半透明記録

もやもや日記

お知らせ

『ツルバミ』YUKIDOKE vol.2 始めました /【詳しくはこちらからどうぞ!】→→*『ツルバミ』参加者募集のお知らせ(9/13) / *業務連絡用 掲示板をつくりました(9/21)→→ yukidoke_BBS/

『ライフ・アクアティック』

2007年09月25日 | 映像
ウェス・アンダーソン監督


《あらすじ》
世界的に有名な海洋探検家にして海洋ドキュメンタリー監督のスティーヴ・ズィスーは、ある意味、人生の危機を迎えていた。ここ数年ヒット作に恵まれず、資金繰りがきつい。おまけに、撮影中に長年のパートナーが幻の怪魚”ジャガーザメ”に喰われてしまった。なんとしても仲間のリベンジを果たし、自身の名声をも取り戻すため、ズィスーは新たな航海に出ることを決める。
突然名乗り出てきた昔の恋人の息子ネッド(自分の息子?)や、取材に押しかけた女性記者ジェーンも加わって、探査船ベラフォンテ号は運命を賭けた航海に乗り出した。しかし、そこには思わぬ”悲劇”が待ち受けていた。

《この一言》
”シロイルカは偵察隊だ



 知的な動物というが
 証拠はない        ”



うーむ。面白い。おそらく面白いだろうと思って観たけれど、やはり面白かった。さらっと面白いから凄い。


ウェス・アンダーソンの新作が廉価版で出ていたので買いました。『天才マックスの世界』と『ロイヤル・テネンバウムス』をミックスして海の中へ放り込んだようなお話でした。要するに、いつもどおり面白かったのです。常連のビル・マーレーのほかにウィレム・デフォーやジェフ・ゴールドブラムやケイト・ブランシェットなどが出ています。さりげなく豪華キャストなんです。でもって、ウィレム・デフォーは良かったです。

とにかくこの監督の映画は、画面があまりにハイセンスなので降参です。小道具やらセットやら衣装やら何やら、とにかく配色が奇麗です。参りますねー。

そして物語。
『ロイヤル・テネンバウムス』でもそんな感じでしたが、「父親とは」というようなことがテーマのひとつです。お話の構造的にはアルモドバルの『オール・アバウト・マイ・マザー』に近いものがあるかもしれません。いなくなるものがあれば、新しく生まれてくるものもあり、というような。
基本的には、細かい笑いのポイントがそこここに仕掛けられた愉快なお話なのに、同時に物悲しさも随所に溢れ出ているという、どうしてこんな脚本がかけるのかとこれまで観た作品と同じようにまたしても唸らされました。


今回は私同様にウェス・アンダーソン好きのK氏とともに鑑賞しました。
エンディングはちょっと可笑しいところもあるのですが、ひそかに私は泣きそうになってしまいました(『ロイヤル・テネンバウムス』のときは、ちなみに号泣でした)。まいりますね。そういうところが上手い。かなわんな。

一番笑えた場面を挙げようとすると、色々ありますが、偵察隊のシロイルカが登場する場面でしょうか。引用した《この一言》には、普段からイルカの可愛こぶったところとある種の人々の「イルカの知性」への妙な信仰というものが許せないらしいK氏も、まあ許せないほどではない私も思わず納得、そして間抜けな顔つきがやはり可愛いので爆笑でした。
イルカのほかにも、家の中を小鳥が自由に激しく飛び回っていたり、「スノーマングース」という謎の生物や、物語の本筋に関わる「ジャガーシャーク」など、興味深い動物がたくさん登場するのが、見どころのひとつでしょう。

面白かった。