科学研究所>でくりひろげられる奇怪な実験……徘徊する古今東西の妖怪、時間と空間を超えた不思議な現実の物語
《この一文》
”疲れてきたせいだろうが、しだいに、はっきりとことばに猫訛がではじめた。猫がうたいだした。
野良ニャー…野良じゃ、鋤がひとりで畑を耕している…ニャーオ…
だんニャがあとからついていく…まてよ、ここは、ニャそ、ニャそつい
ていく、だったかニャ?……
第一話「ソファーをめぐるてんやわんや」より”
涼しくなってきたので、ストルガツキイ再び。古本屋で入手したこの本は、古本にしてはかなりの美本であったのも嬉しかったのですが、それよりも何よりもその中身はひっくり返るほど面白いのでした。はまります。引用したのは、第一話に登場する猫のワシーリイのせりふ。うっ、胸が苦しい! 猫訛は反則です!
さて、この『月曜日は土曜日に始まる』はタイトルが不思議なように、物語も不思議に満ちています。人語を解す猫や魚、ありとあらゆる妖怪や精霊、登場人物たちも奇人ばかりが勢揃い、まるでお祭り騒ぎのような賑やかさで、想像力の限界に挑戦という感じです。主人公のプリワーロフはプログラマーで、ある日ふとした出会いによって「MYKK」の職員に採用されることになります。その「MYKK」がまたあまりにも楽しそうな職場なので、そんなところで私も働いてみたいと真剣に思ってしまいます。
この本には、第一話「ソファーをめぐるてんやわんや」、第二話「うたかたの夢」、第三話「てんてこまい」の3つのお話が収められています。
どれも大変に面白いのですが、私は特に第二話が気に入りました。確かに大晦日の夜には何か不思議なことが起こりそうですよね。そして、人物の描写が最高に冴えてます。ストルガツキイの作品に登場する人物は、いつもどことなく間が抜けているのですが、その絶妙な間抜け感がたまりません。『みにくい白鳥』でいうならば、「知的同胞」チームとか。何だかんだでヴィクトルも間が抜けてましたな。今回のプリワーロフもなかなか良い感じです。しかも眼鏡をかけているらしい。眼鏡をかけた間の抜けた人物……まずいな、ツボです。
第一話は始まりの物語。いきなりどんどん奇妙な方向へ展開するので、久しぶりにストルガツキイを読んだ私は、最初少しついていけませんでした、不覚……。
第三話は謎解き。ストルガツキイらしい展開で最後には少し考えさせられるような深みを持っています。
これらに続く第4話は『トロイカ物語』として別の本として群像社から出されています。全て、主人公がプリワーロフであるという点が共通しているようです。『トロイカ』も入手済み、くくく、早く読みたいです。
《あらすじ》
<魔法妖術科学研究所>でくりひろげられる奇怪な実験……徘徊する古今東西の妖怪、時間と空間を超えた不思議な現実の物語
《この一文》
”疲れてきたせいだろうが、しだいに、はっきりとことばに猫訛がではじめた。猫がうたいだした。
野良ニャー…野良じゃ、鋤がひとりで畑を耕している…ニャーオ…
だんニャがあとからついていく…まてよ、ここは、ニャそ、ニャそつい
ていく、だったかニャ?……
第一話「ソファーをめぐるてんやわんや」より”
涼しくなってきたので、ストルガツキイ再び。古本屋で入手したこの本は、古本にしてはかなりの美本であったのも嬉しかったのですが、それよりも何よりもその中身はひっくり返るほど面白いのでした。はまります。引用したのは、第一話に登場する猫のワシーリイのせりふ。うっ、胸が苦しい! 猫訛は反則です!
さて、この『月曜日は土曜日に始まる』はタイトルが不思議なように、物語も不思議に満ちています。人語を解す猫や魚、ありとあらゆる妖怪や精霊、登場人物たちも奇人ばかりが勢揃い、まるでお祭り騒ぎのような賑やかさで、想像力の限界に挑戦という感じです。主人公のプリワーロフはプログラマーで、ある日ふとした出会いによって「MYKK」の職員に採用されることになります。その「MYKK」がまたあまりにも楽しそうな職場なので、そんなところで私も働いてみたいと真剣に思ってしまいます。
この本には、第一話「ソファーをめぐるてんやわんや」、第二話「うたかたの夢」、第三話「てんてこまい」の3つのお話が収められています。
どれも大変に面白いのですが、私は特に第二話が気に入りました。確かに大晦日の夜には何か不思議なことが起こりそうですよね。そして、人物の描写が最高に冴えてます。ストルガツキイの作品に登場する人物は、いつもどことなく間が抜けているのですが、その絶妙な間抜け感がたまりません。『みにくい白鳥』でいうならば、「知的同胞」チームとか。何だかんだでヴィクトルも間が抜けてましたな。今回のプリワーロフもなかなか良い感じです。しかも眼鏡をかけているらしい。眼鏡をかけた間の抜けた人物……まずいな、ツボです。
第一話は始まりの物語。いきなりどんどん奇妙な方向へ展開するので、久しぶりにストルガツキイを読んだ私は、最初少しついていけませんでした、不覚……。
第三話は謎解き。ストルガツキイらしい展開で最後には少し考えさせられるような深みを持っています。
これらに続く第4話は『トロイカ物語』として別の本として群像社から出されています。全て、主人公がプリワーロフであるという点が共通しているようです。『トロイカ』も入手済み、くくく、早く読みたいです。
この「月曜日は・・・」も久しく読んでいないので読みたくなりました。
「トロイカ物語」は風刺の効いた、栄光の発禁書。傑作です。レヴュー待ってます!
そろそろ読書の秋です!
「月曜日~」は私がこれまでに読んだストルガツキイ作品の中でも抜きん出て愉快なお話でした。
そんなわけで「トロイカ~」にも期待!
最初の方は少し読んだのですが、誰も13階より上には行ったことのないというエレベータにプリワーロフが乗って上がる……というような面白そうな話だったような。
たのしみ~。