厚生労働省が27日発表した2023年の出生数(外国人含む速報値)は75万8631人で
前年から5.1%、減少した。 減少ペースは想定より速く、この傾向が続くと35年にも
50万人を割る。 結婚適齢期の人口が急激に減少する「2030年の崖」を越えると
出生数の反転は難しくなる。
人口動態統計によると、出生数は8年連続減少
し、過去最少を更新した。新型コロナウイルス
過では若者の間で結婚や妊娠を控える動きが広
がった。社会活動が平時に戻るにつれて解消す
るとの見方もあったが、その期待が実現してい
ない。人口の多い団塊ジュニア世代が出産適齢
期を超えた16年以降でみると、23年までの
7年間で出生数はおよそ101万人から25万
人減った。減少幅は年平均で3.6%に及ぶ。00
~15年までは年平均で1%ほどだった。
国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が23
年4月に公表した将来推計人口では、実現性が
高いとされる「中位推計」で外国人を含む出生
数が50万人を割るのは70年以降としていた。
仮にこのまま年3.6%ペースで出生数が減り続
ければ、35年にも割り込む。 社人研は出生
数が24年以降にある程度持ち直す道筋を描く。
だが上向く兆しは見えない。23年の婚姻数の
速報値は前年比5.9%減の48万9281組で、
90年ぶりに50万組を割った。婚外子が少な
い日本では婚姻数が出生数の動向に直結する。
東京財団政策研究所の”千葉氏”らの22年末の試算によると、コロナ禍の3年間で16
万6千組の婚姻が失われた。 岸田首相は「2030年代に入るまでが少子化トレン
ドを脱却するラストチャンス」と語っている。 00年代はまだ年120万人ほど
の出生があった。 この世代が結婚適齢期を迎えている30年ごろまでの変化が不
可欠だった。
民間有識者らによる「人口戦略会議」は1月、経済を成長させながら2100年時点
で人口8000万人規模を維持するための提言を公表した。 足元で1.26の出生
率を40年ごろに1.6まで回復させる必要があると訴える。 対策を打たなければ
50~100年の実質経済成長率は年平均でマイナス1.1%となる。
まずは婚姻数を回復する環境は必要になる。 22年の総務省調査では職に就いてい
る30代男性の未婚率は年収200万円台で64.7%と12年から11.8㌽上昇した。
結婚を希望する人は男女とも8割程度を維持する。 若年層の不安定な雇用や所得
環境の改善は不可欠だ。 若年層で不本意に非正規で働いている人の正社員への転
換も重要だ。 男性の育児休業取得率は22年度に17.1%にとどまっており、育児
や家事への参加を促すことも欠かせない。 岸田政権は児童手当の拡充など子育て
世帯向けの現金給付は充実させたが、若年層の雇用環境への対応も急務だ。
人が減っても成長力を保つ改革も必要になる。 外国人労働者との向き合い方は重要
な課題だ。 人手不足の業種で外国人を受け入れる特定技能制度の対象拡大は固ま
ったが政府が及び腰の移民議論も避けては通れない。
前年から5.1%、減少した。 減少ペースは想定より速く、この傾向が続くと35年にも
50万人を割る。 結婚適齢期の人口が急激に減少する「2030年の崖」を越えると
出生数の反転は難しくなる。
人口動態統計によると、出生数は8年連続減少
し、過去最少を更新した。新型コロナウイルス
過では若者の間で結婚や妊娠を控える動きが広
がった。社会活動が平時に戻るにつれて解消す
るとの見方もあったが、その期待が実現してい
ない。人口の多い団塊ジュニア世代が出産適齢
期を超えた16年以降でみると、23年までの
7年間で出生数はおよそ101万人から25万
人減った。減少幅は年平均で3.6%に及ぶ。00
~15年までは年平均で1%ほどだった。
国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が23
年4月に公表した将来推計人口では、実現性が
高いとされる「中位推計」で外国人を含む出生
数が50万人を割るのは70年以降としていた。
仮にこのまま年3.6%ペースで出生数が減り続
ければ、35年にも割り込む。 社人研は出生
数が24年以降にある程度持ち直す道筋を描く。
だが上向く兆しは見えない。23年の婚姻数の
速報値は前年比5.9%減の48万9281組で、
90年ぶりに50万組を割った。婚外子が少な
い日本では婚姻数が出生数の動向に直結する。
東京財団政策研究所の”千葉氏”らの22年末の試算によると、コロナ禍の3年間で16
万6千組の婚姻が失われた。 岸田首相は「2030年代に入るまでが少子化トレン
ドを脱却するラストチャンス」と語っている。 00年代はまだ年120万人ほど
の出生があった。 この世代が結婚適齢期を迎えている30年ごろまでの変化が不
可欠だった。
民間有識者らによる「人口戦略会議」は1月、経済を成長させながら2100年時点
で人口8000万人規模を維持するための提言を公表した。 足元で1.26の出生
率を40年ごろに1.6まで回復させる必要があると訴える。 対策を打たなければ
50~100年の実質経済成長率は年平均でマイナス1.1%となる。
まずは婚姻数を回復する環境は必要になる。 22年の総務省調査では職に就いてい
る30代男性の未婚率は年収200万円台で64.7%と12年から11.8㌽上昇した。
結婚を希望する人は男女とも8割程度を維持する。 若年層の不安定な雇用や所得
環境の改善は不可欠だ。 若年層で不本意に非正規で働いている人の正社員への転
換も重要だ。 男性の育児休業取得率は22年度に17.1%にとどまっており、育児
や家事への参加を促すことも欠かせない。 岸田政権は児童手当の拡充など子育て
世帯向けの現金給付は充実させたが、若年層の雇用環境への対応も急務だ。
人が減っても成長力を保つ改革も必要になる。 外国人労働者との向き合い方は重要
な課題だ。 人手不足の業種で外国人を受け入れる特定技能制度の対象拡大は固ま
ったが政府が及び腰の移民議論も避けては通れない。