半透明記録

もやもや日記

『闇の王国』

2014年02月21日 | 読書日記ー英米


リチャード・マシスン 尾之上浩司 訳(早川書房)



《あらすじ》
私の名はアーサー・ブラック。これまでに二十七冊の〈ミッドナイト〉シリーズをはじめ、三十年以上にわたって多くの作品を書いてきた。金を稼ぐために。そしていま、八十二歳になったいま、私がまだ本名のアレックス・ホワイトを名乗っていた十八歳の頃の体験を記そう。これは実際にあった話だ。信じがたい、とてつもない恐怖の数々が記されているが、何から何までが事実なのだ……伝説の巨匠が満を持して放つ、最新長篇。





「とてつもない恐怖」が記されているのはどのあたりだろう? と思っている間に読み終えてしまいました。…あれ? ど、どのへんがそんなに怖かったっけ?? あそこかな? たしかにちょっと怖かったけど、「とてつもない」ほどじゃないような。ああでもたとえばこの物語を、実際に知り合いのおじいちゃんが自らの体験談を話してくれているものなんだと想像すれば、もう少しゾッとできたかもしれません。おそらくそのように読むべき物語だったんでしょうね。全編を通してこのお話は、ある年老いた作家が自分の若かった頃の思い出を時々冗談を交えながら語って聞かせるという体裁をとっていましたから。文中にはかなり頻繁に「また韻を踏んだ」とか「ブラックらしい良い言い回しだ」とか、いちいち自分で突っ込みや注釈が入ったりするので、集中力を維持するのに骨が折れました。

読み終えてからの印象としては、恐怖が主というよりも、怪奇と幻想が入り交じったような作品でした。私としては妖精族との出会いと別れの部分でブラックが立ち直れなくなるほどの恐ろしい経験をするんだとばかり期待していましたが、普通にファンタジックにほのぼのと展開していましたね。じゃあ、やはり恐怖は魔女の部分にあるんだな。でもあそこはいくらかおぞましかったけど、「とてつもない恐怖」というほどではなかったな(しつこいか;)。


リチャード・マシスンをいずれ読まなくてはならない作家であると認識していましたが、どこでそう認識するようになったのかをどうしても思い出せません。とりあえず、この『闇の王国』よりも『運命のボタン』がこの人の有名作である(と記憶している)ので、次はそれを読んでみたいと思っています。









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