啄木鳥の詩

里山の自然と山野草・高山植物、低山歩きと野鳥観察

「残菊」

2022-12-01 15:51:48 | 庭の花木
 「コガネギク」 キク科
 秋の花の王者、「菊」が残りわずかとなってしまった。菊はたくさんの種類があり、当家の狭い庭には、サガギクを初めハマギク、イソギク、その他名前の分からないものが、何種類か咲いていた。それらは「野菊」と言っているが、ヨメナやアキノノゲシのように可愛らしい印象だが、中には、野菊と呼べないような大きな花もあり、求める時は、しっかり名札をつけておけば良かったと後悔する。寒い時期に咲く「寒菊」は、もうすでに咲き終わってしまった。
 ところで、「残菊」といえば、古の時代、それを愛でる宴があった、と書物に記されている。菊は、そもそも中国から伝来し、権力、尊厳、崇高の象徴で、その花姿が高貴な風格であるがゆえに、日本でも古くから栽培され、公家、朝廷に愛されていたという。そういえば、天皇家の紋章として、菊の花が使用されていることは、広く知られているところでもある。
 今日から師走。急に気温が下がり、これから本格的に冬がやってくる。

サガギク
 嵯峨天皇が好まれた菊で、1つの形に仕立てて育てるようだが、当家のそれは、植えたままなので、王朝の感覚はないが、古代菊とあってか、他のものとは異なる。

「小春日和」

2022-10-29 19:34:09 | 庭の花木
 「アキチョウジ」 シソ科
 まるで秋のようなポカポカした暖かさ。日中は風もなく、秋空が広がる。心が弾み、部屋には、リズムの良い曲が流れる。少しばかりボリュームを上げて。友人から借りたフラのCD。全16曲だけれど、知っているのは‟ブルーハワイ”と“月の夜は”の2曲だけ。こんな曲調をきいていると、自然と手が動き、つい踊りたくなってしまう。(残念ながら全く踊れない‼)のんびりハワイアンをきいていると、ぽわ~んとした幸せを感じ、心のバランスを整えてくれる気がする。窓の外では、秋風に揺れる小さい赤い実が、空に映えて美しい。
 そして、夕暮れ・・。とっておきの時間。                        ♪ 夕焼けが燃えて落ちてゆくよ 山並みの向こうへと馳せる思い あの人が暮らす町もやがて・・(ハイ・ファイ・セット 「 幸せになるため」)
 自然と時がおりなす夕焼け空を見ていたら、魔法にかかってしまった。
 長さ、2cm程の青紫の花、アキチョウジ。風情があり上品な佇まい。当家の土と相性が良くないのか、植える場所が良くないのか、腐葉土をたっぷり入れた鉢でないと育たない。茶花として重宝している。

「季節の歩み」  シュウメイギク

2022-10-25 16:51:36 | 庭の花木
 「シュウメイギク」 キンポウゲ科
 「浅間山が真っ白だよ~」と朝の電話。急いで窓を開けると「寒っ‼」。ヒヤッとした冷たい空気。上着も羽織らないで、下駄をつっかけ、外へ飛び出してゆくと、「うわぁ~きれい!」あちら方面は陽が差しているのか、浅間山が秀麗な山様を見せている。陽の光と真っ白な浅間山。絶妙な加減。つい先日、黒斑山に登ったばかりなので、その美しさに心が揺さぶられ、ときめく。しばらく眺めていたのだが、ついに寒さに耐えきれず、部屋に飛び込むと、折しも某TV局で「浅間山、初冠雪」のニュース。TV画像ではくっきりと美しい姿をとらえていたが、私のカメラでは情けない写真になってしまっている。
「美しいものを美しい」と愛でる共通の感性を持った人がいることに、感謝せずにはいられない。
 シュウメイギク、漢字では秋明菊。いかにも、秋に咲く花というネーミング。白い花をつけた草丈1mのシュウメイギクが、秋の風にゆらゆら揺れている。宿根草なので、ものぐさな私としては、重宝している植物だ。ほとんど手入れすることもなく、毎年庭に彩を添えてくれる。

今朝の浅間山

「歴史散歩」 シュウカイドウ

2022-10-11 18:44:50 | 庭の花木
 続日本百名城のひとつ、唐沢山城を見に行こう・・。当方、これには全くの門外漢。北関東自動車道を走り、到着したのは栃木県佐野。
 頂いたパンフによれば、県立自然公園となっている唐沢山周辺は、大規模な山城で、唐沢山城跡と呼ばれている。戦国時代に佐野氏が居城し、交通要衝の地にあるため、いろいろな工夫がされてきた・・・と記載されていた。パンフを片手に、早速見学。くい違い虎口、周囲を見張る天狗岩、現在まで涸れることがない大炊の井戸、通行を遮断する四ツ目堀、髙石垣、二の丸、本丸、・・。
散策おすすめルートは総延長2.5㎞。ハイキングコースもあり、興味のある方には、おすすめの歴史散歩です。当日は、あいにく雨が降り、展望も景色も今一つ。晴天には、紅葉を愛でる人で賑やかになりそうな山城だ。ただ、何故か猫ちゃんがあちらこちらに・・。売店では、餌を販売している・・不思議?
 シュウカイドウ、漢字で秋海棠。いかにも"秋に咲く花”っていう名前。江戸時代に中国から渡来した帰化植物であると、ネットに記されていた。ばら科の海棠に似た花を、秋に咲いていることから、秋海棠の名がついたとのこと。別名、相思草とも呼ばれているそうで、なかなかのロマンチックなネーミングだけれど、「楊貴妃の涙」という名があるとも、聞いたことがある。花の中心の黄色い大きな球は、楊貴妃の運命を考えれば、いかにも彼女が流している涙にも思えるのだけれど・・。

「暑いです」

2022-08-02 18:30:41 | 庭の花木
「オミナエシ」 オミナエシ科
 最高気温38℃、明日はもっと暑い予報。暑い、暑いといっても涼しくならないけれど、やっぱり、つい口から出てしまう「暑い」と。こんなに連日暑かったら、地球もそのうち悲鳴をあげるのではないでしょうか。
 最近、当地では夕方になると雷雨があり、激しい雷鳴!県外から嫁いできた友人は、群馬のカミナリは恐ろしいと嘆く。暑い方がまだましだそうで・・。それで、彼女はカミナリがなると、全ての電源を落とすのだとか・・。それって、意味あるのかなぁ~と思うのだけれど・・。「貴女、家に落ちたらどうするの?」と。そういえば、昔は部屋に「かや」をつり、家族全員中に入り、カミナリがとおり過ぎるのを待っていたような・・。それこそ、これって、どんな意味があったのかと不思議だけれど、蚊帳の中で見たあの鋭い光は、確かに恐怖心はあったけれど、きれいでもあったと記憶している。
 夕立が去ると、グッと気温が下がり、涼しく肌に心地良い。草花は、自然の雨をたっぷり吸い、元気いっぱいだ。
 秋の七草の一つ、オミナエシが咲いています。小さな黄色い目立つ花をつけ、細身な茎をヒョロヒョロと伸ばし、少し頼りなさそう。枝まで黄色に染まっているかのよう。花言葉「親切」「美人」

「夏の楽しみ」

2022-07-30 14:57:25 | 庭の花木
 「ムクゲ」 アオイ科
 日本の夏といえば、花火、麦茶、そして高校野球でしょうか。私の夏の楽しみといえば・・スイカ。大好物です。春に2本植えた苗のうち、1本が元気に育ち、小さいながら数個収穫でき、舌を満たしている。さらに、当方のスイカ好きを知って、友人が大玉を届けてくれた。高さ30cm、周囲80cmの楕円形。持てば、ずっしりと重く、ぎっくり腰になりそうな・・。また、その表面には何やら数字が書いてあり、その日から25日(?)程過ぎれば収穫できるのだとか。当家の収穫日はいい加減で、スイカの表面をポンポンたたいて音を確認し「こんなものかな?」と思えば即収穫。果肉がピンク色かも知れないとドキドキしながら、包丁を入れるのもまた楽しい瞬間だ。子供の頃、井戸水で冷やしたあの味は、今でも忘れられない。勿論、頂いた大玉スイカの甘さと言ったら、絶品だ。
 これからは梨も美味しい。農家の人たちは果物のひとつ一つに、手間と時間そして情熱を込めている。たくさんの思いを込めた果物、これからも大切に味わいたい。
 夏の花といえば、ムクゲでしょうか。花径10cmもある大輪の花を咲かせる。色も種々あるが、当家は宗旦。底紅ムクゲともいう。一見フヨウに似ている花姿ではあるが、葉っぱをみれば、違いが分かる。なお、ムクゲは「ハチス」の別称があることを、最近教えていただいた。


頂戴した大玉スイカ。 

「皐月に」

2022-05-03 16:53:09 | 庭の花木
「エビネ」 ラン科
 一足早く、当家では連休の喧噪もおえ、ようやく静かな日常が戻ってきた。ほっとすると同時に、賑やかで元気な声がきこえないと、やや寂しくもあり、家の中では朝から音楽が流れている。
 八十八夜も過ぎ、この頃になると霜も降りなくなり、農家では作業も一気に進んでゆくのだろう。当家でも、夏野菜の苗を少しばかり植え、これから花が咲き、成長してゆく様子を楽しみにしている。
 穏やかな春。しかし、外に目を向ければ、ロシアのウクライナ侵攻により、報道されるその状況に目を覆うばかりの悲惨さ。いったい、ここはどんな建物だったのかも分からない地下室から、這い上がってくる子供たちや女性。攻撃を恐れ、長い間太陽の光を見なかったと語る人。地下室が崩れるのではないかと思い、怖かったと語る女性。もし、自身がその立場にいたら・・そう思うとゾッとするし恐ろしい。物価が高く、生活に多少の影響は受けているものの、遠く他人への想像力が働かない。青葉の輝きは、気持ちが華やぎ、ときめきもするし、目を愉しませてくれる。それは当然のこととして実感しているが、何だか、心がざわつくのです。
 エビネの漢字で表すと「海老根」。地下茎の曲がりを「海老」に見立ててつけられた名前で、個体はヂエビネ。「ヂ」とは、山地に自生している普通のエビネ。生えている場所により、花の色は様々で、園芸品種もたくさんあるとのこと。個体は、夫が佐渡の実家からもってきたもので、毎年咲いてくれる。

「雑草にも名前が」

2022-04-26 20:54:59 | 庭の花木
「マイヅルソウ」 ユリ科
 「これって何という名前の花?」と時々からきかれる。当家の花さえ、うっかりすると忘れてしまうことがある。ましてや、道端の草花、いわゆる雑草は、散歩をしていても、つい見逃してしまうことが多い。去年の今頃は覚えていたのに、1年過ぎると「え~と何だったかな?う~ん、今思い出しそう・・ちょっと待ってよ」と考えるポーズはとるのだけれど、実際は完璧に忘れてしまっている。奇跡的に「それは○○という名前かも」と教えると、その人は「名前がわかると、抜くのがかわいそう」と除草するのに二の足を踏んでしまうとか。どんな草にも名前があるので、覚えると愛着がわくものです。
 白い小花は可憐で清楚なマイヅルソウ。個体の見どころは葉。ふちに沿って葉脈があり、この形は、ツルが羽を広げた形を連想してつけた名前と言われている。山地が生育地なのだけれど、乾燥した当地で、今年も目を愉しませてくれた。

「悼む」

2022-04-22 18:10:46 | 庭の花木
「ヤマシャクヤク」 キンポウゲ科
 山寺へと続く狭い道は、日本人なら、どこかで出会ったと思える里山の風景。新緑の葉の枝は、しなやかに艶めき、桜の花びらは、そよ風にはらはらと風に舞う。そんな春の穏やかな日、義父が他界した。久方ぶりに訪れた佐渡の島は懐かしく、義父の面影に心刻む。100歳を目前にした義父は、温和で優しく、おおらかで温もりのある人柄。信仰心厚く、亡くなって初めて、その大きさに気づく。心の中の、アルバムの写真がたくさんあるので、いつでも引き出せるが、「いつかこの時」が来ると思ってはいたものの、現実となると実にせつない。残されたものは、わかれの悲しみとともに生き、心におりあいを付けなければならない。考えてみれば、人生は長いようで実に短い。だからこそ「今」という、このかけがえのない与えられた時間を、大切に生きてゆかなければ・・・。
 花の命はみじかくて・・・一つの茎に一つしか咲かないヤマシャクヤク。昨年は咲かず、今年ようやく1本だけ花をつけてくれた。わずか3日ほどで、花は散ってしまう。純白の美しい花、清楚で上品な花びらに、「もののあわれ」を感じるのは私だけだろうか。夫も私も大好きなヤマシャクヤク。茶花としては最高だけれど、茎を切るのはせつなく、我が家に訪れた人に愛でて欲しい。

「水温む」

2022-04-16 19:14:17 | 庭の花木
「シラユキゲシ」 ケシ科
 暖かい日差しとともに木々が芽吹き、花々が咲く季節。木の美しさ、葉の美しさ、枝の美しさ、それらはしなやかに艶めく。もちろん花も。夏に咲く花は、見るからに太陽の寵児ぞろいで、性根たくましいといった印象だけれど、春に咲く花々は、楚々としてはかなげだ。ましてや、うつむいて咲くその容姿は、ひとしお情感を誘う。
 シラユキゲシ(白雪芥子)は、別名スノーポピーというらしい。そこはかとなく頼りなさそうで、今にも消えてしまいそうな浄らかな花びらは、春の陽をあび、白く輝く。しかし、見た目以上に個体は繁殖力があり、地下茎を伸ばし、思わぬところで、花を咲かせているのに気づく。従って、特に手を入れなくても、春になれば、約束したように、花径3cm程で4弁の可愛い花をつけてくれる。
 里はもうすっかり春だけれど、山はまだまだ冬でしょうか。春の味覚、山の幸の山菜は店先に並んでいるけれど、採りたて山の幸が待ちどおしい。
 水温む頃、野にも山にも花の香りがあふれている。